関税戦争と少子化
去年1年間に生まれた子どもの数は68万6000人余りと、70万人を下回った。
確かに急激な減少である。私が生まれた頃は、生まれた子供の数は260万人と言うから、その4分の一くらいまで減少していると言うことになる。1950年代は子供が多すぎて、大人達は子供どころではない時代だ。大人が生きるのに必死で、子供に目が届かなかった。それは有り難いことだった。その点では子供は多いほど良い。
政府は少子化対策をすると言う。子供を大切にするのは大賛成だが、少子化を病む得ないことと受け入れて、そういう社会を構築することを考えるべきだ。政府の努力ぐらいで、人口が増えることなどあり得ない。子供の数が減少しているのは、人類の本能的判断の結果だ。
政府が少子化対策をしても、せいぜい食い止めるぐらいで、もう子供が増えることはあり得ないと考えなければならない。これは人類としての危機感の反映なのだ。安心できる希望のある社会であれば、人口はほって置いても増加する。産めよ増やせよと国が奨励した軍国主義時代よりも、戦後の平和になってベビーブームは起きたのだ。
世界は不安に満ちてきた。戦争が続いている。戦争は終わることが出来ない。世界一豊かな国が、もっと豊かになりたいとして、世界に対して関税戦争を仕掛けている。これほど理不尽なことが続いている。資本主義がきしみ始めているからだ。国家資本主義が登場し、自由競争が名目だけになった。自由の理念と意味が失われた。
一つの企業に国の力を集中させて、国際競争に勝とうということは、違法ではないし、当然とも言える。韓国、シンガポール、台湾、そして中国と東アジアの国々はこのやり方で、国際競争に勝ち抜こうとしている。それは日本もやりたいがなかなかうまく行かないことだ。このところに日本が後れをとった理由がある。
WHO違反でもない。先に自由主義経済を進めた国々は新興国の国家資本主義に競争で敗れ始めた。新興国は一つの企業に集中させやすかったのだ。日本のように自動車会社がいくつもあることは、健全でよりよい車を作る原動力になった。しかし、半導体では、選考しながらも企業化で敗れた。
日本もアメリカも、たぶんヨーロッパの国々も、自由競争と言うことを重視して、一つの企業に国の力を集中させることはなかった。その結果、もちろんそれ以外の理由もあるのだろうが、ともかく、新興国の経済の成長が著しく、先進国と言われた国々が、競争に後れを取り始めている。
トランプは移民の排斥とか、ハーバード大学の留学生攻撃とか、外国を悪者にしているが、判断ミスである。アメリカ人の半数はトランプの主張する、問題は外国にあるという主張を支持しているようだ。そして、世界各国が軍事予算を倍増させている。世界の軍事的な緊張が高まっている。全く世界は逆行している。
アメリカ社会はまだまだ人口が増加している。さまざまな人種が入り交じり、きぼうをいだいてあめりかにあつまって居るから、人口が増加している。そこには受け入れてもらえない差別社会もあるし、貧困層の固定化もある。しかし、その混沌に希望があるから、人口は増加している。
アメリカとロシアが従おうとしない国連は機能しなくなり、世界平和の為の機能は半ば失われた状態である。アメリカは特に中国を敵視し、経済を抑えようとしている。しかし、アメリカと中国の経済戦争は、両者ともに疲弊をもたらし、両国の世界経済に占める比率から考えても、世界全体の経済悪化をもたらすだろう。
そこに日本は巻き込まれるに違いない。日本だけ逃れるなどと言うことはあり得ない。と言うことは少子化も必然である。これからの日本社会はさらに厳しいことになる。若い人たちの暮らしは私の若い頃よりも遙かに厳しくなっている。経済発展の半世紀のはずが、私の学生時代よりも、今の学生の方が、生活が厳しい。
世界に暗い雲が覆い始めていて、明るい展望は持てない。こんな社会の空気の中で、少子化対策と言っても、効果は上がるはずもない。展望のない世界に子供を送り出せないのは、普通の感覚だろう。本当の少子化対策は、世界を希望に満ちた明るい物にすることだ。戦争など無い世界が当たり前のことだ。
日本は対中国戦線の最前列にさせられている。自民党の国防族はオオカミ議員として、中国が攻めてくるぞ、中国が攻めてくるぞと、3回ばかりではなく叫び続けている。これでは少子化を推進していると言うことになる。戦争が起こるぞと政府から言われて子供は産めないだろう。
「中国が攻めてくるぞ。」アメリカに言わされているのだ。これは明らかにデマである。アメリカの市達等李の連中は、給与を貰い、こう言う宣伝をして生計を立てている。あまりに繰り返し言わされている間に、オオカミ議員自身が本当に中国がせめて黒と思い込んでしまったかのようだ。
この思い込みを解くのは簡単なことだ。中国と友好国になれば良いだけのことだ。今や中国の方がトランプよりはマシだ。トランプは日本がどうせ中国に着く度胸がないと甘く見下しているのだ。中国もアメリカに脅されて、徐々に態度を変えてきている。今が良い機会だ。
アメリカの日本に仕掛けている関税攻撃を思えば、中国の方が遙かにマシな友好国になり得る。中国習近平も確かに手強い。しかし、トランプのようなあからさまな攻撃ではない。中国を仮想敵国から外すことは、アメリカに気づかれないようにやるべきことだ。
中国と距離を近づける。そもそも中国はお隣の国で、アメリカよりも文化的にも親近感がある。アメリカ人の顔色は分からないが、中国人の顔色はすぐに分かる。中国人は有能である。たくさんの中国人が日本に来ている。多くの中国人が日本の実態を知り始めている。中国政府の反日教育よりも、日本の実地教育の方が勝る。
中国人の大半の人が、日本のような自由な社会の方が良いと思っている。中国と仲良くなれる条件はそろい始めている。まさにこれが、少子化対策である。中国と友好国になれれば、日本の社会に希望が生まれる。アメリカの本音はトランプ主義だったのだ。
アメリカのために利用できる国が日本だっただけだ。だからもっと利用価値を高めようとして、様々な要求を突きつけている。しかし、アメリカ一国主義はいよいよアメリカの孤立を深めてきた。アメリカの行動はかなり揺れている。まともに日本が交渉できる状態ではない。
当然である。関税でアメリカの問題が解決など出来るはずがない。アメリカは世界との自由な交易でこそ豊かな国になれた。移民がアメリカの経済を支えてきたことも認めるべきだろう。その上で新しい自由主義経済を模索するのが、本来のアメリカの役割のはずだ。そのアメリカは一国主義の中に閉じこもろうとしている。
日本はいつまでもアメリカに拘泥している必要は無い。アメリカの属国でいることが、日本の独立国としての吟爾を失い、社会の希望が途絶えたのだ。だから人口減少になっている。もし日本が本当に人口増加をしたいのであれば、独立国になり、目標を掲げて、邁進することだ。
国としてのそうした力強さが無いから、人口は減少して行く。その点では、もう諦め気味である。私が生まれてきてから、今までアメリカに支配された占領地のような国であった。アメリカのまねをしてきたような物だ。戦後の日本は奴隷の国のような物だ。日本独自の方角を持ったことがない。これでは人口増加どころではない。