JA全中の解体論
JA全中が政府の主張してきた、各農協への監督や監査の権限の排除を受け入れた。全中は監査の対価として、80億円の資金を得ている。その潤沢な資金でTPP反対を繰り広げているという政府の主張である。資金を断てば、TPPでも妥協するだろうと言う考えのようだ。しかし、政府はアベノミクスの第3の矢の成長戦略の要と主張している、岩盤規制の撤去。既得権益の打破の象徴がJA全中。各農協が自由な経営を行えるようになって、農業改革が進み、農家の所得倍増と言う政策に弾みが付くと言う主張である。これで、農家所得が倍増すると言われても、一体どうつながるのか、全くめちゃくちゃな主張である。勿論誰もがそんな無理な繋がりは承知の上で、事が進む。一応の論理は、各農協が自由に農産物の生産販売に工夫すると言う事になれば、農家の所得があがるという筋書きのようだ。各農協自体がそんな馬鹿なと思っているだろう。
河野太郎氏は今回の全農改革についてブログに書いているが、自分の選挙区の神奈川県の農業には全く触れていない。観念的に農協改革を述べているにすぎない。全中の指導が無くなれば、各農協が農産物販売の先頭に立つというイメージが全く湧いてこない。やる所は既にやっているし、全中が岩盤として立ちはだかり、それを今まで抑えてきたので、農家所得が半減しているとするなら、政府には具体的に証拠を示してもらいたい。そんな事例は無いはずである。今回のJA全中解体が悪いとは思わない。各農家と関係がない話しになっているからである。農協は確かに存在していて、農家を守っている。小田原での放射能汚染の補償も、農協を通して行った人達は、すぐに補償金をもらった。いい子にしていれば、良い目にあう。原発反対など言わない事だと言う。圧力がはっきりとある。岩盤規制どころか、岩盤権力構造である。その意味で、政府と繋がっている全中は解体した方がいいし、県連も同様だと考える。
本来の農協と言うものは、生産から販売までを一貫して行い、農家が中間業者に利益を取られてしまわないための組織だ。こういう見解は報道では完全に欠落している。たとえば、宮古島の農家がサトウキビを作る。そのサトウキビを農協の精糖工場で砂糖という製品にする。そして、農協を通して全国に販売する。農協の砂糖工場が無ければ、農家はサトウキビを買い叩かれてしまうかもしれない。あるいは、農家には充分な対価が払われず、流通段階で利益がかすめ取られてしまうかもわからない。上手く機能していれば、たしかに、世界1の商社としての農協と言うものが機能する。私が卵を生産し、直接消費者に届けてきたやり方を巨大化したものである。農協は本来は最も合理的なシステムのはずだ。
ところが、農家と消費者の間に農協が介在することで、農産物の流れが、見えなくなてしまった現実がある。例えば学校給食のお米である。小田原の地元でとれたお米を、学校給食で食べれるようにしよう。それが学校で給食を行う意義であろうと誰もが思う。小田原農協も、そうした主張を小田原議会に請願として出していた。そこで、私たち米飯給食を全国レベルにと活動していたグループが、同じ主張なのだから、一緒に行動しようと話し合いの席を持った。所がそれがとんでもない結果になって、それ以来私は農協に敵対する人間と言う事になった。未だその理由が分からないが、どうも新参者の私が、農協に意見を言う等とんでもない撥ね上がりだという、封建的意識の様だった。地域には地域の秩序がある。発言をするなら、地域の順序に従えという事の様だった。全中が解体され、次は県。そして各農協も力を失う。そして商社の行う、プランテーション農業への転換である。TPP対策の農業補助金はそこに注がれる事になるだろう。その約束が全農と政府で出来上がったという、全農解体である。益々、自給農業の確立が急がれる。