台湾と韓国の違い

   

韓国問題がこじれている。まるで李承晩時代に戻ったように、大統領の日本批判が続く。一方台湾との関係は以前より、さらに良い方向に進んでいる。漁業協定の締結や、経済協力の基礎となる手続きの簡素化等で協定を結んだ。この両国の違いを考えてみると、日本外交の今後の取るべき方策が見えてくるはずだ。日本政府は、韓国の頑な拒否姿勢に対応して、日中関係を重視した方がいいのではないかという、訳のわからないことを主張している。中国と内ないに話しを始めている事をさしているのだろうが。本質的には日中関係の方が、根が深い問題がある。外交は冷静な分析をする以外、障害になるばかりだ。日ロ関係とか、モンゴルとの関係を強化するというなら、まだわかりやすいだろう。いずれにしても韓国、中国とのトラブルの原因は経済である。経済関係の今後の見通しである。特に韓国と日本は経済ライバル国である。韓国はサムスンと、現代である。つまり電化製品と自動車である。

日本を追い越す以外、韓国の未来はないという意識が、韓国全体に存在する。そして、大半の国民が我慢をして頑張っている。韓国経済は極端な輸出依存型である。国内の経済規模は小さい。国家が大企業そのものと言えるような国である。朴大統領の発言は、日本企業に負けないための企業協力発言という色合いが強い。中国でもさんざん行ったし、今回ヨーロッパに於いてセールストークして歩いているのである。その点では、原発のセールスにトルコに出掛けた安倍氏と同じ立場だ。商売上の言葉と考えれば何の不思議もない。従軍慰安婦や、歴史認識の問題がヨーロッパでどう理解されるかという一点である。日本の説明が理解されるのか、韓国の主張が評価されるかである。日本の説明が若干押され気味だから、そこを突いてくるのだ。日本政府は、わかりにくい弁明気味のことを言わないで、何度でもきちっとした謝罪をした方がいいと思う。日本の帝国主義的東アジアへの進出、植民地政策、従軍慰安婦問題。謝罪するところは何度でも明確に謝罪する。そのうえで、いつでも交渉の窓は空けているとする必要がある。

安倍政権に代わって、歴史認識や過去の謝罪が、曖昧になっているという認識が、世界に広がり始めていることは確かだ。ここを突かれているのだ。日本の社会全体の空気が、韓国、中国との競争に不安が生じているから、弱みを見せるわけにはいかなくなっている。日本国が確立していて、未来が見えていれば、自分の過去の問題点を冷静にとらえることが出来るはずだ。日本国の自信の喪失がある。安倍政権は確かに、美しい日本を掲げて方向を示しているかに見える。この美しい瑞穂の国は一体どの方向にあるのだろう。この意思統一がバラバラに玉虫色に時どきで違っているように見える。世界から見れば、この点で軍国主義復活の日本という怪しげな国に見え始めているのではないか。

そこで台湾のことである。台湾ほど危ないところに存在する国はない。しかし、イスラエルとは全く異なる姿勢を貫いている。四方八方に目配りして、台湾の世界での存在感を確立しようとしている。何故台湾との関係が良好なのかである。日本のせいでなく台湾の政治力のおかげだ。尖閣など、もっとこじれてもいい背景があるにもかかわらずだ。植民地時代の統治者が良く、良い植民地政策だったという見方では違う。それ以上に今おかれた台湾の立場である。台湾には中国に併合されるという、危機感がある。日本も、台湾の立場を裏切って中国に乗り換えた時があった。しかし、その背景で裏外交というか、台湾との関係を強く維持しようという日本国内の動きがあった。信頼、信義、感謝。こういう絆が、危機感を背景に生まれたのだと思う。

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