民主党農業政策の総括
民主党の農業政策を総括してみたい。政権が誕生して3年以上の年月がたった。多くが実現できなかったマニュフェストだが、農業分野ではどうだったのか。基本は戸別所得補償制度の導入で、実現した。 本格実施2年目の今年度の加入件数は、115万7500件。前年度と比べ7300件増えた。10年の農業所得は前年比9.4%増の2兆8395億円で、03年以来7年ぶりに増えた。うち6000億円が所得補償とかんがえていいのだろう。 農家所得が補助金で増えたことは、確かだ。農家総数は250万戸あるのだから、自給的農家数と一般に呼ばれる、補助金をもらわない農家の方が多いいという事に成る。戸別補償をする結果、20年度までの目標値として「食料自給率50%」になるとした。しかし10年度の自給率は1ポイント低下し39%。09年度から2年連続の低下となった。11年度も39%。民主党の政策は、失敗である。お金を出したにもかかわらず、自給率は上がらなかったのだ。
一方、考え方として主張されたのが農山漁村の6次産業化だ。手法や考え方の隔たりが浮き彫りになり、実質的な効果が上がらないまま、道半ばで民主党政権が終わろうとしている。農業就業人口は260万6千人で、5年前に比べて74万7千人(22.3%)減少した。また、平均年齢は、66歳となった。年齢をみると既に産業として成立しているとは思えない、危機的状況がこの3年間でさらに進んだと言える。農業の再生は手が打たれないまま、戸別補償という補助金だけがばらまかれ延命策が計られている。農業を戸別補償という補助金で支えるやり方が、前向きな展望という効果を上げないということを認めなければならない。半分以上の戸別補償をまらわない農家、私もそうであるが、むしろそうした農家はより追い詰められるという事に成る。競争相手が、補助金で生産して、同じ土俵で販売をしなくてはならない。こうして農家数は減少して行く。
この事が農家の規模拡大につながるのであれば、一定の成果ともいえるのだが、「大規模農家、集落営農、企業的農家、農業法人」を中心にした農業への転換はこの3年3カ月で進んでいるのだろうか。耕作面積は減少している。自給率拡大には、大豆や麦の生産の増加が必要である。大規模農業が麦や大豆を取り組んでいるのかと言えば、これも殆ど進んでいない状況である。補助金は様々な形で、注ぎ込まれているが、国際競争力という観点から言えば、ますます失われているのが、現状である。本来北海道などで、大規模農業が推進されるという農水省の予測が、実際には進むことはなかった。5年前に比べ、麦も大豆も作付面積までもが減少している。民主党の農業政策は、人気取り政策であり、農家票欲しさのばらまき補助金政策にすぎなかったと、言い切るべきではないだろうか。では野党自民党から希望のある農業政策がこの間提案されたかと言えば、それも見当たらない。
その原因は農地法や、農地の個人所有という限界を容認しているからである。個人の財産権にかかわることは、人気取り政治の中では出来ないことである。しかし農業を国の安全保障の基本に据えるとすれば、農地を国有化することである。最近の傾向としては、農地を所有せず、借りて耕作する方式が増加している。その方が有利だからである。貸借であれば、再生選可能価格の借地料に落ち着く。農地を財産として見てきた、歴史的な考え方が変わろうとしている。今後この傾向は強まるに違いない。農地を所有することが、安定的要因に成るより、所有者の負担を増加させるだけだと言う考え方である。農地というものが、農業生産の為の道具であると考えなければならない。東北の津波でやられた農地が、価格が低く売買が起きないという事を聞いた。政府が復興予算で買い取るべきである。そして耕作する人に貸し出せばいい。民主党の今度のマニュフェストでは、「日本の農業、食の安全は必ず守る」と書かれるらしいが、一体どうやってと疑いたくなる。
昨日の自給作業:ビニールハウスの張替2時間 累計時間:17時間