鳥インフルエンザの経過

   

鶏を飼っているので、鳥インフルエンザについて、心配だろうなどと言われる。報道機関は冷静な対応が必要です。などと、煽りたてている。まず、今回鶏については全く特別なことが起きたわけではない。鳥インフルエンザの状況は、鶏にとっては通常のことで何の変化もない。H7N9型弱毒性鳥インフルエンザは野鳥では当たり前に存在する一定レベルのリスクのウイルスである。一方に高病原性鳥インフルエンザはわずかな人間への感染をおこしながら、相変わらずのレベルで世界に存在して10年である。人ひと感染の可能性が言われたりしたが、当初から私が指摘していたようにすべて特殊例と言っていい結果。記憶だが、10年で600人くらいの死者。現在日本ではダニが媒介するウイルスによる感染症で今年に入って7名が死んでいる。この病気の深刻度レベルと比べてみれば、鳥インフルエンザは日本では問題にするほどの状況ではない。

中国でH7N9型の鳥インフルエンザウイルスに感染した人は、10日新たに、上海市や江蘇省などで5人の感染が確認されたことで合わせて33人、死者は9人となった。それほど流行性が強い可能性はない。推測では1000人程度はすでに感染していただろう。発病した人が100人くらい存在して、そのうち徐々に確認された人が、33人になったということではないか。普通のインフルエンザよりましなのは、人ひと感染が無いことだ。これはこの間の広がりの鈍さから見て、確信していい。公的機関はうっかりしたことは言えないから用心深いだけだ。感染して発病しない人の数は潜在的に10倍から100倍はいるはずである。中国人の食用動物に接する形が日本と全く違うことがある。日本の鮮魚のような状態。日本でも釣りをする人が生魚を家で調理する。そして刺身を食べる。それと同じ状態で鶏と接している。

感染の速度がせいぜい日に2,3人である。現在広がっている地域だけで、日本の人口ぐらいあるのだから、たぶんこのまま収まるだろう。しかし、中国の養鶏は大変だろう。鶏にとっては影響が現れないようだ。中国での鶏の大量死などは、前兆としてなかった。ということは潜在化して広がっているはずだ。人間の感染が結構広い日本ぐらいの面積の範囲でばらついて見られる。一か所からその範囲に広がったということは考えにくい。たぶん、すでに地域全体に広がった後ではないか。日本への渡り鳥による感染拡大が心配されるが、幸いこの時期に中国から渡ってくる鳥はいないそうだ。今回のウイルスは3種のものが、影響し合って人間に感染しやすくなったとみられる。その一つは東南アジアの方のタイプで、中国に渡り鳥が持ってやってきて、中国の野鳥にあるウイルスとの混合が起きたと中国では発表している。養鶏場の鶏に感染して、そこで変異が起きたと考えた方が自然である。

すでに中国からウイルス株は日本に届いた。これからワクチンの準備をすることになるだろう。ただし、ワクチン製造は半年はかかるだろう。今回の鳥インフルエンザが日本で蔓延する可能性は、現状ではほとんどない。無駄なことになる可能性があることに対して対応が難しい。新型インフルエンザ対策特別措置法は平成24年4月に早めて成立させると政府の発表。外出の自粛要請、希望する住民に公費で予防接種などを行う。対策の詳細を定める新しい行動計画を16日に有識者会議へ提示し、早期に決定する。しかし、畏れるあまり、というか、製薬会社の圧力によってというか、無駄なことになる可能性もある。養鶏場に対する、消毒の徹底などの指導も強まる可能性がある。消毒を強めるということは、良い食品を生産するためには悪影響もある。野鳥の糞が混入する可能性があるから、草を食べさせてはならないなどという指導である。畏れるだけでなく、科学的な判断が重要。

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