田んぼ土壌とコロガシ
今年は久しぶりに雑草と向き合っている。田んぼで、ころがしを続けている。コロガシは草があろうが無かろうが、必ずやることにしている。草のことではないが、まずその理由から書き始める。コロガシは土の表面の耕転である。耕すことで、空気を土の中に送り込む。田んぼでは春になって、土を水が覆う。土の中の腐食するものは酸素不足と水分で腐敗を始める。20度を超える温度がここに加わる。腐食しやすいものとは、生の草などをすきこめば、メタン発酵がおこる場合もある。未熟たい肥や、米ぬか、ふすま、そばぬか、どれも腐敗をする可能性がある。この腐敗が、草の発芽を抑えることもある。できれば、この腐敗を発酵と呼べるような、どぶの臭いのしない方向にしたいと考えている。稲の根が白く元気よく伸びることを最優先にしたいからである。土が良い発酵の方向に行くには、コロガシは効果が高い。
田んぼの土壌は1年1年変化している。5年くらい先をみて、育んでいる。腐植質の増加。それが豊かな土壌のイメージの一つ。加えて粘土分の増加。水の縦浸透の減少。減水深を1日、せめて50ミリぐらいにしたい。現状では100ミリを超えている。田んぼの土壌というより、山土の状態である。これを変えてゆくのは、微生物の力である。土壌の発酵状態である。ミジンコや糸ミミズの活躍である。生命に満ち満ちた状態のイメージ。そのためには、田植え後2から3週間目のコロガシは効果が大きい。と思っている。もう一つ棚田ならではというか、減水深の減少に役立つ。久野ではどこも、いわゆるザル田である。水が冷たい、日当たりが悪いという条件下では、水を少しでも溜めるということは大きい。といっても、どれも決定的ではないが、昔の人もそうしていたことである。
もちろんコロガシの主目的は雑草の抑制である。まだ根を伸ばしていない草をコロガシで浮かして流してしまう。初期であればこの効果は高い。そのためには、縦横コロガシが必要である。舟原田んぼでは、24センチ角で手植えをするのは,コロガシが縦横はいるためである。線引もこのために考案された。稲ギリギリの線で転がしを入れるには、24センチ幅の植え方がいい。30センチ角植えにもしたが、コロガシが不十分になる。分結の少ない棚田では、24センチ角が一番収量が上がると思われる。コロガシをするもう一つの大切な要素は、田んぼをくまなく観察することである。しかも足の裏で確かめながら、田んぼの状態を肌で感じること。田んぼの深さ、土の粘り、根の状態。土のにおい。田んぼの中央までしっかりと確認する。田んぼの中でも場所によってずいぶん違うものである。
いよいよ雑草のこと。田んぼを転がしながら、このことをずーと考えている。臨済禅の考案のようなものである。少しは坐禅をしたこともあったが、ああした生産性のないことを続けるのはばかばかしい。それぐらいなら、田んぼでコロガシをしたほうがよほど役に立つ。「よい土には草が生えない。」このことを睨んでいる。良い土なら、コナギも生える。今年コナギが増えた理由。1、水入れがいろいろの理由で早かった。2、代かきが深くなった。3、土の栄養分増えた。4、昨年コナギが種を付けた。(発見はしていない)5、水の流れが滞っている。6、代かきにムラがある。7、田んぼに高低ができている。8、粘土分が増加してる。9、そばかすが的期に撒けなかった。10、良い土にはコナギが増える。11、除草剤、農薬、化学肥料の影響が消えてきた。まだまだあるだろうが、今後の観察が重要。
昨日の自給作業:コロガシ2時間 6月累計:40時間