農文協創立70周年
「中国農業の現在を知る、学ぶ」-東アジア型農業・農村の根幹 家族経営とその組織化ー農文協創立70周年・亜農交創立50周年記念シンポジゥムに出かけていった。一晩寝ても興奮が覚めやらないほどの状態である。朝から晩まで4名の中国から見えたパネリストの講演を聞いただけである。それなのに、眠く成るというような一瞬もなかった。一言も聞き漏らせないと言う状態で、頭もパンパンにはれ上がった気分である。最初は張暁山氏 中国社会科学院農村発展研究所所長。中国で始まっている、合作社という日本で言えば、専門農協のような仕組みの展開を伺った。中国の農民組織と言えば、人民公社のようなイメージがあるが、工業や都市部の経済発展に較べて、後れ勝ちな農村の経済発展の一つの試みである。24万の組織が運営されている。「農民のため、自主加入、自由脱退、権利平等、民主管理」と中央の公式に推進している農業政策である。いわば、農業近代化の発展もデルである。
2番目は趙陽氏 中央農村工作指導小組弁公室局長。中国の農業は生産力においても、農民の生活においても、今までに無い成功を収めている。世界の水資源の6%、世界の農地の9%で、世界の人口の21%の国民を自給している。しかし、農民の暮らしは、都市住民に較べ、収入で3,3:1と言う状態であり、2020年には6:1と予測されている。3化現象といわれる、空洞化、兼業化、老齢化、が起きている。農外収入に依存した形の農家の生活。かつて日本が通ってきた同じ途上にある。農地の減少、農民数は54%から70%の都市化の流れである。1、家族経営の確立。生産性の向上。農地の拡大。2、社会主義経済のなかでのモデルの形成。3、土地権利制度改革土地請負制度の長期不変。こうした展望が話された。
3番目が趙亜夫氏 江蘇省鎮江農業科学研究所研究員 句容市戴荘村有機農業合作社顧問。二度伺い、農の会の事や養鶏の事をお話した所である。笹村農鶏園にも見学に来てくれたことがある。本来専門農協を目指した法である、合作社を有機農業という枠で、村おこしをしようというアイデアである。農業技術者ではあるが、素晴しい人格の方で農家の方と一緒になって汗を流せる人である。この方の講演の中に、日本が学ばなければならないものが、沢山あった。農業は欧米のプランティション型ではだめということ。アジア的な共同体を基盤とした、地域農業の復活。日本で言えば集落営農と言う事であるが、貧しい農民に焦点を合わせた、集落営農である。販売でどういう工夫をされているか、一つ答えてください。と言う質問に、2年前会員募集をして、宅配事業を始めた事現在鎮江市で200軒になったそうだ。これが3年前必死に説明した農の会の仕組みがいくらか参考になっていると思う。
4番目が万健民氏 中国農業科学院作物科学研究所所長。稲の改良作出をされている。1990年代10年間、日本で学ばれたと言う事である。スーパーライスの研究をされていて、1ha1,5トンぐらいのお米が色々説明された。インディカ種とジャポニカ種の交配によって作られるものらしい。飼料米としての利用が有望。
講演の感想:日本の崩壊してきた農業と同じ道を歩んでいると言う事。農業を産業としてとらえ、工業と同列に合理化が求められる農業である。しかし、その道の危うさを皆さんが確認したうえで、農家と集落の共同体が、どのように農業を行なうか。これを模索している。農業は産業ではなく文化であること。日本でいえば、農業文化で育成された人材が、工業社会において重要な人材になった。農業分野からの人材供給がなくなって、日本人の劣化が目立っている。農業は文化である。農業を滅ぼすことは、日本自身を消滅する事になる。それは中国でも同じことであり、むしろ中国の現状から、日本は学ぶ事が山ほどある。日本農業の建て直しの材料は、中国にあるといってもいい。