習近平氏の独裁体制の確立
中国では国民投票もなく、習近平体制の独裁化への憲法改定が行われた。中国は国家資本主義を強力に進めている。中国的自国主義というものは、帝国主義的色合いが明確である。対するアメリカの自国主義は焦燥する巨大国家のあがきのようだ。自由主義経済圏と呼ばれた中に日本は存在した。いまやそのような枠組みは無くなったようだ。各国の自国主義が強まる中で、ますます漁夫の利を得たの新興勢力である中国がアメリカを追い越す可能性もつよいのではないだろうか。自由主義経済を標榜するもの同士が互いの権益だけにこだわるようになり、角を突き合わせる傾向が続けば、そういう結果になる日は近まる。イスラム諸国と欧米諸国との繰り返される戦争があった。日本もその支援を要請され加わった。しかし、武力によっては何も解決できず、むしろ深刻な戦争が繰りかえされ、軍事費の浪費を繰り返えしただけになったうえに、テロに晒されることになった。これを眺めている立場の中国はこの間世界中に影響力を高めることができた。
中国はアフリカ諸国や近隣諸国に対して、一帯一路政策で着実に影響力を高めている。今や日本もその枠組みに入れて頂かなければ、経済的不利益が強いと政策に変更せざる得ない状況に至った。そして、どの段階でトランプアメリカがいつ中国と経済連携を強めるかである。その時に至れば、アメリカ一辺倒の日本政府は泡を食う事になるだろう。中国敵視政策を日本が継続することは、日本経済の大きな損失なのだ。トランプはアルミと鉄鋼を国家安全保障上の問題があるとして、関税を課すことにした。同盟国のはずの日本に対しても同様に輸入障壁を設けるというのだ。関税を課す要因を国家安全保障上というのであれば、何故同盟国日本が除外されないのか、戦略の矛盾がある。トランプアメリカの言う同盟とは、アメリカの利益を最優先する同盟である。同盟国が経済的損出を被ることなど眼中にない。この点を日本政府は厳しいものとして認識しておく必要がある。米軍ヘリの事故対応で、安倍氏の直接のお願いも完全に無視されている姿を見なければならない。トランプアメリカは中国の方がアメリカの利益になるとすれば、日本を切り捨ててしまい、どうなろうと関係がないという事である。
中国と日本のどちらがアメリカの利益になるかである。先になればなるほど、中国を無視して世界経済などあり得ない。競争相手ではあるが、日本の十倍の人口を持つまだ発展の余地のある国中国は、アメリカの経済にとって良い取引相手になる可能性が高いに決まっている。トランプにとって、思想も信義もない。お金だけで動く、強欲むき出しの自国主義政権である。利益になる方向に結局は動くはずだ。日本が属国としてふるまい、利用できる国である間は利用するであろうが、中国との関係の方が利益が大きいとなれば、平然と中国が同盟国になると見ておく必要がある。これが、自国主義というものの行き着く先である。そして、この傾向はますます強まるであろう。日本は一日も早く中国敵視政策をやめなければならない。アメリカの方がマシだという、甘い考えは捨てる時期が来ている。日本はどこの国をも敵視してはならない。それが平和主義憲法の国だ。小さな国が武力主義を持たなくとも国の安全保障は保障される世界を模索しなければならない。
習近平政権はロシアのプーチン大統領と似たような長期政権になると考えられる。習近平とどのように付き合うかを考えた方が、トランプのオンリーでいるよりはるかに国の安全保障の可能性が高まる。石原、安倍路線で中国を敵視して、対立を深め、日本の軍事化を進めるという考えは、破綻がますます広がり始めている。日本が憲法を改定して軍事力を高めたところで、中国の国力、軍事力にはるかに及ばないことを自覚すべきだ。中国から学ばなければならない状況が始まっている。中国敵視政策は日本の不利益になる。むしろ、日本は軍事力ではない平和外交の独自の外交戦略を作る。そして世界における独自の位置を確保するほかない。そんな道がある訳がないと考え、軍事力に依存する道を選択したとすれば、今後の世界情勢の不安定化に巻き込まれてゆくことになるだろう。経済が苦しくなるとしても、日本国という尊厳を大切にして、外国に迷惑をかけない国であれば、軍事力競争よりは安全な国家運営になるはずだ。