安倍内閣の農業政策
経済財政諮問会議から農業に関する、安倍内閣の政策が5月8日示された。「EPA交渉の加速、と農業改革の強化」として取りまとめられている。東大、早慶の教授、松下産業の人、など7名の委員が、精力的な審議を進めたと自らが書き示した、第1次報告だ。安倍内閣の審議会はその委員が選択的に選ばれているらしい。集団的自衛権行使に関する憲法解釈見直しを検討する政府の有識者会議のメンバー13人のうち12人が、過去に国会に参考人として呼ばれた際の発言や論文などで、政府の違憲解釈を批判したり、解釈変更を求めていた。と報道されている。農業改革に関する、7名がどのような前向きな提案をされるのか、興味を持って見守っていた。
自由貿易で日本は経済的恩恵を得てきたのだから、今後もこの方向ははずせない。WTO交渉を有利に進めるために、その背景となる、EPA交渉、つまり2国間で自由貿易協定を結ぶ交渉を迅速に進める必要がある。農業が自由貿易により、産業として成り立つように、進める必要がある。と言う事が主旨のようだ。ではどんな方法で、日本農業を維持しようというのか。農業が危機的状況である。だから、構造改革が必要だ。持続的農業経営体として整備する。農地は普通の土地と同じに扱えるようにする。一言で言えば、企業的な国際競争力のある、農業会社が自由に活動できるようにする。農業分野に市場原理を導入する。何度も失敗を繰り返してきた農業改革の、最後の機会になるだろうと、結んでいる。
よくよく読むと、百姓は農業を止めろと宣言しているように読めてきた。百姓に農業を任せてきたからダメなんだ。企業が農業をするようにしなければ、商品としての農産物は作れない。今がその最後の機会だ。こう言い切っている。やはり、というか。安倍内閣は一見ヌーボーとしているような印象を与えるが、小泉内閣どころでない、あらゆる分野に独断してゆく内閣のようだ。有識者による判断と言う事だが、どうも人選が恣意的なようだ。アメリカ一国世界支配の構図だ。グローバル化。日本はこの手先として、生きてゆく、これが甘いおこぼれを戴く方法だとしている。その結果、生活水準が高ければいいと。これも書いてあるのだ。そもそもこうした考え方がおかしい。人間らしく生きてゆくと言う事は、経済だけではない。
お米は一年に1度しか作れないとか。土を良くしなければ良い農産物は作れないとか。農業の背景には自然に対する愛情のような割に合わない物が、山ほどある。こうした農業の基本的な感覚が、欠落している。工業製品とは違うという認識がない。身土不二などという考えは、当然全くない。食料は出来る限り自給すべきだ。それはどの国でも同様なことだ。むしろ、どの地域も、否どこの家庭も自給すべきだと思う。食べ物は、経済とは別に考えるべき物だ。食料は商品ではない。企業が農業をやるとして、まさか日本を選ばないだろう。農業は一次産業のなかでも一番労働効率が悪い産業だ。どんな企業が日本で、資本を投下して、割の合わない事をやろうとするのだろうか、住む領域が違うように、トンチンカンで、優秀な大学教授の先生方が、考えてくださるありがたいお言葉かもしれないが。どう考えても、お前たちのような者は邪魔だから早くどけ。こう言われている様な気がしてくる。