H7N9型鳥インフル
中国で鳥インフルエンザがまた発生し、死者6名感染者18名と今までにはない状況だ。今のところ、人と人の感染の確認はないようだ。今朝、テレビ番組で民主党の前原氏は人ひと感染が起きていると発言したが、そんな情報はない。鶏、ハト、ウズラからで、野鳥ではない。日本での感染を恐れるような必要はない。今回発生が起きている上海から江蘇省は3度行ったことがある地域である。自然養鶏の普及のことで出掛けたので、養鶏場もいくつか見せてもらった。鶏の流通状態も見ている。人間と生きた鶏との接触が日本とは全く違う。生きたまま鶏は販売されるものである。スーパーで生きた鶏が売られているのだ。自転車に大きな鳥かごを載せて、30羽ほどの詰め込んで、街のあちこちにある路上市場で販売する。H7N9型は弱毒性と言われる鶏病である。一時日本でも感染が広がったことがある。大量の鶏が死んだ高病原性と言われるものとは違う。中国では鳥インフルのワクチンが使われている。しかも生の鶏に触れる管理や調理は、日本の衛生観念とは違い、伝統的に日本より接触が濃厚である。生きた鶏をさばくのは調理場である。血液からの感染の可能性は高い。
国立感染症研究所は4日、中国当局から提供を受けた遺伝子情報の解析結果から、今回のウイルスは3種類の鳥インフルエンザウイルスの遺伝子が混じってできた新しいタイプのウイルスだと発表した。世界保健機関(WHO)が持っているH7型のワクチン候補株が効かない可能性もあり、同研究所は、中国からウイルス株を入手でき次第、新たなワクチン開発に入るとしている。このように新しい病気は次々に起きてくる。そして、人間が感染するようにウイルスが変異し、広がってゆく。原因は工業的畜産の方法にある。鶏の感染の連鎖が重要な要素である。大規模養鶏場では、何万回もの感染の連鎖が起こる可能性がある。100万羽も一か所で飼育する養鶏場がある。中国は大きいことに恐れを知らない。巨大化すれば利益が出るとなれば、日本ではありえないような巨大養鶏場が出来る。それが、工場のように閉じた空間として、管理される。感染の連鎖はウイルスの変異を生む可能性が増加する。
もちろん消毒もするし、日本では禁止されている、ワクチンも中国では使っている。ある意味それをかいくぐったウイルスは一気に感染を広げる可能性もある。もし、豚にウイルスが感染し、ここで感染の連鎖が加わると、人間への感染力を強めたウイルスの変異となる。A<B<Cと感染して行く中で、少しづつウイルスが変異をして、ついには人間に感染するものになる。本来鶏でも猪でも、小さな群れを作り暮らしているものだ。その規模であれば、ウイルスの変異の可能性はほぼない。両者がともに暮らしている環境もまずない。そうして自然界で何万年も生きてきたものだ。不都合があれば、死に絶えていたはずである。生き延びる巧みな形を自然は淘汰を繰り返しながら作りだしたのだ。ところが、人間が経済の都合で、大規模畜産というものを産み出した。これが新しい病気の発生を促している。以前から、鶏と豚が共存している中国南部地域が新しいインフルエンザを産み出しているといわれていた。今回は豚が関係していなければ、人ひと感染までは広がらないとみていい。しかし、同じ地域で豚の大量死があり、河川への投棄が行われていた。用心するに越したことはない。
根本的なリスク回避のためには、大規模養鶏の禁止である。このままであれば、大規模畜産が人間を滅ぼしかねない、新しい病気を産み出す可能性がある。新しい病気が生まれ、新しいワクチンで対応する。この繰り返しを続けて行く先には、ワクチンで対応できない病気の登場がある。そのリスクは中国の大規模畜産の拡大で一気に高まっていると考えた方がいい。安易な薬剤やワクチン使用は人間をより、危険な状態に追い込むことになる。このことは、このブログを書き始めたころから、繰り返し主張してきたが、ますます、大規模畜産だけになってきた。中小の畜産は経営が成り立たない。国際競争力のある畜産となれば、当然大規模畜産になる。韓国のFTP1年の経過はそのことを良くあらわしている。日本の食を守るためには、食糧の自給は国民の権利だ。