中国鳥インフルエンザのその後
鶏を飼っているので、鳥インフルエンザについては気になる点が多い。今回の中国での人への感染は、このブログでも当初から予想通り大した広がりはない。人ひと感染が起きていないということである。何故か、日本の社会全体が、こうした恐怖に過剰反応する。最悪の事態を考えてしまい、現状を正確に判断できなくなっている。鶏の間での感染だけでは、人ひと感染のリスクを高めるウイルス変化は起きないと考えていい。それは、鳥インフルエンザ自体がパニックのように問題になった、当初からの私の見方である。何故それが、明日にでも感染爆発が起きるかのように、騒ぎが広がるのかと言えば、WHOの姿勢に問題がある。WHOは自分たちの組織の存在をアピールしたいがために、リスクを強調する傾向がある。日本の女性医師のWHOの職員の海外の活躍など、何故かジャンヌダルクのように持ちあげられ報道された。あの医師の予測がどう外れたのかを考える必要がある。
中国での鳥インフルエンザの本当のところの実態は、情報不足で判断が出来ない。それは日本で発生した時も同じで、最近日本でも高病原性鳥インフルエンザの抗体鶏が見つかった。
宮崎県は3日、同県川南町の養鶏場の鶏からH5型鳥インフルエンザの抗体が発見されたと発表した。ウイルスは確認できず、他の鶏への感染もみられないことから、県は発症しても軽度の低病原性ウイルスに感染した可能性があると分析している。県によると、5月にこの養鶏場で2回実施した検査で、それぞれ1羽にH5型の抗体が見つかった。殺処分はせず、同養鶏場からの生きた鶏や卵の移動を制限し、半径5キロ以内の農場を立ち入り検査する。従業員らの感染検査は行わない。
詳細の報道はない。原発と同じで、風評被害を恐れるというか、どこの国でもあれこれ配慮して報道しない姿勢である。何故抗体が出来ているのか実に不思議である。どうもこの抗体に、ワクチンの問題はないのか。もし自然抗体が出来ているとすれば、すごい可能性のある発見である。櫻井よしこ氏なども「 最悪に備えよ、鳥インフルエンザ 」『週刊新潮』 2013年5月16日号に書いている。記事を読んでも何が理由で最悪になるのかがまったく書かれていない。恐怖心から騒ぎを大きくしているだけである。インターネットの世界でもこうした、単なる恐怖をあおるような記事がよく出ている。よく読めば全く内容がないことが分かる。中国を問題国にしたいという心理と、恐怖を煽れば注目されるという心理なのだろう。実はもう一つある。産業としてのワクチンの無駄遣いである。
インフルエンザワクチンの備蓄は、ウイルスに合わせて作り直し続けなければならない。しかも、保存も利かない。ワクチン会社としても、政府としても、いかに鳥インフルエンザがリスクを持ったものかを強調しなければ、この無駄遣いを続けることはできない。現代社会は不安社会である。この不安感を刺激すれば、膨大な税金の無駄遣いも正当化できる。悪い医師と、報道と、政府が結託、阿吽の呼吸で、拝金主義のネットワークが生まれる可能性がある。私のような責任のないものなら、鳥インフルエンザは大したリスクはない書くことが出来るが、責任ある立場の人は、一応リスクの方を強調する安全策を取る。そのために、どんどん鳥インフルエンザが、明日にも日本を襲うような妄想が社会に生まれる。たまに会った友人から、お前のところは鳥インフルエンザで大丈夫かなど聞かれることになる。誰にも今後の展開はわからないというのが現実である。その状況を利用して一儲けしようという人たちは動いていると思う。
野鳥が特に水鳥が、鳥インフルエンザの抗体を持っていることは、珍しいことではない。野鳥の中では、克服された病気なのだ。そうでなければその種の鳥は消え去っている。何万年の感染の歴史の中で今の形が出来たのである。野鳥を恐れることは全くない。もちろん捕まえて、刺身で食べるというようなことはしないに越したことはない。野生動物の中には、人間にリスクのあるウイルスが居る可能性は常にある。インフルエンザ抗体を持った野鳥やネズミが養鶏場に飛び込み、鶏に感染する場合がある。これだけなら、普通は終息してしまう。中国でも養鶏場でいくら探しても見つからないのが現状である。居ない訳ではないのだが、健康に飼っていれば病気に対して強いというのは普通のことだ。問題は、この健康が薬で守られた人工的健康であり、そのバリアを破られた時のこわさである。
昨日の自給作業:麦刈り、ジャガイモの収穫 田んぼ捕植え時間4時間、累計時間:14時間