石垣島多福農園のサガリバナ

   

 多福農園という所に行ってきた。なんとも魅力のあるところだ。場所はバラビドーと言う不思議な名前の場所だ。バンナ公園の南側の広がった農地の中にある。その不思議な名前の意味はワラビの道ということ。絵を描きに行く道筋なので、8時過ぎにいった。サガリバナが咲いているというかんばんがきになっていたのだ。サガリバナは夜咲く花なので、朝行っても咲いてなと思ったが、まず場所を確かめようと考えて寄ってみた。
 
 サガリバナが地面一面に落ちている。その美しいこと。淡い桃色の繊細な花が引き詰められたようにある。息をのむ美しさ。花を踏みつけることなど全くできない。呆然と見ていた。しかし踏まなければ、下の池の方には進めない。仕方が無いので、戻って下に降りる別の道を探した。
 
 
 サガリバナはまだ少し木に残っていた。きっと夜はかんざしのように、垂れ下がるのだろう。まだつぼみが沢山あったので、6月中ならば楽しめるのでは無いだろうか。夜はライトで照らされるようにできている。
 そもそも多福農園という場所は入場料を取るわけでも無い。どうぞ見てくださいと準備されているのだ。しかしこれだけの庭園を維持しているのは大変なことだろう。みんなに福が広がるようにと言う気持ちの農園なのだろうか。
 
 
 下に降りてゆくとかなり広い、睡蓮の池がある。大きな赤い睡蓮が咲いている。描きたくなったが、車から見える場所は無い。外に出て絵を描くというのもあるが、なんとなくハブが出てくるような気がして落ち着かない。
 お隣が石垣農芸高校の敷地である。ここからならば、くるまを止めて池が見える。絵を描く間だけ入れてもらえないものだろうか。いつかお願いに行ってみよう。
 
 
 サガリバナはサワフジ友呼ばれる。コノウツクシサハ例えようも無い。この印象がきょうの絵に出てきた。できれば今晩もう一度見に行くつもりだ。もう一度7時前に行ったのだが、まだ咲いていなかった。落ちていた花も、消えたようにしおれていた。
 
 西表島では川を流れてくるサガリバナを鑑賞するツアーがあるらしい。川に落ちた花はしおれること無く、海まで流れ下るだろう。これは昼間でも見ることができる。
 
 
 睡蓮池にもサガリバナが浮んでいる。これはすごい。良いものを見せてもらった。天国というものがあるなら、こういう光景であろう。この場所には近づけないが、目に残そうと思う。この日に描いた絵はこの上ない美しさが、反映したような気がする。
 
 

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