第14回水彩人展
谷間の村
第14回「水彩人展」が25日より始まります。昨夜11時近く成ってアトーラインと言う搬出入の業者が絵の引き取りに来た。アートラインには、会場の設営もお願いしている。会場で販売する絵葉書の山や、大きな看板の搬入も同時にお願いした。いよいよという気がする。こういう展覧会を準備することは、水彩人の人たちは慣れているので、そう心配はしていない。ただ、東京都美術館も建物をリニューアルすることを機に、人員もリニューアルされたし、背景となる考え方も変わったように受け止めている。新国立美術館が出来た以上、同じことを2か所で行っても意味がない。新しい美術運動の拠点が出来るようなものであって欲しい。私たち水彩人は大きな組織ではないが、水彩画の確立を目指している。水彩画と言うものには、日本人の文化、哲学に相応しい何かがある。書道や水墨画が日本らいしいものとして発展したことと共通の要素がある。
まさか東京都美術館で、公募展の企画をすることに成るとは、思いもよらなかった。公募展とういうものを改善しなければならない世界だと考えていた。長く、水彩連盟と言う公募団体に所属していたが、その団体のあり方を変えようとしてきた。一番は絵の事を話せる絵の会にしたいという、至極当然というか、そうでなければならないことを強く主張した。ところが、絵のことが禁句に成っている絵の会が普通で、絵の批評や絵画論は全く受け付けない所であった。これを変えたいと考えて、無理をしてどなたの絵に対して自由にものを言うことにした。これは絵の仲間として、むしろしなければいけないことだと考えていた。相互批判は成長の道だと思う。ダメな絵は駄目なのであってそう言う基本的なことはどれほど角がたっても口にしなければいけない。ダメな絵だな、と心の中では確信しているのに、心にもない褒め言葉を言っているようでは、絵描きではない。
まあこれを実践している内に、居心地が悪くなっただけでなく、退会させられた。退会はそれでよかったのだが、何故か水彩人と言う仲間の全員が退会してしまった。そして、成り行きもあって新しい公募展をやらないといけないことになった。つまりどうせやるなら理想的な公募展をやろうと言う事になった。その自分達の方向と変化の仕方が、丁度都美術館のリニューアルの時期に適合した。何かその拍子にと言うか、ついつい公募展をやるという所まで来てしまった。やる以上は理想的な展覧会を目指したい。絵のことばかり話している様な会を作りたい。今までは同人展であり、その発展の形式を目指していた13年は、純粋な組織であった。少しでも水彩画を掘り下げることが出来ればと言う事で、試みれることは色々やってきた。今回も、会期中に講習会を行う。出品者に水彩人の水彩画がどんなものであるかを伝えたい。
今まで存在する水彩専門の公募展は二つある、水彩連盟展と日本水彩画会ではまるでその雰囲気が違う。多分水彩と言うものの理解が違うのだろう。では水彩人の水彩とは何か。この事を示してゆきたい。つまり、その二団体とは違うものを目指している。同じで良いなら、新たに作る理由もない。もちろん絵を見てもらう事が第一である。絵を見てその目指す所を感じてもらいたい。と同時に、こうした絵をどのような方法で、描いているのか。その実際を見てもらいたいと考えている。水彩画は実際の技法は、かなり技術的な所がある。ところが、下書きの範囲や、小学生の図画のようなものだという誤解があり、せいぜいボタニカルアートのような細密描写に向いている位に思われている。しかし、書道や水墨画のような一期一会的な表現要素もある。まだ日本の水彩画は掘り下げられていない分野だと思う。