水彩人の審査

   

水彩人展の審査があった。20日21日と2日間かけて行った。水彩人らしい審査にむけてできる限りの努力をした。今回の初めて全国公募の展覧会を企画するにあたり、1年前から会議を重ね、準備をしてきた。審査についてもどう行えば、水彩人らしい水彩画が選び出せるのか話し合いを持った。厚かましいことであるが、自薦して審査責任者をやらせていただいた。水彩人の水彩画と言うものが実は分かりやすいようでわからない。混迷した社会の中にある芸術なのだから、当たり前と言えば当たり前のことでもある。水彩人の考え方は一貫して、設立宣言「水彩人立ち上がる」に示された精神である。美術の転換期を意識したものである。40年ほど前から、材料や技法にこだわる絵画がもてはやされた。そのことによって自由を得たはずの美術が実は、衰退して来た自覚である。芸術と言うもののが社会の中で新しい、存在の場を見つけようともがいている。

一般の出品された人は、109名あった。沖縄から、北海道まで全国から応募された。水彩人は同人が18名。会員が14名の仲間である。審査は同人18人が当たり、会員が作業を進めるという形であった。基本は良く見ることであった。審査室の壁に2段に作品を並べて審査員が歩きながら、時間のある限り絵を見せてもらった。その中から、A。B。C。の3つに分けた。Aは水彩人らしい上に、絵の力量完成度も、内容もの優れたもの。Bは意見の分かれたもの。Cは水彩人には適合しないとされたもの。あるいはまだ不足しているものがある作品。この分類を繰り返し行っていった。そしてだんだんにこれはAと言えるというものを、73名残した。話し合いを重視すると言う審査方針を最後まで繰り返したが、最終決断は18名の過半数と言う事で決断した。

審査は意見が分かれることが多かった。水彩人の中にも絵画観に違いがあると言う事に成る。その開きを埋めるために出来る限り、議論を試みた。時間をかけ繰り返し同じ絵を見るようにした。審査員全員が、ぐるぐる絵の前を行きつ戻りつ、歩き続けた。一人の人の絵はできる限り、出品作すべてを並べて判断した。4点の出品者であれば、最終判断まで4点を見ながら審査を行うようにした。大きさによる判断は無かった。ただし、一般の作品は2点までの展示と言う事になった。入選作のレベルの高さは、相当のものであった。他の公募展の審査にもしたことがあるが、水彩人らしい作品が間違いなく集まったと思う。14回まで頑張ってきたかいがあったと思う。まだこれからであるが、ここまででも、よくこれたものだという感慨はある。日本の水彩画の高い水準を示せる展覧会に成っている。

9月25日(火)~10月3日まで、東京都美術館で開催する。10月1日が休館日である。9時30分から17時30分まで。25日は午後2時頃かと思うが、展示が終わり次第の開展に成る。入場は無料である。水彩人による、ワークショップとして、「水彩人の水彩画とは何か。」を29日、30日に行う。受け付けは会場入り口でおこう。定員は40名である。水彩人が求めてきたものは、現代文化が複雑化し、多様化している中で、むしろ素朴で、個人の見ると言う行為に立ち返ることを探求してきた。その単純化する作業に、水彩画が向いているという自覚である。福島事故以降の日本の新しい局面に対し、作家として魂は、どう発信できるのか。是非見てもらいたいと思います。

笹村が会場に行ける日は、25日、27日、29日、30日、3日です。他の日も行けるかもしれません。受付で声をかけていただければ、有難いです。よろしくお願い致します。

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