ひこばえ農法の二ヶ月経過の観察結果

ひこばえ農法は出発点で間違っていたと、昨日書いたわけだが、間違っていたとしても、今の状態はよく観察しておく必要があると考えて、改めて観察をしてみた。田んぼごとに状態が異なり、やはり興味深い物がある。次の成功のためになるだろう。
0番田んぼ、トヨメキ6月18日稲刈 をした。8週間が経過。初期段階で水は入れ続けていた。三週間目に株を切り戻し、その後は水は入れないで管理にしている。すでにほとんどの株が穂を付けてきている。これでは上手く行かない感じだ。無効分ゲツが成長して弱い穂になった状態。
0番の様子を見ると、稲刈り前後から一ヶ月のあいだに水があると、ひこばえにはすぐ穂が付いてしまい、充分な実のりにはならないようだ。ひこばえは肥料不足ではすぐ穂を付けてしまうと言うこともあるように見える。この田んぼは溜め池に来年はするつもりのために、収穫までは栽培しない予定。このままの状態で良いかと思っている。
1番田んぼ ハルミ 6月18日稲刈り。八週間経過。
稲刈り後3週間経過した時に刈り戻し。やはり、その後は水を入れている。やはり穂を付ける株がほとんどで弱いまま穂揃いになった。ハルミは温度が高くなると穂を付ける性質があるらしい。
ハルミはひこばえ農法に向いていないと考えて良いのではないか。小さな穂がすぐ付くことがひこばえ農法の1番の問題点だ。これは切り株から出た芽はすぐに幼穂形成期に入ってしまう。一度穂を付ける体質になった稲はどう刈り戻しても、幼保形成期から始まると言うことなのか。
この田んぼの半分は9月から、漢方薬を作るつもりだ。そのためもあり、特に収穫までは期待していない。
2番田んぼ。稲刈り7月3日 六週間経過。
7月10日刈り戻し。水は徐々に戻して現在は溜まっている。刈り戻しを低くして行った。水は常にあった。現在は比較的良いかも知れない。水が浅かった。
浅かった場所は良さそうだ。やはり水を切ることで、用法形成が遅れると言うことはあるのかも知れない。刈り戻しも幼保形成を送らせると言うことかもしれない。肥料分の少なかった場所に穂が早くで始めている。稲は弱い株ほど中途半端な状態で、穂を付けてしまう。
石垣のように年中気温の高い場所ではそうしたことがより顕著なのかも知れない。
3番田んぼ 稲刈り7月3日 六週間経過。
7月10日刈り戻し.水は徐々に戻って来たが、この田んぼはかなり水はないままに推移した。水は確かにほとんどなくてもひこばえには問題が無く出てくる、成長もする。これでしっかりした苗になるなら、1番であるが。
刈り戻しを浅くしたことは少しだけ幸いしているかも知れない。しかしここも出穂をすでに始めている。
4番田んぼ 稲刈り7月9日 6週経過。
7月17日に刈り戻し。水はわずかに残るぐらいしている。現在も湿気てはいるが、水が入っているというほどではない湿潤状態。もう少しこのまま様子を見たいと考えている。
水が多いすぐ穂が出る。と言ってもすでに幼穂形成期になっているとすれば今更どちらでも同じことではある。まだどうすればすぐに幼保形成期に入らないで済ませるかが不明。サリブ農法では早めに稲刈りをする必要があると書かれているが、稲の生理として、どういう意味なのだろうか。
5番田んぼ 稲刈り7月24日 3週経過。
刈り戻しなし。水は湿り気程度。雨がたまに降るので、わずかに湿り気は継続。土壌は湿潤状態。一部稲刈りの時にも乾いていなかった当たりにはちらほら、穂がみえる。このまま乾かして管理したいと思う。
しかし乾きすぎた場所では稲が生育できなくなっている。土壌の湿潤状態を保つと言うことは難しい。
7番田んぼ。ヒトメボレ 稲刈り7月18日。四週間経過。
すぐ刈り戻した。7月10日から水を切り始めて、現在浅く水を入れ始めているが、半分までしか水はまわらない。このまま様子を見たいと考えている。水がある部分とない部分で分かれているので、水の問題は観察できる。
結局の所、ヒトメボレは水があろうが、水がなかろうがひこばえはすぐに幼保形成期に入っている。水がないところも穂が付いてしまった。つまりヒトメボレも、ひこばえ農法には向いていないと言うことが見えてきた。
今はこの穂が出た株をもう一度早めに稲刈りをしてみて、早いよう穂形成期にならないかどうかを観察してみたい。
8番田んぼ マンゲツモチ 稲刈りが7月11日 4週と2日経過。
刈り戻しが一週間後の18日 水は現状8番までは行かないので、まったく切ったままである。かなり乾燥気味である。生育も悪い。マンゲツモチも品種として石垣島には向いていない。石垣に向いていない品種はひこばえ農法にも使えない。
現時点で行ったことは、稲刈り前一週間には肥料を追肥をする。そして、稲刈り後4週目に最初の追肥。土壌は肥料が充分にある状態ないとならない豊井ひこばえは出ない。
そして水は早めに乾かさないとすぐ幼穂が形成されてしまう。この点はまだ不確かではあるが、その可能性はある。この時点で土壌は湿り気のある豊かな物である事は必要。
土壌は水はないが、濡れているという状態が目標。稲刈りはできる限り地際で行う。一節目の下で、刈り込むことで出てくる新しい芽が無効分ゲツのような弱い芽ではなく成る可能性が高いようである。これもあくまで可能性の範囲で確認は出来ていない。
稲刈り時に短く出来ないのであれば、刈払機で再度刈り込む必要が生じる。この再度刈り込むという意味がまだ十分には理解できない。
ひこばえ農法に向いている品種がある。どうもジャポニカとインディカ種の交配した品種が可能性が高いように見える。「とよめき」はそういう品種である。その意味では台湾で作出された。インディカとコシヒカリの交配種は可能性があるのかも知れない。