「養鶏危機突破緊急全国大会」

   

「日本鶏卵生産者協会」が去年2月に臨時で開いた「養鶏危機突破緊急全国大会」の開催中止の圧力を、農水省が行った事を認めた。協会側は、自民、民主、両党の議員を招いていたが、事前に自民党側から「民主党議員しか招いていないのではないか」との声が出たことを受け、農水省生産局畜産部の担当課長らが、協会の幹部を省内に呼んで大会の中止を求めた。この時、課長らは自民党議員が怒っているとして、「一般論として、生産者への補助などの予算がつかなくなる可能性もある」などと話したという。

さもありなんの、仰天ニュースが出てきた。卵の事だからこれは他人事ではない。農水省の食肉鶏卵課には何度か行った事がある。トリインフルエンザに関してと、有機畜産についての質問に出かけた。農水の担当部署などと言うと、敷居が高い訳だが、養鶏をやっている以上、一度は顔を見て、直接話を聞きいておきたいと考えての事だ。充分の対応をしてくれたので悪い印象はなかった。今回の事件は内容が興味深い。民主党の筒井信隆氏が昨年の2月の話を、今になって持ち出した。しかも、農水がこの事実を認めている。ここに来ての自民党の凋落が哀れなようだ。自民党と官僚の関係がこれほどはっきりと出た事件も珍しい。官僚の天下り禁止が何故出来ないのかは、持ちつ持たれつだからということ。「養鶏危機突破緊急全国大会」すごい大会を開いたものだ。飼料価格の高騰が起こり、やってられないという焦りからだろう。

「自民党が怒っている。大会を中止しなければ卵価安定基金への助成金を切る」などと協会幹部に迫ったという。同基金は生産者の拠出と国の助成金で積み立てられ、卵の価格が基準価格を下回ると差額分の9割を生産者に補てんする仕組み。農業分野の補助金体質が、まざまざ情けない。当然だが、私の養鶏とは何の関係もない。補助金という物はかくも、人間をダメにする。補助金がなければ成立しない農業分野。卵を国民に安定して供給する義務がある。こう言う事を農水の担当者に言われた事があるが、そんな義務がどこかにあるのだろうか。卵が、今で言えば1個300円ぐらいだった時代もある。それはそれで受け入れれば良いだけだろう。問題は、安い卵が輸入されて、それが安定した食糧の供給とか理由がつけられ、国内の業者を潰してしまう事にある。そのために、日本の卵はありえない水準の低価格で生産されている。それが養鶏業を何でもありの世界にしてしまっている。

食糧は他の生産物と違う。WHOもそのことに気付く必要がある。食糧とか、水とか言う資源を、輸出入の対象にしてはならない。人間が生きる最低限のものは、本来そこで生きる事の可能な、人間の数と連動させるべきだ。「ヨーロッパの水を購入すると、アフリカに水が援助される。」こう言うコマーシャルがある。いかにも人道的なことのように流されるが、とんでもない話である。日本人は日本の水で充分である。延々と水を運び、何と馬鹿な事をしているのか。水は出来る限り暮らしている所のものを飲む。よほど悪い水でない限り、それが一番である。私は養鶏場の井戸水を運んで飲んでいる。10年この水で生きているが、大丈夫である。なかなか美味しい水だ。もし使いたい人がいたら、久野の人なら、お分けする。話はそれたが、卵も同じ。出来る限り近場が良い。身土不二とはそう言う事だろう。民主党議員を呼んだのは、時代の流れの先を見据えた養鶏協会の方策。農水事務次官は民主党の農業政策を、否定している。これも言わされたと言う事か。深い深い、癒着関係。しかし、それもそろそろ見切り時と言う事のようだ。

昨日の自給作業:麦の始末、草刈1時間 累計時間:16時間

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