秘密保護法の違和感
秘密保護法は必要な法律である。その点では賛成である。内容については、気になることがかなりある。情報公開法を同時にというか、前提として作る必要がある。これはセットの法律にしなければこの国が閉じた、暗闇の国になる。秘密保護法があまりに細部にわたる法律であることと、最近の政府の憲法軽視の拡大解釈のやり方を見ていると、この法律だけであれば、政府が悪用することになりそうだ。何度も書いていることだが、日本の秘密保持力は全く無力であることを、一番知っているのがアメリカである。日本に軍事機密を伝えれば、世界中に漏れ出すだろうと考えている。最近の先端技術は軍需産業と紙一重だ。経済一辺倒の日本としては、軍事産業に手を出したいということがある。一方にアメリカとしては軍事費の削減と、世界での影響力の低下に対して、日本を巻き込んで対応したいということがある。これが今改めて、秘密保護法を作る意図だろう。
アメリカ軍の沖縄在留海兵隊のガァム移転のことがある。沖縄に居るのが迷惑だから、ガァムに移転してほしいというなら、移転費用は日本が出すべきというのが、アメリカの主張である。どう考えても沖縄にアメリカ軍が駐留しているのは、アメリカの世界戦略である。何故、移転費用を日本が負担しなければならないかは、理解しがたいところがある。しかも、現状では、日本が6で、アメリカが4の負担割合ということらしい。ところが、8000人の海兵隊員と9000人のその家族が移転するということになっているが嘘である。そして、沖縄に残るのは、1万人ということになっている。ところが、この費用分担の実態というのが、移転費用詐欺のようなものだ。日米協力して、日本国民をだましているのだ。現在、13000人しか海兵隊員はいないらしい。それなら、3000人分だけ負担すればいい物を、何故かその倍以上が移転することになっている。軍事機密だから、実態は公表されてはいない。分らないことをいいことにでたらめが行われている。
秘密保護法の前提として、情報公開法をしっかりとすべきだ。福島原発事故に置いて、国会事故調が情報を集めようとしても、黒塗りだらけだというのだ。スピーディーの非公開もあった。公開すべき情報がある。記録として残し、将来に備える情報もある。国には当然秘密を保全しなければならない情報がある。原子力発電所の保安監視体制は、秘密保全の範囲。こういう国家の安全にかかわる国防体制の部分で秘密にしておくべきことはたくさんあるだろう。だからといって、情報を一切出さないということとは違うのだから、出すべき情報もこの際明確にするべきだ。日本は閣議に置いても、文章を残さないということらしい。秘密が漏れるからということらしい。政府の原発事故対応が、しどろもどろで結局わからないくなっている。分らなければ、次に生かせないということだ。
医療情報がある。これも重要な秘密保持が必要なものだろう。遺伝的疾患の情報が流出する状態であれば、差別の原因になる。今後公務員に関しては、受験に際し精神疾患に関して、徹底的な調査が可能になる。たぶん、遺伝的医療情報を調べても違法にならないことになる。ということは、大半の国民の医療情報が、集められ管理されるということになる。その根拠が公務員の秘密保持能力に関する調査の為とされるだろう。すべての人間のありとあらゆる情報を、集めて、利用できる状況が近付いている。それが企業的国家というものだ。勝つ企業は社員の把握を管理を徹底しているはずだ。そういう管理国家にすでに成りつつあるのだろう。こういう現状を想像しているので、国会での議論は的外れの気がしてならない。国民の消費行動を企業は逐一分析を始めている。善悪ではなく、こういう状況の中で、情報管理をどうするかを考えなくては、意味をなさない。