水彩人展

   

15日まで水彩人展を銀座の一枚の絵ギャラリーで開催している。私は事務所担当ということもあって、気持ちを入れて展覧会に望んだ。同人16名が3点から4点の絵を出品している。総数60点近い展覧会になっている。大きくて30号ほど。小さいものはサムホール程度が、ずらっと並んだ。評価は世間にお任せするしかない。新しい企画がいくつか用意されている。一つは毎日同人が公開制作をする。これも結構異論がありそうな企画だったが、ともかく、2日目から、始まった。最初はいつも、こうしたことに慣れている小野さん。3日目は私だった。私は最終日にもう一度やることになっている。画廊の担当とKさんがどんどん進めてしまって、つつがなく実現した。私などが提案したら、様々な異論が出そうな企画だ。スムースに実現しなかっただろう。2つ目はギャラリートーク。7日が川村氏、13日が松田氏となっている。

昨日は体調もいまひとつで、やれるかどうか不安だった。当番の約束ではあるし、用意はして出かけた。用意しておいて良かった。画廊に着いたら、やると言う事になっていると言う事で、どんどん話が進んだ。何処に葡萄と、洋ナシを於いて描いてもらうと言う事だった。ギャラリーで公開で絵を描くというのは、疑いなくパフォーマンスだと思う。私の絵について考えていることを、やりつくさなければならない。伝わるかどうかは別にしても。一番の問題は、描きたいと言う気持ちが対象にないのに、描けるのかということ。これは相当に苦しい。突然の、洋ナシと葡萄に対面して、描きたい気持ちが湧き上がることは先ずない。その洋ナシと葡萄は描く時に出てくると言う。せめて、置く場所を決めさせてもらった。窓際だ。外光を描く方がおもしろい。

2時からという予告で、20人程の人がいたようだったが、余りまわりの事は判らなかった。幸いなことに、洋ナシはベージュ系と、グリーン系の2色。葡萄は色が黒い。この三つの色は描ける。それと白い光。始めたら、一時間しゃべり続けながら、描いていた。何を今やっているのかを、又やったことを何故だったのかを。説明を続けていた。絵で言葉に出来ないようなことはしていないのが、私の絵だ。ただ説明しながらと言うのは、初めての経験。又描きたいと言う気持ちが、曖昧な状態と言うのも難しい。描き出す前に描く絵が出来上がっていること。描くと言う事は、その絵を紡ぎ出している行為である。そのことが描くことで伝われば。集中してやっていたので、何をどうしゃべっていたのかも、定かではない。結果としての途中の絵が現在画廊に飾られている。

会期中毎日誰かが公開制作をしている。不思議な展覧会である。たぶん本邦初のことだろう。水彩人が絵画の意味の変貌している時代に、絵画世界の枠を乗り越えるため、あらゆる試みをしてきた。たぶん、過去にもそうした試みは無かったとは思わないが、絵画の意味が、表現するから、描く行為に、その意味を転換していることを、自覚し、実践しようとしてきた。水彩人は、今までにない絵画集団として、スタートして10年。20数回の展覧会を開催し。来年1月の都美術館開催で10回展〈本展〉を迎える。絵においては一切を水彩人にかけてきたと言ってもいい。そして当初目標とした、10回展をいよいよ迎える。都美術館ではアトリエにおいて、水彩の講習会を5日間開催することにした。こう言う事をやるのも始めての事だと思う。私は1月14日(水)1時~4時に担当する。もし、興味がある人がいたら、是非参加してみて欲しい。私の考えている水彩画というものを、伝えたいと思う。

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