飼料米の奨励金

   

日経新聞より
飼料用米を作ると10アール当たり年間で8万円受け取るが、収穫量に応じて支払う仕組みを取り入れ、最大10万5000円にする。減反に農家の協力をとりつけるために、10アール当たり最大年5400円の新たな補助金も設ける。
農道の草刈りや水路の泥上げなどに協力した場合、「農地維持支払い」として10アール当たり年最大3000円を配る。農村の景観維持を手助けした場合には「資源向上支払い」として10アール当たり年最大2400円を支給する。

今になって飼料米に奨励金が出る。少し遅いかもしれない。15年前に、これをやるべきだったのだ。そうすればまだ農家に力のある間に、良い方向に変わることが出来たのかもしれない。1反飼料米を作れば、10万円もらえるらしい。もし本当に実行されるとしたら、多くの老齢農家は経営を変えることになるのだろうか。作った餌はキロ40円までなら、養鶏でも使うことが出来る。1反で500キロ採れるとして、2万円にしかならないので、今までは広がらなかった、補助金をいれれば1反で12万円になる。これは1俵15、000円ということだ。これなら農協に出すとかわらない。場合によってはいいのかもしれない。4町歩やれば、500万円に成り、暮らして行ける。4町歩のたんぼを兼業でやっている人はいる。足柄平野でも、牛はかなりいるので、その分の飼料を地元で作るということが可能になる。飼料米であれば、食べるお米より作りやすいはずだ。

有機栽培はお米ならば難しくない。雑草対策が一番の課題であるが、克服する技術は出てきている。次の課題は有機苗であるが、育苗センターで、有機のものを販売するように技術開発すればいい。もし飼料が有機となれば、卵や肉に付加価値が付くから、価格も高めに付けられるだろう。それなら海外の安い畜産製品に対抗できる可能性がある。そうなれば、2町歩位やる養鶏農家というのも、ありえることになる。お米で250万円。養鶏で250万円。私が若かったら始めるところだ。問題はこの政策に乗る若い人が居るのかどうかである。先日この飼料米が減反分すべて耕作されれば、補助金の政府の負担は今の数倍になるという試算が出ていた。財政が厳しい中、本当に政府は実行できるかが問題である。田んぼを私が2町歩やるとすれば、機械に準備などに初期投資が必要になる。安く準備したとしても、機械小屋を始め相当の準備をしてとりかかる。それだけの信頼感が政府の農政にはない。踏み切っていいものかどうかの判断である。

TPPとの兼ね合いがある。この政策はTPP妥結が前提となっている。TPPに加盟するということは、将来関税が無くなるということを覚悟すべきだ。経過措置はあるとしても、日本の食料に関しては、徐々に保護政策を抜け出ることになる。国際競争力のある農業となれば、ベトナムの田んぼで、日本商社の作る安いお米に対抗できるわけがない。工業製品の海外生産と全く同じ経過を経るだろう。TPPに参加するということは、経済的には国境がなくなるということまで、覚悟して加わるべきことなのだ。今加盟する衝撃を和らげるために、様々な措置が取られるだろうが、果たして、新規参入者が自分の人生をかけるだけの、確実な材料と言えるかである。結局はその場その場の政策に翻弄されながら、やってゆく以外にないのだろう。私は、食品リサイクル法にとても期待した。理想を語った農水の方を恨む訳ではないが、廃棄される食品の問題は、10年経っても一向に改善されない。

減反廃止も、飼料米政策も、そういうことにならないだろうか。TPPを妥結すれば、お米の価格は今の半分つまり、60キロ8000円くらいになると言われている。この価格でも可能な農業があるとすれば、大企業農業である。少々の大きさではなく、日本全体が、10社ぐらいの企業農業になるということだ。自動車会社や、JRみたいな規模になる。これは最終的な予測される状態である。それ以外の、小さい農家が経済とは関係なく、伝統農家として、保存されるように残るだろう。伝統工芸の世界を考えたらわかる。しかし、この伝統農家が日本の軟着陸の可能性になるはずだ。これについては、今でも考えは変わらない。世界は新しい生き方を見つけない限り、競争の果てに疲弊する。この深刻度は増してきている。疲弊し、辿りつく岸辺は、江戸時代の循環する手入れの暮らしのはずだ。それまで、細々でも自給の技術を保存して行く価値はある。

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