有機のコメ作り あしがら農の会の25年
「有機のコメづくり」が完成した。農の会のやっているコメ作りの実際を冊子にしたものだ。あしがら農の会の25年という副題がついている。25年間試行錯誤しながら、たどり着いた農法である。カラー写真がどのページにもあるように編集した。誰もがこの通りやれるようにと作った。有機でコメ作りをしようとする人には、必ず役立つ本だと思う。有機農業に関心のある希望者先着50名に無料で差し上げます。この本は小田原有機の里づくり協議会の活動の中で作られたものだ。国の補助を受けて出版することができた。補助の目的は有機農業の普及である。有機農業をやってみようとする人の参考にしてもらう為に作った。必ず役立つ本だと思う。メールで連絡いただければ、着払いでお送りします。
できる限り分かりやすくした本だ。初めて有機のコメ作りをやってみようという人にも、田んぼが出来るように書かれている。農の会は農家ではない人の集まりである。市民が家庭菜園をやるという感覚で田んぼを作っている。家庭コメ作りというようなことだ。その市民的な参加から、新規就農して農家になる人も16家族いた。このコメ作りの本は、農の会の中でも市民的なやり方を書かせてもらったものだ。
市民的なコメ作りと言っても、周辺農家よりも多収している。有機で作っていて、畝取りしている田んぼもある。理由は簡単なことだ。とても手間暇をかけているという事だ。農家にとっては到底できないやり方かと思う。私たちはすべてお借りした農地で耕作をしている。精一杯のことをしなければ申し訳がないと思っている。市民がやるのだから、どうせ遊び半分の田んぼなのだろうと思われないようにやっている。確かに子供が田植えしている。みんなでバーベキューをしながらの田んぼである。楽しい笑い声のあふれる田んぼである。それでも、収量では周辺の田んぼより多収する田んぼである。欠ノ上田んぼでは6年間連続ほぼ畝取りしている。
畝取りできる理由は、明確である。有機農業が優れているからである。伝統的な有機農業で耕作すれば、イネは植物として最高の状態で育つ。最高の状態であるから、当然実りも大きい。当たり前のことであろう。ただし、この伝統的な農業が失われたのは、手がかかりすぎるからだ。農家が行うには到底無理なのだと思う。麦作りで世界一の生産性の上げた日本人がいた。その人は麦の苗を作り、手植えしたという。この精神である。農地を大切に守り育てる。農地の力を最大限生かす。そういう思いで有機のコメ作りを続けてきた。その結果他の人たちにも参考になるコメ作りになっていた。
手がかかるという事をどう考えるかである。手がかかるから大変という事なのだが、これが趣味であればどうであろうか。こんなに手がかかり面白いという事になる。田んぼがスポーツジムであればどうであろうか。田んぼほど健康に良いところはないだろう。身土不二という事が言われる。心身の健康のためには、自分の食は自分で作ることだろう。食べるという事と作るという事が結びついて、初めて、人間は人間になる。
あしがら農の会の田んぼをやれて心から良かったと思う。絵を描く意味もみんなの田んぼをやらなかったらばわからなかった。その時その時の精一杯に生きるという事を田んぼが教えてくれた。田んぼの仲間が教えてくれた。自分の為に絵を描くという事が、人にどうつながってゆくのか。そいう事を田んぼが身体を通して教えてくれたような気がする。