厚木湯花楽

   

庭の眺め 中判全紙 赤い花は椿であす。黄色い花は菜の花である。この絵は気に入っている。多分説明的でないのに、庭を見ている気分があるからだと思う。

最近厚木湯花楽に何度か出掛けた。田んぼが終わり、気分的には骨休めのつもりもある。なんで厚木まで日帰り温泉に行かなければならなくなったかについては、お恥ずかしい事情がある。インターネットチケットである。以前、秦野湯花楽のチケットをインターネットで購入したが、良く分からないという話を書いたのだが、もう一度買った。こわごわ秦野湯花楽に出掛けたら、なんとその券は厚木湯花楽のものだったのだ。無駄にするわけにもいかないので、何がどう無駄なのかもこうなると分からないのだが、ともかく行った事のない厚木湯花楽というだけでも興味が湧いてくるので、秦野から厚木に向かった。行けば分かると思った厚木湯花楽を発見することが出来ず、そのまま帰る事になってしまった。ひどい話だ。厚木を秦野くらいの町だと思った事が間違いだった。厚木は都会の大きな町だった。日を改めて出直した。すると驚いた事に臨時休業である。風呂屋に出掛けるのに、こんなに手間どるとは。

厚木に行く方が無駄だというのは分かっているのだが。券は無駄にできないし、気を取り直して、3回目の正直で厚木まで出かけた。厚木の湯花楽はなかなかよかったのだ。おおむね、秦野湯花楽よりわずかに高級志向である。小田原の万葉の湯と近い感じがある。どこで分けるのかと言えば、洗い場のしきりである。洗い場に仕切りがあるのは中級以上という判定でいいだろう。昔からの銭湯には仕切りなぞない。所が最近の人のなかにはマナーが無い場合がある。お湯を掛けた掛けないでもめるわけだ。その位どうでもいいのだが、人間がイラついている。そこで仕切りのある風呂屋が高くても好きという人がいるのだろう。この点、平塚の湯快爽快では4分の1だけ仕切りのある洗い場があるし、障害者枠まである。良い判断である。厚木湯花楽はミストサウナだけである。ミストサウナというものに長く入るのは初めての事だ。熱くないというのは嘘だ。温度が60度以下に設定されていたとしても、暑くないわけがない。入っていられる時間は同じだった。

お風呂は2層になっている。上の階は屋上で露天風呂である。案外に悪くない。ここにはラドン温泉らしきものがあった。さすがにこの時世で入る人は見なかった。行ってみたのだが、ドーム風呂という感じで、それなりの良さがある。ラドンがどうかは一度や二度では分からない。弱いタンサンセンらしきものがあったが、ここにはテレビがあって、一番人が集まっていた。風呂で相撲を見るというのは極楽風呂である。さらに良かったのは、立ち湯である。かなり深めの風呂で底には5センチほど石が敷き詰めてある。ここを歩きながら入るのだ。足裏の痛い感触がなかなかいい。周囲の立派な庭石に驚く、屋上まで良く上げたものだ。よく天井が抜けない。どうもこういう露天風呂が多いいのだが、向昌院の裏庭の鯉の池に入っているような気になって困る。庭石を手で伝わりながら、何周も歩いた。他には入る人がいなかった。歩いているのが気になって来ないのかもしれない。マナー知らずの迷惑な客は私だ。

さらにすばらしいのが地下1500メートルからの源泉かけながしの冷泉である。井戸は深いほどいいという訳ではないが、コロナの湯の1000メートルから、厚木では1500メートルに深化した。22度位の冷泉なのだが、入っていれば体が休まって来る。冷たい水につかって、静かな気持ちになる。そして、水の流れ落ちる音を聞きながら、このせせらぎが体の中を通り抜けているような状態になる。出来れば浮いているのがいい。自分が水になったような気分になる。10分もすると、身体が浄化されたような気分になれる。さらに16度とかいう水風呂もあるが、そちらと交互に入ると悪くない。相当詳しくなったのは、チケットが5枚もあって、何度も行ったからだ。間違いから始まった事だが。なかなかのお風呂に入れて頂いた。有難い体験をした。ついでに食事は一度だけ食べたが、それなりのレベルで悪くはないが、良くもなかった。

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