「小さな田んぼのイネ作り」 田植えが終わってやること ⑧

   

田植えは6月1日は3時までと2日は午前中だった。参加者は一日目が36人。2日目が26人と言う位だった。出入りがあるので正確な人数は把握できない。田植えが初めてという人も10人くらいは居たのではないか。子供も連日10人はいたと思う。何とか田植えが出来れば、子供がいてくれることはうれしいことだ。この先手で植える田植えを見たこともない子供ばかりになるはずだ。もうそうなっているのかもしれない。自分が食べる主食のお米が自分の手で作ることが出来る。という事だけでも記憶にとどめて欲しい。小さな田んぼの3畝は、20人が横に並んで30分ほどで終わった。一人なら10時間という事になる。足踏み代掻きが終わり田植えまでの間、水を少しづつ入れていた。土の状態は、トラックターで代掻きをした田んぼよりもむしろ植えやすかった。私は植え方の説明やら水回りでなかなか田植えが出来なかった。それでも小さな田んぼでは、心して、ゆっくりと田植えを味わった。田植えをするときには、自然というものに自分がなるような気持ちになっている。
田植え前の状態。線がきれいにひかれている。線引きはやってもらった。一人でやった場合、2時間というところか。わずかに水がある。このくらいでなければ、線が引けない。
田植えが終わってすぐにやることが、①ソバカス撒きである。昼ご飯を食べている間に、田んぼに水を張り、午後ソバカス撒きを行った。ソバカスは3つの役割で草を抑えてくれる。一つは水面に浮遊して、地表への光りを遮ってくれる。光が発芽した芽を一気に成長させるので、光が少なければかなり草は減る。田んぼに沈んでも同じ被膜効果が続く。昔田んぼに墨汁を流す抑草法があったが同じ効果である。②もう一つは地表に沈殿して被膜を作り、第二発酵をする。その為には事前に発酵土壌になっていなければ効果が薄い。冬の間の土壌管理には同じソバカスを使う。緑肥による腐植の混入など、綜合的な効果で土壌が発酵型になる。発酵による発生物で種の発芽が抑えられる。そして、発芽した草もとろけていったり、成長しなかったりする。③そして、ソバカスを餌にする生き物の大量発生である。ミジンコが大量に発生する。ミジンコで水が濁って見えるほど出ることもある。次にミジンコを食べる様々な水生昆虫が現れる。オタマジャクシやヤゴ、ゲンゴロウ、ホウネンエビなどが発生する。嫌気性ではない、水の浸透性の良い、手作業の田んぼではイトミミズは現れない。
イネは良い状態の田植えが終われば、翌朝には根付いて、葉先に露を付けている。残念ながら、今年は翌朝露が付いて居なかった。10番田んぼはまだ今朝の状態を見ていないが、それでも5,5葉期の2つの分げつのある、がっしりした良い苗であれば間違いがない。田植えの際に苗が一度乾かされているとかなり弱るので注意が必要である。田植えは慣れれば、水のある最良の状態で出来るのだが、初めての人が沢山いる、子供たちにも田植えをやってもらうたんぼである。田うえは、水を抜いて行っている。その為に浮き苗が多く出るのは止む得ないと思っている。深植えも多いいことだろう。田植えが終わればすぐ水を入れる。水を入れたらば、水は温める。水尻からこぼさない。この時田んぼは浅くしておく。浅くして置けば、上手く植えてなくても、浮き苗にならない。水温が暖かいという事が、順調な活着に大切な条件である。私たちの田んぼは水取りが連続しているために、水が流れでいるので、深くせざる得ない場所もある。今年は、水路にくる水の量が大きく変化をした。その為に微調整がおかしくなり、大変苦労をしたうえに、浮き苗も多かった。申し訳ない。
田植えのが終わり、ソバカスが撒かれている。畔は白クローバーが生えている。クローバー畔は美しい。管理も楽である。歩くときも気持ちが良い。
苗が活着したら、コロガシである。おおよそ1週間後である。9日の午後からコロガシを行う予定だ。コロガシは土壌の活性化と、草を抑えるために行う。緑肥を大量に漉き込んである土壌は腐敗方向に進む。土壌を攪拌してやることで、酸素を送り込みよい発酵方向に進めてやる。田んぼのタテ浸透を抑える、一般の稲作法とこの点が違う。田んぼのタテ浸透を抑える稲作法は、トラックターが登場してからできたものだ。その点伝統稲作は田んぼのタテ浸透を逆手に取り利用しなければならない。タテ浸透で酸素を含んだ水が田んぼの土の中に入ってゆくことで、イネが良く育つという考え方をしている。だから、大苗でなければならないことになる。今年は冷夏ではないかという声も聴く。私の予測では、寒いという事は考えられないのだが。

 - 「ちいさな田んぼのイネづくり」