小田原市自治基本条例

   

小田原市の自治基本条例が、いよいよ具体的な骨子案として現われてきた。27日に最後の検討会が行われる。興味が一番あったのは、行政の役割を条例でどのように位置づけるかである。小田原市では市民との協働ということが言われて来た。市民の負担の増加と、行政の関係。具体的にはどう役割分担をするかが見えない。行政職員がこの点で戸惑っているように見える。権力行政から、市民協働の行政と建前的にはなっている。市職員が先導者になる気がいを持つ。市職員の説明責任。観念的には意味があるようにみえるのだが、条例としての実効的効果はない。これでは、市の職員の個人的力量に期待するしかない。つまり、力量の向上を待つということになるのだろう。もっと具体性のある条例にしなければならない。それは市民の役割、議会の役割、いずれにも言える事で、あっても無くても変わらないような、精神論に止まるようなものなら、作らないほうがまだいい。

「地域活動と市民活動」自治会というものが自治を実践している。と条例では規定している。果たして自治にふさわしい仕組みが機能していると考えたうえで、このような条例になるのだろうか。自治という以上、民主的な運営がなされる必要がある。自治会には規約や、決めごとの仕組みはあるのだろうか。私は見たことはない。慣習的に存在する自治会を、どのような手順で、ここでいう新しい地域の自治を見出してゆくのかを条例で示す必要がある。自治会総連合というものが、議会に対し陳情書を出したことがある。どういう手順で出したのかを質問したところ、中心メンバー数人が、特別な会議も開かず出したということであった。これでは、民主主義とか、自治とかいう重みがない。まして、自治会への加盟数が、急速に減少している実態がある。加盟していない市民の増加に対応し、全員加盟を目指して進むのか、加盟数の減少を方向として受け止めて、それとは違う道筋を模索するのかの、この条例では位置づけが不明確ではないだろうか。

議会について言えば、何も条例では示していないに等しい。議会の役割として、行政の監視と条例の策定。とされているが、議会は市民の代表として、市民を先導する役割が必要である。地方自治ということが言われている。議会の役割は、行政を先導していくものである。行政がどのように運営を行うかを、決定すべきものである。市民自治の根幹をなすべき議会。現在の議会が機能していない。市長は制度的には大統領である。この大統領を監視し、市民の多様な要望をどう反映さして行くか。それだけの力量を備えるべき、議会の政策能力を高める、調査能力。研究機能を備える必要がある。また、市会議員の活動は報告書として、いつでも見れるように公開される必要がある。

市民参加についても、きれいごとの建前になっている。市民が参加する前提として、参加した市民に対する権限の移譲がなければならない。ただ意見を言わせて、おいて現実化しないのであれば、市民参加とは言えない。市民には多様な意見がある。この多様な意見を地域で具体化する過程を、市民が参加しながら学習する機会を作らなければならない。電灯を増やす場所でもいい。どうやって地域では物事を決めるか。このルールを地域の住民自身が作りなおしてゆく必要がある。それには権限を市民に戻すこと。委譲すること。地域には実に様々な問題がある。しかし行政はそれにできるだけ触れないようにしている。利害関係もあるから、下手なことはできないということもある。地域の問題を地域自身が解決できる仕組み作りが、条例に現われなければならない。

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