翁長知事と中谷防衛大臣の会談
相も変わらず中谷防衛大臣は「辺野古への移設が唯一の解決策と確信している」と述べ、初めての会談は物別れに終わった。そもそも今頃会うと言う事では遅すぎる。問題になる事は分かっているのだから、知事が交代したらすぐにも、防衛大臣は会いに行かなければならない。今回初めて、辺野古への移設が唯一の解決策である理由が示された。アメリカ海兵隊の基地が辺野古に建設される事が、中国に対する抑止力になるという考えである。考えを明確にした事は一歩前進である。いよいよ、この考え方が正しいのかどうかである。そして、それが正しいとすれば、沖縄の基地軽減はないと考えなければならない。まず、中国の脅威というもは、中国が日本に攻めてくるという可能性を、防衛するという意味だろうか。多分そうではなく、中国のアジア進出を食い止めたいと言う事なのだろう。中国が日本に攻めてくる可能性はほぼないと言っていい。確かに尖閣諸島に侵攻してくる可能性がないとは言えないが、尖閣を騒ぎにしようと棚から降ろしたのは、石原氏である。
中国との緊張を下げるためには、尖閣をまた棚上げするのが一番である。尖閣を日中の中間地帯として、両国で領有権を今後の課題として検討する地域とすればいい。その方が辺野古に基地を移設するより経費もかからない。本音で言えば、領土問題は日本人の暮らし全体から見れば、些細なつまらない話である。わざわざ中国との軋轢を高め、日本の軍事強化を進めようとしたのが尖閣問題である。アメリカの圧力であり、安倍政権の本音が背景にある。何処かに国境紛争という火種を常に残しておきたいのだ。何かの時にその火種に火をつけたいのだ。そして、憲法改正まで行こうと言う、一貫した保守派の方針である。これは竹島も、北方領土も結果的に日本人の愛国心に火を付ける、火種なのだ。日本を軍事国家にしなければ、日本を守れないという人たちにとっては、日本人が生ぬるくなっていて、国際感覚の無いアマちゃんで不安で仕方がないのだ。だから、領土問題で緊張感を高める材料を残して置きたいのだ。
アメリカは確かに辺野古に新基地を必要としている。それはアメリカの国際戦略に従った、中国への圧力である。それなら、何故基地が韓国ではいけないのか。ガゥムではダメなのか。また、何処かの無人島ではいけないのか。辺野古が唯一の道の背景とは、日米軍事同盟における日本の隷属を世界に示すためだろう。アメリカとしては、沖縄本島にある事が、海兵隊員のストレス発散にもいいという事とだと思える。実際の所では、中国は日本にとって危険な国ではない。日本に攻めてくるような利益がない。アジア全体での経済権益は中国はこだわるであろう。日本も、アメリカも、アジアの経済的影響力の確保を狙っている。ここでも、国家と世界企業の問題である。企業が利潤を上げるための行動が国の利益とは限らない。にもかかわらず、国家は相変わらず、企業優先の経済政策を進めようとしているのだ。現状ではそれは間違いではないのかもしれないが、遠からず、企業が国を越える時が来そうだ。
中谷氏の説明の、日本への中国の軍事的野望を防ぐための、辺野古アメリカ海兵隊機基地建設という説明は、以上のように唯一の道とは全く違うのだ。中国圏の形成を阻止し、世界進出を阻止したい。背景は中国との経済競争に勝ちたい。その意思の表れなのだ。中国がいかにも日本に攻めてくるかのような、状況を作り出し、日本人の愛国心を盛り上げ、日米の共同戦線で対抗しようと言う意思だ。もし、本当に軍事的不安があるとすれば、むしろ対ロシアである。ロシアはヨーロッパから追い詰められ、ついにNATO勢力にウクライナまで引き込む事になった。NATO圏が広がり直接ロシアに接したのだ。この脅威に対抗しているのが、ロシアの核戦争準備のプーチン演説だろう。安倍政権が対中国で行った、ロシアとの連帯の構想は全く無駄になった。基地を作るなら、辺野古ではなく北海道方面ではないのか。