鳥インフルエンザの流行
この写真は今回小田原から石垣島に戻る飛行機の窓から撮影したものだ。飛行機は静岡市の上空当たりを通る。天候と時間によって富士山は変化する。空高く富士山がある絵を描きたいと思っているので、いつも目をこらしてみている。
鳥インフルエンザが流行している。すでに200万羽の鶏が殺処分されている。これをやらされている自衛隊も辛いことだろう。確かにこれは国土防衛の一つである。実はコロナも鳥インフルエンザもウイルスによる感染症で、人間をふくめた生き物すべてが、感染症を乗り越えて今存在している。
世間はコロナの流行で、ニワトリのことどころではない気分であろうが、養鶏をやってきたものとしてはコロナとは違う意味で心配なことである。野性と人工の軋轢である。人間が社会を形成して、集団で生きると言うことに伴う危険なのだろう。
コロナの流行でウイルスと言うことや免疫と言うことの実際が、社会的に認識されてきた。前回の鳥インフルエンザの流行時には交差免疫と言うことすら、神奈川県の家畜保健所ですら認識が無かった。ワクチンによる免疫と、感染して怒る自然免疫の違いすら、認識が無かった。
別段責めているのでは無く、家畜というものは病気になれば、すべてを抹殺すること以外考えられていないのだ。今も同じことが繰り返されている。何百万匹の鶏がただ殺されているのだ。それは、実は殺されることが少し早まっただけのことにすぎない。
もし、この何百万匹の中には鳥インフルエンザに耐性のある鶏も居るかもしれない。感染して死んで行く中には、感染して抗体をえる鶏も居るのだ。その鶏は貴重な鶏である。こうした鳥インフルエンザに耐性のある鶏を選抜して行けば、鳥インフルエンザにかからない鶏が出来るかもしれない。
そういうことは植物では常に行われている。石垣島の熱帯農業研究所ではイネのいもち病耐性の品種を世界から集めて研究している。鳥インフルエンザの発祥源である、シベリア地方の白鳥などの水鳥は耐性を得ているから、絶えること無く生存しているのだ。
自然界というものはそうした総合性の中にある。淘汰や進化を繰り返しながら今の世界があるのだろう。コロナで散々言われたことが都市への集中である。3密の回避である。密集を避けやり過ごすことが第一である。ワクチンの無い病気には唯一の対処法である。
自然界にはワクチンなど無いのだ。人間界もついこの間まではワクチンなど無かったのだ。それでも人間は今に生きている。自然界には無数とも言える膨大な命が生きている。そのことはウイルスとうまく共存していると言うことだろう。ウイルスだって生きるためにはすべてを淘汰などしないように出来ている。
ウイルスは新しい形のものが、次々に生成されている。その原因の一つが、3密である。自然界においても三密で起きている可能性が高い。感染の連鎖である。感染を繰り返している間にウイルスが強毒化する。白鳥ですら死んでしまうようなウイルスにも変異する。
ところがこのウイルスに耐性のある白鳥も居て、感染して南に渡ってくる。そして様々な鳥に感染を広げる。そうして多くの野鳥が感染をして死ぬのだろうが、生き残ったものが耐性のある野鳥として次の世代へと命をつないで行く。
ところが、養鶏場にそのウイルスが入れば、ひとたまりも無い。人間でも散々言われたことは、3密の回避である。まさに大規模養鶏場は3密の見本のような所だ。大規模畜産は禁止されなければならない。禁止しなければ、そこから新しいウイルスが出現する可能性も高い。
このことは繰返し前回の鳥インフルエンザの時に繰返し書いた。しかし、全くこの考えは相手にもされなかった。そして今回コロナが蔓延してみて、やっと世間の常識が変わってきた。3密は行けないと言うことが常識になった。大規模畜産は危険なのだ。
今回のコロナも実はミンクの大規模飼育が原因していないかと考えている。それこそ3密でミンクは何百万匹も飼われている。この中で危険なウイルスが誕生する可能性はあると思える。もし哺乳動物でそうしたことが起これば、すぐにでも人間に感染する危険がある。
それが、インフルエンザのウイルスの出来る課程である。中国の豚の中に鳥インフルエンザウイルスが入り、変異して人間が感染するインフルエンザになる。今年流行するだろうウイルスを調べるのは養豚場の豚を調べて、予測すると言われている。
人間も新型ウイルスに対応するためには新しい生活様式が必要と言われている。畜産も同じである。新しい畜産が必要なのだ。それは自然に応じた小規模な自然養鶏である。たとえ鳥インフルエンザが広がってきても感染が起こる可能性が極めて少ない。たとえ感染したとしても対応を簡単に取れる。
前回の感染の菜も、今回の鳥インフルエンザの感染拡大においても、おきているのは何十万匹も飼っている大規模養鶏場だけである。私がやっていた放し飼いの自然養鶏では起きていないのだ。原因は交差免疫だと思っている。
自然養鶏は三つの条件がある。1,放し飼い。2,二種の醗酵飼料を使う。3,自家育雛。実はこの三つは昔の鶏の飼い方である。この三つの条件を整えれば、ウイルス感染はよほどのことが無ければ起きない。
日常から様々な病気にさらされながら鶏を飼う。弱い鶏は自然に淘汰が繰り返される。ウイルス耐性のある強い鶏種だけが生き残り、命をつないで行く。自然の姿に準じた形の鶏の飼い方である。これならば、新しいウイルスが、養鶏場から発生することも無い。
大規模畜産は新型ウイルスの発生源になり得る。やっては成らない家畜の飼い方なのだ。中国では畜産の規模が日本よりもさらに大きい。大きさに対するおそれが無い。ミンクの大規模飼育は見たことはないが、たぶん劣悪な環境で行われていることだろう。中国政府にはその危険を気付いて貰いたいものだと思う。
日本でも大規模畜産は止めるべきだ。経済性の追求だけでは日本の安全保障は成り立たない。人間の暮らし方を変えない限り、コロナの危機は繰返し起こることになる。人間の3密の暮らしも避けるというのは、当然の流れである。
そして、家畜の3密も避けなければならない。肉などそれほど食べなくても良いし、高いことは当然のことなのだ。卵が物価の優等生などと言われて、70年前と値段が変わらない。70年前に戻る方が正しい選択なのだ。
もう一度経済競争主義から、落ち着いた人間の暮らしを取り戻すべきだろう。と言いながらも、世界はさらに競争を深刻化するだけだろう。それなら、自分の暮らしだけでも安全保障を考える必要がある。自給自足の小さな農業に生きることだ。