国家と世界企業

   

花 3号

アメリカでは、オバマ大統領が企業がアメリカの国益を無視していると主張している。アメリカの法人税は、日本より高い。詳しい税金の制度は知らないが、40%台らしい。アメリカがロシアとの対立をウクライナ危機で高めた。しかし、企業によっては今現在ロシアとの協力を深めている所もある。当然のことで、グローバル企業にとって、企業利益と国益と言うものが相反した時、企業利益を優先するのが株主の利益ということになる。日本の法人税は高いので、海外に企業が出てゆくと、このように言われている。そこで安い海外の法人税に日本も合わせる方向の様だ。法人税を格安にして、名目的に企業を誘致する国がある。オランダはそうだと聞いた。日本の様に深刻な財政赤字を抱えた状況はまさに国家の危機ともいえる。こんな状況で、法人税が高いから日本を捨てるというようなグローバル企業なら、早く出ていってもらった方が良い。日本にいる世界企業には、日本にいる、それなりの理由がある。法人税だけで判断するほど愚かな企業があるのだろうか。

大企業は相変わらず円安による増収の所が多いいようだ。その一方で、個人の暮らしは苦しくなっている。円安になって、貿易赤字がどんどん拡大している。円安でエネルギーが急騰している。確かに日本の農産物の輸出が伸びている。円が10%下がると10%農産物輸出が増えるなら、こうして伸びた農産物の国際競争力は、本質的な農業の実力とは言えない。常に円安誘導して居なくては成らないとすれば、国民の生活を削っての輸出だ。アベノミクスの企業優遇は貿易と言う日本の産業の20%くらいの分野に、偏重しすぎている。その為に、日本人の暮らしは円安分、悪くなった。そして格差が広がった。アベノミックスはすべてを株高に照準を合わせている。今は年金の資金まで、株式相場に入れ込んでいる。円安誘導はその最たるものだが、その結果輸入エネルギー価格が、どんどん高くなっている。それをすべて原発稼働停止の為と主張している。法人税の変更では、法人税を下げる半面、利益とは関係なく、赤字の企業からも徴収する方針らしい。これも大企業優遇ということになる。

法人税の値下げを進めれば、株価が上がる要因になる。日本人のすべてが力を合わせなければ乗り切れない財政危機に、企業活動がしやすいように法人税の値下げをしようとするのが、アベノミックスの実態のようだ。株価の上昇の為には公的年金の株式投資まで行っている。信託銀行が年金資金で、株購入をやっているらしいのだが、高値でまとめ買いしているので、それと分るということだ。財政が破たん状況にもかかわらず、財政のさらなる膨張が予測される。来年度予算では、公共事業のばらまきまでまた再開である。地方創生の裏にあるのはこういうことなのだろう。何故自民党が財政破たんにもかかわらず、コンクリートを再開するのは、選挙対策である。公共事業の誘致が、地方の議員の腕の見せ所なのだ。地方を創生するというのであれば、大きな枠組みを見せてもらいたい。どのような方向に地方を創生するかが、一番の問題なのだ。国滅んで企業栄える。世界企業が日本国を支えてくれるとは考えない方が良い。

日本企業の中国での態度を見てみれば、企業は安倍氏の主張する国益とは別の動きをしている。中国の反日暴動の様な動きにも、日本企業はじっと我慢して引き上げる訳でもない。市場としての中国の力に言いたいことも言えないでいる。今度は日本企業が独占禁止法違反だとか、カルテルを組んでいるとか。難癖をつけ始めた。それでも儲けるためには、企業はすべてを我慢して耐えようとしている。中国と戦えというのではない。こうした企業のように、日本政府も耐えなければならない。靖国神社に参拝して、国民を煽るようなことをしないでほしい。戦争で日本の為に死んだ人たちなら、そう考えているはずだ。経済が国を越えるのは当然の原理だ。経済関係が融和する要因になるはずだ。競争ではなく、共同である。政府は互いの存在が生かされるように努力しなくてはならない。

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