温泉地学研究所
雲海 10号 谷間の村はもう暗く、明りが目立っている。遠くの山は赤く染まった海のような雲に浮かんでいる。
新任自治会長研修で、神奈川県の施設である温泉地学研究所に行った。研究所の行竹洋平技師は、「内陸地震の発生過程に関する研究」で、「2013年度日本地震学会若手学術奨励賞」を受賞している。レベルの高い研究施設である。道家さんという職員の方から、この地域の地震と火山爆発について丁寧なお話を聞くことが出来た。この施設には、温泉という名前があるように、箱根等の温泉を調べるために、1961年に温泉研究所として設立されたものである。1995年に地球博物館の隣の場所に移転した。展示などもあり、誰でも見せてもらうことができる。展示を見ていると、なんともいつ、富士山、箱根の噴火や、地震や津波が来るかもしれないという気分になる。過去の災害の説明が中心である。何とも災害地域なのかと思ってしまうが、たぶん日本中調べれば調べるほど、忘れられた災害が出てくるはずだ。箱根では昨年群発地震があった。何年か前には震度6の大きな地震もあった。箱根は今もガスが大涌谷で噴き出ている。マグマが地下7キロから10キロにあって、この変化を測定しているそうだ。群発地震は収まってきていて、今のところ噴火の兆候はないそうだ。
GPSで箱根の向こう側の裾野市と研究所との距離を細かく測定を継続しているそうだ。この距離が広がることと、火山性のガスの噴出量が増加は連動しているそうだ。群発地震がおおいい時期は2センチほどの広がりがあったそうだ。しかし、マグマが上がってきた場合は、もっと大きな距離が開いてくると推測されるそうだ。現在のところ、群発地震は収束して噴火の可能性は近づいてきていないそうだ。安心した。そして、最近よく言われる、富士山噴火である。まず、1707年の宝永の噴火の被害の話に成ったが、これについては先日、南足柄の老人大学で細かな、前兆現象など教えていただいたので、前兆としてあった大地震の意味には、興味があった。火山灰は、小田原では8センチくらいのもので、山北では30センチだそうだ。これは実際に山北でも小田原でも開墾をしたので、体験的に実感している。火山灰はガラスで細かいので灰色に見えると言われていた。
灰はそうだが、実際降り積もったものは、1センチから2センチほど火山礫である。これでラン栽培が出来ないか、色々試してみたことがある。使い方によっては有用なものである。富士山では2011年3月15日にマグニチュード6.4の地震があった。これが富士山噴火の前兆ではないかと、心配された訳だ。道家さんの話では、2000年にマグマの変動による地震が多かったということである。富士山もGPSで測量がされていて、ふくらみの変化が刻々わかるそうだ。当然微細な地震の測定もされている。何か富士山に聴診器をあてて、診察しているようだ。そうした測定が整備されてきているので、噴火予測は数日前には予測できる可能性が高いそうだ。これを聞いてずいぶん安心できた。不安を煽るテレビは視聴率が高くなるので、テレビはまるで明日にでも起こるような作りがちである。
小田原は、何とも世界で最も複雑なプレートの衝突場所である。太平洋プレート、北米プレート、フィリピン海プレートが交差しながら潜り込んでいる。伊豆半島は島として誕生し、プレートの移動で日本列島にぶつかって半島に成った。その根本なのだから、大きな火山が当然存在する。過去の9つの地震による地域の災害や、また今後の災害予測はEかなマップに出ている。という説明があった。私もこれは時々見ているが、まだ土砂災害等の調査が不足していて、それほど精度の高い予測とは思えない。しかし、見ていると興味深いものがあることは確かである。占い師の様な災害予想師による、地震や噴火の予測がインターネットでは流れることがある。いつ起きてもおかしくないと言われる状況の中で出てくるので、動揺する人もいる。こういう施設には十分な予算措置をして、精度の高い機器を導入し、正確なデーターをさらに深めてもらいたいと思う。