「韓国いらない」は表現の自由なのか。

   

月桃の敷物で昼寝しているすずちゃん。ここに寝ていると病気が治るらしい。
 小学館の発行の「週刊ポスト」が「韓国いらない特集」をした。この頃経営の苦しい出版社は、販売部数を伸ばすためにこんな馬鹿げた、ヘイト雑誌を作る。こういうものが売れるという国は情けない国だと思う。売れれば何でもやるという出版社はもっと情けないと思う。

 存在を否定するような表題はヘイトの中でも度が過ぎている。いらない国などあるはずが無い。おまえはいらないという虐めほどひどいものはない。これはさすがにひどすぎる表現である。日本がいらないと言われたら、どれほど悲しいことか。表現の自由のギリギリの所当たりか。

 存在すら否定する。つまりしかとである。口に出してはいけないことばを、口にしてしまった。一度口にしてしまった言葉は消えることは無い。出版社としての長年の努力や我慢を、自ら放棄したのだ。

 問題はこれをヘイト雑誌として発売禁止にすれば、愛知トリエンナーレの表現の不自由展と同じ事になる。発売するのは勝手だ。ただし、こんな雑誌を出す出版社はおかしいという健全な、反応が小学館に対して日本全体で動き出すべきだ。わたしは小学館の本は買いたいものがあっても当分買わないことにする。

 表現という意味では、へイト雑誌を出しても良いということだ。出したければ出せばいいのである。内容は読んでいないのではっきりしたことは言えないが、この名前だけで内容は読みたくも無い。法的に問題のある内容では無いという前提であるが。出したければ出せばいい。そして、そんなことをする出版社は認めたくないと思う。

 こうした雑誌を出せば売れると言うことは事実であるし、アベ政権が意図的に韓国問題をシカトしているのも事実だ。こういう状態になってしまった日本国が世界から、ずいぶん国家の品格が低下したと見られていることだと思う。多くの日本人はそれなりの品位があると思うので、残念なことだと思う。

 子供の頃、小学一年生という雑誌を買って貰った。あのうれしさは忘れられない。少年サンデーも発売されたときから買って貰った。あの小学館がこんなヘイト雑誌をだすような出版社になったのだ。誇りを失っているとしか思えない。日本がそんな国に成り下がったのだと思うほかない。情けなくても仕方が無い。

 人間は拝金主義体質がある。それを抑制できるのが品格である。日本の企業は拝金主義に魂を売ったのだ。企業だって利潤追求だけではいけない。企業理念を持たなければいけないはずだ。特に出版に関わるものは文化を支えるという理念が必要だ。
 大手の出版社は金銭以外の価値観を喪失したのか。韓国が徴用工の賠償を要求したところで、日本拝金主義の堪忍袋の緒が切れた。謝罪と言うことで無く、お金というところに反応したのかもしれない。

 小学館には関わらないという、作家が連続している。前回は新潮社が新潮45で2018年8月号の杉田水脈代議士の寄稿『「LGBT」支援の度が過ぎる』で新潮45の廃刊をした。出筆拒否や、新潮社全体への不買の動きを恐れたのだろう。今度は小学館はどう対応するのだろうか。

 理念のある作家がヘイト雑誌を作る小学館と関わりたくないという気持は作家の姿勢として当然である。新潮だって、小学館だって、本来素晴らしい出版社である。しかし、大きくなりすぎて細部まで神経が回らなくなっているのだろう。この問題が出て、すぐ小学館は謝罪をした。
 
 新潮社もそうであった。この態度は正しいようで、自己矛盾である。自分のところが出した雑誌に対して、出版した以上最後まで責任を持つべきだ。表現の自由はそうして守らなければならないのは、出版社自身の重大な使命である。

 表現の自由は表現するもの自身が、最も大切にしなければならない価値である。自分が発表した作品を自らが間違えであったとして、謝罪しなければならないようなことは、出版社として最も恥ずべき事だ。出版前に何をすべきなのかを理解していないと言うことになってしまう。

 私のようなささやかなものでも、いったん作品を発表すれば、責任はすべて私自身にある。言い訳など全くない。他人にはどうでもいいことだろうが、作品を発表することには真剣である。そうでなければやっていることがおかしいことになる。売れそうだからと考えて商品としての絵画を発表したらそれこそ私としては恥ずかしいことだ。
 個展を止めた理由もそこにある。何軒か個展を企画してくれる画廊もあった。画廊のなかには絵を販売したいから個展をやってくれる所あった。私は売れる絵を描いているわけでは無い。それでも売れないと申し訳ないような気になる。それだけでは無いが、個展はやれないことになった。

 小学館はこのままでは不買が起こりそうなので、慌てて謝罪をしたに過ぎないようにみえる。そして、この特集を擁護する作家もいる。小学館に関わる売れなくなったら困る作家たちかもしれない。ヘイト雑誌を支持するのであれば、すればいいだろう。

 出版社が出す本に誇りがあるかどうかである。私も農文協から3冊の本を出させていただいた。現代農業には何度か記事を出させて貰った。それは昔から、現代農業の愛読者であり、良い本を出す出版社だと考えているからである。

 小学館にチェック機能が無いように見えるが、本当であろうか。そうは思えない。これは売れそうで良さそうだというので、出したに違い。そういう商売感覚なのだろう。小学館のホームページを見ると並んでいる本がどうもいただけなくなっている。

 これでは改めて不買などと思わないでも私は買わないだろう。というのは嘘で、「字の無いはがき」は買いたくなった。しかし買わないでおく。

 - Peace Cafe