広域農道
舟原には南足柄の大雄山から繋がる広域農道がある。この道は、そのまま国道一号線に向けて、進んでいる。進んでいるというのは、途中で止まっている。計画では、一号線と繋げ、一号線を抜けて、秦野から、厚木へと抜ける車の小田原のバイパス機能を期待した計画に見える。更に一号線をまたぎ、伊豆半島方面へも広域農道は延びている。真鶴半島のずーと上の山の方を抜けて、湯河原に到達する。これは海沿いの熱海伊豆の観光道が、慢性化した渋滞のため、それを回避する道といわれている。これも建設中で、一部は既に開通している。この広域農道全体から見ると、箱根の東側山麓中腹を巡る、観光道路とも言える。何故、この道路が、広域農道といわれているのか。そもそも不明だった。確かに坊所の田んぼに、トラックターで行くとき利用はさせてもらうが、農道とは言え、トラックターでゆっくり走れる状態ではない。
今朝の朝日新聞には、03年度までに整備された全国の広域農道のうち6割以上が完成後、一般道に用途が変更されていたことが分かった。農道は一般道より着工基準が緩いが、維持管理費への国の交付金は一般道の方が多いためとみられる。農林水産省は農道を管理する市町村に変更しないよう求めているが、今も変更が相次ぐ。農道が安易な道路建設の「抜け道」にもなっている。調査対象となった農免農道9080キロのうち8割に当たる7480キロも一般道になっていた。 このように書かれている。作り安い広域農道や、農免道路として、作るときは作るが、後で管理負担の少ない、一般道に変えてしまう。こういう抜け道的手法が一般的らしい。舟原を通り抜ける、広域農道は農業用という側面はほとんどない。ごく普通の生活道路であり、観光道だろう。農道だけでなく、林道にもこういう抜け道的建設がある。
この道路で、農地を買収された人の話では、農道というと安い買収価格なのだそうだ。まして、林道と成ると、土地の無償提供だそうだ。穿ってみれば、建設業者のための道路作りで、一番いいのが、林道、次が農道となる。建設予算以外が余りかからない。これが一般道では、買収費が農地の買収でも、宅地並みの高値になるのが実態だ。こんな背景もあるので、道路建設後は本来の目的であった。一般道に変更される方が自然と言う事がある。舟原の広域農道は、諏訪の原のごみ焼却場に、ごみを運ぶための道路といわれている。ごみの広域処理の為に、道路の方を先行して進めていると盛んに言われている。確かに、湯河原、真鶴、箱根、南足柄、小田原と、ごみ処理場を直結する道路でもある。
こうした広域農道、スーパー林道の建設、更に道路特定財源による、道路建設。全てが、土建国家の象徴だ。よく言われるように、地方の仕事作りでもある。公共事業は地方へ行けば行くほど、職場直結だ。もうそれなくしては生活があり得ないという所は幾らでもある。今度言われているのが、その広域農道は南足柄を通り抜けて、苅野に抜けている。それを更に延ばして、箱根の仙石原まで、延ばそうという計画が出ている。一体誰のための道路だろうか。通過する、苅野や矢倉沢の人達には、別段ありがたいというものではない。箱根への行き来の観光客が、迂回路として利用すると言う事はあるかもしれないが、地域の人で、喜んでいる人はほとんどいないと聞いている。のどかで、美しい、苅野や矢倉沢が、箱根への通り抜けの味気ない地域になってしまうことは、実に残念だ。仕事作りが実は日本の田園破壊になっている。