石垣島で太極拳

   



 石垣島で太極拳教室をはじめた。アトリエが少し広いのでそこでやっている。内の奥さんは、以前から沖縄本島で医師で太極拳の指導もされている、帯津先生の所に通っていた。沖縄本島に暮らしていた頃のことだ。今は石垣島から、本島の帯津先生の教室に通っている。

 石垣島には太極拳教室が無かった。(申し訳ありません。コメントを頂き調べましたところ、太極拳教室はありました。)帯津先生から太極拳に興味のある人を紹介いただいたことがきっかけで、太極拳を家のアトリエで始めることになった。その後、白保のやちむん館での教室がはじまったので、今は石垣島に2つ太極拳の場ができたことになる。

 私は太極拳を知っているわけでは無いのだが、動く禅と呼ばれているところに少し興味があった。それは日本で太極拳を広めた、楊名時先生とお会いしたときに、この方は禅僧と同じ匂いがする方だと思えたからだ。普通で自然である大きな姿に感銘を受けた。

 銀座の史染抄ギャラリーでの個展に見に来ていただいた。あの頃は毎月のごとく、個展をやっていた。山田さんというオーナーとどこか通ずるところがあった。そういえば、あの画廊を通していろいろの方と知り合いになった。今はあの画廊も無い。

 楊先生から、あなたの絵を中野の道場に飾りたいと言われたことが、実現できないままに、先生は亡くなられた。内の奥さんは学生時代から、長いこと太極拳を学んできた。私の父は戦前の中国の太極拳のことをよく知っていた。あれは良いものだと話していた。内の奥さんのことは太極拳をやる人間なんだと理解できたようだった。

 太極拳の教室を始めたお陰で石垣の方の知り合いが増えたようだ。有難いことだ。良い人間関係が広がればいいと思っている。新しく引っ越してきたものとして、太極拳を通して地域の人と知り合う事が出来ることは、大変ありがたいことだとおもっている。

 太極拳にも様々な流派があるらしいが、楊名時太極拳である。NHKの青山の教室で楊先生から指導をしていただいていたそうだ。そういう人間の出会いは、幸運だったと言えるだろう。それから40年以上太極拳を続けることになったのだ。

 太極拳は人間によって伝わるものがある。道とつくものはすべてがそうなのでだろうが。素晴らしい楊先生だったから伝わるこころがあるのだと思う。形だけならビデオを見ても、DVDを見てもわかるが、肝心なことは見えないはずである。

 小田原で指導いただいていた、辻村先生が石垣まで指導に来てくださった。本当に有難いことだ。辻村先生は小田原で太極拳を長年指導されてきた方である。カヨ子さんも小田原に越してから、指導を受けていた。

 カヨ子さんを心配してくださり、わざわざ石垣まで来てくれたのだと思う。なんというありがたさかとおもう。そういう立派な心の方だから、教えられた深いものがあったのだと思う。アトリエで石垣で生徒になられた方の指導もしてくださった。

 笹村アトリエが石垣の太極拳の種になればと思う。帯津先生は八重山民謡の鷲の鳥節を英訳して、それに合わせて太極拳が出来ないかということで、今かよって見える方と連絡を取られたという。石垣にはすでに鷲の鳥節での舞踊はある。これが太極拳の動作ではどうかと言うことだ。

 太極拳がぼけ防止になると言う医師の話を読んだ。それならと言うことで、わたしもやってみることになった。あさ、6時頃から15分ほどのことだ。アトリエのスペースが使えるのでいい。アトリエで絵を見るためにはなにも無い空間で無ければならないので良い広さがある。

 夜明けが太極拳をやる時間だ。明るくなる時間が一番の時間だと思う。座禅がそうである。朝か、夕方である。一日の始まりに静かに動いてみる。なかなか悪くは無い。私は太極拳をやるのは初めてのことだ。奥さんがやっているので、いいかなという感じだった。これからは石垣にいるときはやるようにしようと思っている。

 覚えるのは苦手だから、見てまねている内に身につけばいいくらいだ。そこは違うなどと言われると、すぐヤル気がなくなる。それらしくやるだけでいい。いつか身につく気がする。技の説明が入るのだが、あれはいるのだろうか。まあ、教わるのだから我慢もいる。

 教えるという事は教えられるという事になる。人と一緒にやるという事が大切なのだと思う。形だけなら覚えられるだろう。しかし、そうして学んだものでは、肝心な心の部分が伝わらない。禅を一人でやってはならないと言うことと同じだ。太極拳が伝えるのは、やはり動く禅である。

 アトリエはいわば禅堂である。禅堂だから、動く禅の太極拳をやるにはちょうど良いのでは無いだろうか。禅堂も形だけでは心地よいものにならない。そこでの修行が積み重なって始めて、修行の場になる。禅堂の厳しい空気は修行の結果生まれるものだ。

 自然の中で絵を描く。そして、アトリエで繪を眺める。アトリエがよい空気で満たされていなければならない。雑然としたところでは何も見えない。ここで朝太極拳のまねごとをしている。動きをまねるだけであるが、それでも座禅をしているような心持ちになることがある。

 公園や森の中で行うのも良い。樹林気功というものがあるように、自然の中で座禅を組むのもよい。自然の持つ力を受け取る。しかし、外界から遮断された場所で、座禅を組むことも必要だとおもう。それは自分の内側のものとの対話である。達磨大師は洞窟の中で九年間修行したのだ。

 我が家の太極拳教室はどなたにも参加してもらえる。石垣には太極拳教室が無いから、良い場になり、その太極拳を伝える役目が果たせればいいと思う。といっても、広さから言ってあと1,2名なのだが。希望者はこのブログのコメントで連絡をいただければ、対応したいとおもいます。費用の心配はないです。

 
 

 - 石垣島