トロトロ層、ソバカス抑草
東伊豆海岸 10号 山は畑であった所がもとに戻った場所だ。せっかくの山の畑がと思うが、この自然に戻ってゆく姿もなかなか面白い。不謹慎のようだが、自然の遷移とは違う人の手入れの名残というものが、なかなかである。
田んぼでは現在トロトロ層が形成されてきている。どのようなメカニズムで出来るのか考えてみる。欠ノ上田んぼは11枚+水温を上げるクワイの溜池と12に分かれている。水口は5つに分かれている。それが一つの棚田として一か所にあるという複雑な田んぼである。この為に、田んぼの状態がわずかずつ違うものが、12種類あるともいえる。この為に、良くよく観察して見ている内に、まるで田んぼの研究の為に準備されたようになものだと思うようになった。生きもので見ると、一番最初に生きものが大量発生したのは、4番田んぼである。その次が3番田んぼである。それは当然のことで、苗代を行うために、3月から水が入った田んぼである。この田んぼはいわば春水田んぼ的で、2カ月の時間差で代かきをした場合、生きものはどのような発生をするのか。豊年エビが一番先に見つかったのは、2番田んぼである。そして、10番田んぼが次に豊年エビがかなりの数発生した。イトミミズが多く出ているのは、11番の湧水で作っている田んぼの水尻あたりである。
いずれの田んぼも、田植えが終わり水が入りしだい、ソバカスを播く。しかし、例年9番はなかなか水が入らない。その為に枯れた稲も10本ほど出たほどである。しかしこの田んぼこそ、全体の中で生産力が一番高く12俵も採れた。この田んぼは4日ほど遅れてソバカスを播いた。5番田んぼは田植え直後から、蒔いたソバカスが表層を漂い。1週間は完全に覆われた状態だった。それはまるで、水面が地面のように見えて、近所の方が水が抜けていると教えてくれた事があるほどだ。その後沈殿したソバカスは、地表にデロデロな3ミリほどの厚さの表層を作る。そのご2週目になると、そのデロデロは、3,4センチほどの浮遊物になり水面に浮きあがる。この間コロガシを入れる。もちろんその田んぼには、全く草はないとしても、コロガシを入れる。コロガシが入れば、浮遊物は一気に増えるが、田んぼの表面にもデロデロの様な、海藻の様なものが、剥がれながらたくさんある。
こんな状態の田んぼは、6番7番、田んぼも似ている。生きものが大いい、先ずミジンコが水を濁らすほど出る。1週目位がピークになる。その頃大量のオタマジャクシがどの田んぼにも現われる。2週目になった現在オタマジャクシは大きさが田んぼごとに違う。種類が違うのではなく、餌の量と発生のタイミングの違いである。2番の最初に豊年エビを見つけた田んぼが一番オタマジャクシが多い。ハヤの小さいものが流れ込んでいた。ハヤは1番、3番田んぼにもいた。4番の苗場にしていた田んぼは、現状ではかなりおとなしい感じに治まって来た。コシマゲンゴロウが多いいのは11番で、他にもいるが11番が一番多い。ヒメゲンゴロウはどこの田んぼにもいる。ガムシもどこの田んぼにもいる。11番のようにイトミミズがトロトロ層を作るということは分るが、他の生き物もトロトロ層の形成には、大きく影響しているようだ。
腐植有機物が沢山あり、植物性のプランクトンが大量に発生する状態。冬の間に鶏フン堆肥が蒔かれること。田植え直後にソバカスが投入されること。沢山のミジンコが湧いてきて、ミジンコを餌とする生物が集まってくる。その結果トロトロ層が出来上がる。トロトロ層の判断は土を手で触って確認することが一番である。触ってみて浮き上がるほど軽い土の層が出来ていることが、トロトロ層が出来ていることである。厚さは、田んぼによって、場所によって随分と違う。水温が高いところの方がより厚く出来上がる。出来れば似た条件の慣行農法の田んぼの土を触り、その感触の違いを覚えておくことが必要である。