TPP法案が可決して

   

TPP法案が可決された。あとはアメリカ大統領のトランプ次第という事になった。全く、愚かな日本政府である。アメリカの言いなりになる状況という事である。足元を見られたいうか、馬脚を現したというか。それほどアメリカに縋りつきたいアベ政権姿は情けない限りである。すでにソフトバンクもアベ氏もトランプ訪問でご機嫌伺いだから、グローバル企業とその使い走りのような姿を見せつけられる。トランプアメリカは露骨にアメリカの利益のために動き出すだろう。それを当然として正義の建前は言わなくなるという事だ。そもそも自由貿易というものの正義は、グローバル企業の正義だ。国という枠を超え自由な経済活動をしたいからグローバル企業なのだ。トランプアメリカが一国主義を主張したところで、アメリカの企業が黙ってはいない。グローバル企業は税金を払いたくないから、タックスヘブンを利用するような組織である。

トランプが注目するのは中国のはずだ。商売人なら当たり前のことだ。日本の10倍の規模の市場である。TPP加盟国すべてを集めたよりも、中国の方が大きいのだ。しかも、発展途上でアメリカと競合する日本とは大違いだ。アベ政権がいくら中国の覇権主義を批判しようが、武力よりも経済がトランプの基本姿勢なのだから、日本は置いてけぼりになる。アベノミクス3つの矢全てが失敗に終わろうとしている金融緩和しても物価は2%の上昇をしない。拡張的な財政 政策は国家財政赤字をさらに増加させた。成長戦略はないに等しい。景気は低迷を続けている。国民総生産GDPは20年前と変わらない状態である。つまり国民総生産が伸びない国になっている。中国の3分の1程度の大きさである。一人当たりでも香港より低い。アベノミクスの一番の問題点は日本経済の停滞を認めないところにある。アベは買いだでアベ株を買った人は大損したわけだ。まず日本の経済は成長型から停滞型に変わったことを認めるところから始める必要がある。

アベ政権はTPPに拘っていては、判断を誤る。そもそもTPPは日本の文化を喪失する方角にある。日本が独立国家としての自立を失う方角である。何よりも食糧の自給は最低限の国家としての基本である。それをアメリカにゆだねてしまうのであれば、日本の独立が危うくなる。経済の前提として、食糧の自給が最重要項目だ。農産物の輸出を目指す、農産物の国際競争力と主張しているが、全く本末転倒である。食糧の自給をしたうえで、輸出のことは考えればいいことだ。食糧自給を捨ててまで、国際競争力は考える必要がない。農家は国際競争力をつけるという事で、稲作から離れ、野菜や果樹に力点を置くのかもしれない。それ自体は悪いことではないが、稲作農業を失う事は、日本が食糧自給の道を放棄することになる。それは国家としての骨格を失う事になる。

グローバル企業としの日本の企業は、食糧自給など単なる負担であろう。日本という枠組みはない方が良いと考えている側面がある。国際競争からしてみれば当然のことだ。食糧を輸入して、自動車を売った方が利益が出ると考えている。それは石油を売っていれば、生活が豊かになった国と同様の危機である。石油が売れなくなれば終わり、自動車が売れなくなれば終わる。食糧の自給は国の基本要件である。今のせめて倍の80%程度の食糧自給できる国でなければならない。政府のTPPに対する農業政策では、稲作の現状維持すらできない。それはTPPだけの問題ではない。政府が本音では稲作農業を諦めているからだ。TPP法案を日本が批准した結果、アメリカに縋りつこうという姿をさらしてしまったのだ。トランプアメリカは、日本の足元を見てとんでもない主張を始めることだろう。

 - Peace Cafe