銀座・画廊めぐり
月に一回ぐらいは、画廊めぐりをしたいと思っている。同時代に描かれている絵に触れて見たいと思うからだ。だから、余程のことが無い限り、死んでしまった人の絵を見に行くことは無い。
昨日はたまたま、東京での集まりが4時に終わった。それではいざ、という事で銀座に出た。新宿でも、石川忠一さんがやってはいたのだが、どうしても、一辺に見れるということで、銀座という事になる。先ず、急いで「日本水彩選抜展」に行った。これは少し命名が悪く、日本水彩画会という、伝統ある公募団体の中の選抜展だ。友人も、出しているので見れたことは良かった。
いつもとは逆廻りで、急いで、1丁目方向に向かったのは、日本水彩が何と5時終了だからだ。昨年は5時30分にわざわざ行って、閉まっていてがっかりした。どうだろう、5時に閉めてしまう感覚というのは、本当に人に見てもらおうという気があるのだろうか。やはり、「セントラル」の広い会場で、閑散としていた。冨高さんは、黒い線描に変化があり、色合いも若干生っぽくなった。描き込みを減らしたようだが、何故だろうか。水彩人の仲間の小野さんは、いつもの花が無かった。この人の絵は、少し気取った、照れてしまうような時が好い。
次は、「ケーズ」へゆく、獏展女性6人のグループ展。皆さん集まっていて、ビールを頂く。かざり方が上手く、ケーズらしいしゃれた展覧会だが、少し勢いが落ちたようにも感じた。表に出て、「井上画廊」のパステル展パステルという事で関心があったが、今度「ゴトウ」で個展をされる、高橋さんと会って、絵の話をして出る。和光で陶器を見て、文春で油の風景画。そこから、「オリーブアイ」で切り紙を使った絵。これは面白かった。始めてみる人だが、人間の頭脳の根底が切り開かれたようで、本当の個性というのはこうした物だろう。見たとこ日本人ではあるが、スペイン生まれで、スペインで暮している人らしい。この絵を見れたので、今日は満足。
そこから、「花ノ木」ピエール・ボンコンパンこれもちょっとすごい絵だった。いかにもフランス的で、マチス、ブリアンション、の系譜。ギアマン、カトラン、ザバロ、カシニュール、とも同質。私はこの人の絵は始めてみた。この人は実に巧みな人だと思う。塗りが何気ないのだが、上手い。同系色の変化がいい。補色の使い方が絶妙。又見てみたい。
「日動」で細密派のグループ展、柳田さん。いつもの水門だがいただけない。ヨーロッパを描くようになって、絵に対する思いが入らなくなったようだ。「みゆき」で金沢の人、いかにも日本的な油絵でいまどき珍しい絵。すごい古臭さで、それが籠った感じで、絵になっているが、この暗さは私は好まない。「ゴトウ」で版画、仕事が粗い感じが、意外。今の若い作家は、しゃれた技巧を好むから、絵づらにある衣装的な雰囲気は、こういうところで続けられるのか不安。「中和」ここも若者の絵で、少し暴力的な素朴さが、続けて意外。情緒的、文学的雰囲気が、気に成るが、全くあっけらかんとした、個性も持っていて、これを展開してくれると、私は見てみたい。
これらをほぼ3時間で見て、新橋から帰った。