宜野湾市長選挙結果

   

宜野湾市では辺野古移設反対の候補が敗れた。沖縄の悩みは深い。この結果は驚くに当たらない。公明党が自民党が支持した現職候補を推した結果である。公明党が自由投票にすれば、結果は違ったと思う。そのことは、最近の沖縄の選挙すべてに言えることだ。こんなことで、日本の政治はどうなるのだろうか。公明党次第ですべてが動くという事になる。今そのことを自民党は参議院選挙を前にして、公明党の存在の大きさを身に染みているだろう。甘利大臣はだから大臣を止める。沖縄公明党は辺野古移設反対を表明している矛盾。普天間基地に出て行ってもらいたいという、宜野湾市の市民の声には重いものがある。公明党がどうしても自民党に依存しておかなければならない宗教的野心。公明党の本音と、安倍氏の本音。鵺から指示ではない傀儡ではない生身の安倍氏が垣間見える。たぶん、既得権益集団と官僚の結束したものと安倍氏の対立は始まっている。

安倍政権はわずかずつ本音が、きしみながら出始めている。そこにぶつけられたのが甘利大臣の賄賂疑惑。公明党ではっきりしている唯一のことは賄賂には厳しい政党である。ここまでの安倍政権は従来の自民党政権の中でもアメリカ追随外交だけだ。それは軍国主義的傾向の思想がどうしても陥る矛盾に見えていた。国粋主義的傾向であるにもかかわらず、日本独自の軍事力では安心ができない、アメリカの軍事力の配下になってしまう矛盾だ。そのために、肝心なところでは日本独自の外交政策というものは取ることができない。常にアメリカの利害を伺いながら、その範疇での日本外交となる。TPPはその結果である。現状では中国という、アメリカと対抗するという新勢力に対して、より強硬な姿勢を見せることでアメリカの歓心を買うというみじめな外交である。日本に独自の方向があるとすれば、本来東アジアにおける、共同体の成立である。日本が中心にならない、大東亜共栄圏である。東アジアのすべての国が平等の立場で、国という枠を超える連合体を作る。EUのような共通の経済圏を構築することだろう。

安倍政権の独自性がどこを向いているのかである。安倍政権と言っても今までのところ、日本の官僚を代表とする既得権集団の傀儡政権であった。ところが安倍政権はその傀儡からの離脱を計り始めているのではないかという事だ。民主党政権が官僚と合同した既得権益集団に、滅ぼされたのと同様に、これから、安倍が独自路線を打ち出せば、内部対立は深まるはずだ。日本の外交がいくつかに分裂しているところにそのことが現れ始めた様子がうかがえる。まず、経済危機に陥っているロシアへの接近はアメリカの利益と矛盾。何故、日本の軍事技術や、原子力技術を外国に供与始めたかである。オーストラリアに潜水艦技術を提供し、インド、イギリスに原子力技術を提供する。そしてそれと逆行するように、捕鯨の再開でオーストラリアとの対立。アメリカが喜ばないようなことが目立たないように始まっている。安倍政権が第二の田名角栄になって、アメリカと官僚に引きずり降ろされることもありうる。そうならないように、アメリカの歓心をさらに買うために辺野古移設は強行するだろう。そして沖縄の基地負担は軽減できない。

世界の協調はたやすいことではない。EUもテロと経済バランスの崩壊という危ういところまで来ている。しかし、大きな方角としては目指すべき世界は、経済共同体である。ところが、アメリカの軍事力の下にある日本としては、アメリカの思惑を超えて中国に近づくことは出来ない。安倍政権はむしろ、アメリカの先兵として姿勢を深め、中国との対立の方針のようだ。それと同時に、アセアンやインド豪州と共同体の構想をTPPの背景で持とうとしているのではないか。アメリカはそう簡単な国ではない。どこの国もなかなかしたたかなものだ。日本に先兵の役割を振りながら、実はアメリカ方式で日本の頭越しに、中国との関係構築を図る可能性も出てきている。今後外交で起こることでみておくべきことは、安倍政権で起こる政策矛盾である。安倍氏が傀儡から、鵺から脱して、自分の主張を出し始めた時に起こることだ。そうした暗闘に憲法改定問題も巻き込まれてゆくのではないだろうか。

 - Peace Cafe