アメリカでもTPP反対
アメリカの大統領選挙ではTPPは両候補が反対している。日本でも選挙の際は農業分野の聖域は守るとまで、国会決議している。ところが、実際はTPPは進んでゆく。理由はグローバル企業である。アメリカでもどちらの候補が当選するにしても、結局は進めることになるとみている。理由は、TPPの恩恵を独占するのが、グローバル企業だからだ。大企業が良くなれば、すべての国民の暮らしが良くなるというのがアベノミクスだが、間違いであることは現実を見れば間違えであるのは明白だ。アメリカでも一般の国民の暮らしには、TPPが迷惑なことになるのは間違いがない。日本の聖域のはずの稲作が、このまま消えてゆくだろうことは、疑いがない。稲作はTPPがなくとも、現状のままなら消えてゆく。地方消滅と同じことである。特別な政策がない限り、稲作は消えてゆく。TPPが結ばれたのちに、稲作保護の特別法を作ることは出来なくなるだろう。
アメリカでも大企業の恩恵のない人たちは、不利益を被るはずだ。それが多数派だから、大統領選挙ではTPP反対を主張する。1%の富裕層がグローバル企業の利益を目指し、99%の中間層以下の人がTPPに反対する。当選した大統領はTPPの見直しを主張することだろう。アメリカ有利になる主張を蒸し返すはずだ。アベ政権が日本国民利益を考える、まともな日本の政府であれば、当然アメリカの選挙結果を待ち、そののちにアメリカと交渉を行い、その結果を見てから結論を出すはずだ。ところが、このタイミングで強引に国会で結論を出そうとしている。明らかにグローバル企業の利益優先だ。アメリカの新しい主張は交渉過程で表面化するはずだ。それが出てきたら、日本国民がTPP反対に傾くと予想されるからである。何故、アベ政権がここまで拙速なことをするかと言えば、アベ政権はグローバル企業最優先以外考えられない。それは韓国が犯した過ちと同じである。サムスンはスマフォが燃えて、大慌てである。一部の企業への国策の集中が必ずしも国民全体の幸せにつながらなかった。韓国は大混乱に陥っている。
稲作農業を日本が止めるという事は日本が日本でなくなるという事に繋がる。又かという主張であるが。日本という地域に暮らす、日本人がどこを目指すのかという事である。お金持ちになるための競争に明け暮れるとすれば、大多数の人が落ちこぼれになるという事である。一番でなければならないとすれば、一番になれない99%の人は、生きる価値のない人という事になる。これは資本主義の競争原理を全ての人の生き方にまで、及ぼす悪い思想である。稲作をして暮らすという事は、競争から離れて地に足をつけ暮らすという事だ。競争ではなく、共存してゆくという事だ。もちろん大多数の国民は直接稲作をする訳ではないが、瑞穂の国として稲作をする精神を尊重してゆくこと。それが美しい日本の基本である。お米を食べる消費者は、安いお米が手に入るようになるだけなら、有難いと考えることだろうが、そのことで失われる、日本文化全体の大きさを考えなければならない。
グローバル企業一辺倒であれば、国は危うい綱渡りになる。企業というものはいい時もあれば、悪くなることもある。グローバル企業は都合によっては国家を見捨てるだろう。利益が出るとなれば、国益を捨ててタックスヘブンとやらに抜け道を作る。グローバル企業は身勝手で、安定性のないものだ。国家が寄りかかるのは極めて危険だ。国家の安定の基礎は食糧である。食糧は暮らしの基礎である。人はお米さえあればなんとか生きて行ける。これから世界はさらなる競争の激化が起こるだろう。食糧不足も始まることだろう。戦争も今以上に激しくなる。そうした不安定な社会を前にして、競争に負けてはならないと、グローバル企業に日本を託そうという考えは、危うすぎる選択である。競争から離れることだ。苦しいかもしれないが、結局のところそれが安全という事だ。