「農山漁村の郷土料理百選」
農水省が、郷土料理100選を行った。99品選んで、後1品は自分で選ぶと言う所がちょっといい。神奈川県が「かんこ焼き」と「へらへら団子」選定過程で上げられていたのは海軍カレー!しらす丼!サンマーメン!だそうだ。服部料理教室の服部氏が委員長で選んだと言うが、やはり神奈川県は苦労しただろう。この農水省の企画にたいして、意味ないんじゃない。と言う意見がある。名水百選とか、疏水百選。農水や環境省関係の百選は色々ある。これはこれで行政的には、役に立つことになっている。小田原百景成るものもあるが、馬鹿馬鹿しいようだが、これを根拠に次の事業を立ち上げることになる。行政は根拠がないことはしにくい。へらへら団子なるものは、たぶん大半の神奈川県民が知らない。それでも、「へらへら団子で、町興し事業」とかなら、予算措置を付けることができることになった。
かんこ焼きというからわからなかったが、「おやき」の事だ。お焼きと言うとどうしても、長野県のイメージが強いから、かんこ焼きと言ったのだろう。「かんこ」と言うから、お祝い席で食べるので、歓呼焼きかと思ったが、雅楽の太鼓の事だとある。自然な感じがしない、誰かが命名してしまったような名前だ。太鼓焼きと言ってしまえば、中は小豆の砂糖餡が普通だろう。そこで凝ってかんこ焼き。これで何のことやら分からなくなった。へらへら団子は、見たところごくごく普通の団子のようで、これを神奈川の郷土料理といわれても、困る。へらへらと言う名前から、団子が、薄く延ばした、きしめんを更に幅広にした、様なものに、餡子を付けたものだろうと思った。そんなお汁粉を食べたことがあったからだ。
農水が郷土と言う形で何とか、地方を元気付けようと言う意図は、理解できる。実は、かんこ焼きで紹介されていた、確か津久井の田中さんと言われる方の所に、何年か前に、おやきを習いに行ったことがある。麹を作って、それと小麦粉を混ぜ混んで、3,4時間発酵する。ふっくらとした所で、蒸す。酒饅頭で中身が、お惣菜と言うようなものだ。その田中のお婆さんが、新聞に載っていた。確かおやきとそのときは言われていて、かんこ焼きとは聞かなかった気がする。お焼きの方が通りがいいので、外部の人向きにおやきと言っていたのかもしれない。そのとき習った場所が、道志川沿いの景観のいいところだった。民俗学をしていた父は道志は良く訪ねたところだったらしく。昭和初期の道志の事を聞いていたので、妙に懐かしかった。日が暮れて「来者勿拒、去者勿追」 とある禅宗のお寺で泊めてもらった話を聞いたが、今もあるのだろか。
津久井でも、おやきをあまりやらなくなったが、昔はどの家でも、何かと作ったものだ。と言われていた。今はお土産として売っている様だった。神奈川県の農村漁村はなかなか微妙な所がある。横須賀の海軍カレーと言われても、それは都会のことだろう。村の料理これを大切にしなければならない。と言うのは当然の事だ。暮らしを深めてゆくには、伝統を探ると言う事は大切なことだ。農の会周辺でも、小麦を作り、パンを作る。こちらの活動が盛んなようだが、興味が湧かない。あしがらのと言えば、茹で落花生などどうだろう。パンならバターピーナッツがアメリカ的につながる。塩味だけの落花生の素朴なおいしさも、格別なものがある。スアマというものを、小宮のおばあさんが教えてくれたが、これは郷土料理なのだろうか。スアマがお菓子のほうのウイロウとほぼ同じものだから、ウイロウが小田原のものなのだから、案外郷土の物かも知れない。