戦争の原因は領土争い。

   


舟原のジャガイモ畑。

 ウクライナとロシアとの全面戦争の原因は結局の所領土問題である。実にくだらない原因である。領土問題というのは分りやすく、政治家の選挙結果に結びつく。プーチンは自分の欲望に負けたのだ。私なら北方領土も、竹島も、尖閣諸島も、すべて放棄する。戦争の火種が消せるなら、一番格安な処理方法だからだ。

 ウクライナは元々はソビエト連邦の一番豊かな穀倉地帯だった。ほとんどが農業には不向きの土地ばかりのロシアにしてみると、豊かな南の穀倉地帯がロシアから独立してしまったのだ。情けないやらうらやましいやら。ついに喉から手が出たのだ。

 ロシアにしてみると周辺の諸民族をソビエト連邦としていた。ロシアがその盟主として、近隣諸国を搾取していたとも言える。以前ポーランドに行ったときに、ポーランド人がソビエトをどれほど恐れているかを知る場面が何回かあった。

 鉄道でポーランドからソビエトに入ったのだが、国境での多くのポーランド人の余りにおびえる態度にはびっくりさせられた。国境の様子を窓から見ようとすると、必死にしがみついて止められた。そして来たロシアの警察に対しては、哀れなほどへりくだり、何かお土産のようなものを手渡していた。

 死んだ母親をロシアに埋めたいという家族がいたために、延々と半日も汽車は止まった。結局、その家族はそこで下ろされて、母親の希望であったロシアの土に戻ることは出来なかった。その時に、早く記者を出せと起こるような乗客は一人もいなかった。乗せていってやれと言う空気だった。

 ソビエト連邦のロシア以外の国の人々は、ロシアから離れたいという気持ちは必然の結果だったはずだ。ソビエト連邦が崩れたにもかかわらず、意外に東欧の各国がロシアから離れないと言うことが、少し不思議だった。反ロシアの気分よりも、ロシアの恩恵を重視した国もあった。

 しかし、ウクライナの中にも、ロシアに帰属したいという人がいるのも当然のことだろう。クリミヤがその代表的な場所だ。そもそもウクライナが国民投票によって、独立をすることになったときに、クリミヤの帰属問題はすでに存在した。クリミヤにはロシア系住民が多く、ウクライナの独立に反対する地域だ。そうした地域は、ウクライナには他にも存在した。

 ロシアがウクライナの独立を承認した際に、ウクライナがロシアと安全保障上の関係を維持すると言うことが、決められている。つまり、ウクライナが西側諸国にはいらないと言うことがソビエト連邦から離れる条件だったのだ。しかし、ウクライナはEU加盟やNATO加盟を模索しだした。

 当然ロシアは不満である。仲間だった国の裏切りに思えるのだろう。しかし、ウクライナは独立国であるから、外交交渉を始めた。しかし、方向は変わらない。そこで、ロシアはウクライナ国内のロシア系住民のロシア帰属運動を支援するようになる。クリミヤでの住民投票ではロシア帰属が90%を越えた。そして軍事力を持って2014年クリミヤをロシアは併合する。

 その後ウクライナ内の親ロシア派地域では住民投票を行い、ロシアが選択されているところが2地域ある。しかし、ウクライナはクリミヤの併合も、2地域のロシア帰属も認めず、内戦状態に入った。そしてロシアは西側諸国から緩い経済制裁を受けることになる。それでもロシア経済は停滞するようになる。

 それから8年が経過して、ついにロシアがウクライナに全面侵攻を始めたのだ。ウクライナも西側諸国も、ロシアを甘く見ていたわけだ。いまになってみればウクライナは領土にこだわらない方が良かった。クリミヤのように大半の住民がロシアになりたいというのであれば、それを認めた方がはるかにましだったのである。

 クリミヤの所属問題は8年前このブログにも、ロシア帰属を認め名欧米諸国は間違っていると書いたことである。何故ウクライナが独立を認めることが出来なかったか。そこに、大きな失敗が存在する。日本でも同じである。沖縄が90%の住民が独立したいというのであれば、それは認められる必要がある。実際には数%しか無いだろうが。

 最も重要なことは、民主主義である。ウクライナの失敗はクリミヤの独立を認めなかったことにある。もちろんだからといって、ロシアの軍事侵攻は絶対に許されない。軍事侵攻したことによって、ロシアの主張する正義はすべて覆った。

 ロシアは国際裁判所の提訴すべきだったのだ。ロシアは裁判を拒否していた。話し合いによる解決を最初から否定していたのだ。それは日本も同じことである。北方4島。竹島。尖閣諸島。一日も早く国際裁判所に提訴すべきだ。紛争の芽は早く摘まなくては成らない。

 幸いなことに、日本の国境紛争の場所には人が住んではいない。そもそもそうした無人島は日本には無数に存在している。無人島がどこに帰属したところで、大きな経済問題にはならない。漁業権など経済問題がいくらか無いとは言えないが、国境紛争の費やす軍備的費用を思えばいくらのことでも無い。

 まして、戦争の原因となり、人命に関わることがその背後にはあるのだ。韓国で新政権が出来たこの機会に、日韓友好の証として、竹島の領有を韓国にしたらどうだろうか。その方が日本の利益にも成ることは明白である。

 資源の問題や漁業の問題を強く主張する人がいるが、そのために戦争まで起きたならば、あとで大きな後悔をすることになる。どのみち地下の資源を当てにするような事では、幸せな国作りは出来ない。いまある日本列島を尊いものと噛みしめて生きれば良い。

 ロシアがウクライナに侵攻したこの機会に、日本人全体が、領土問題の解決を真剣に考えなければならない。政治家には出来ないことなのだ。政治家は領土をいらないなどと主張すれば、すぐ落選するからだ。まして、国境紛争を日本の軍備拡大の材料としている勢力が存在する。石垣島でも暗躍している。

 仮想敵国中国を想定して、南西諸島を軍事基地列島にしようという勢力である。まったく前近代的な発想である。ウクライナの失敗を考えてみる必要がある。徹底的に紛争の芽を摘むことこそ、平和外交である。中国と敵対を深めることは日本の安全保障が危うくなるだけである。

 中国は商業国家である。日本が中国の利益になる国であれば、中国は攻撃をするようなことはない。中国はこれから経済成長が止まるときが来るだろう。その時に国内の不満は浮上してくるはずだ。その不満の眼を外に向けさせようとする可能性がある。

 中国につけいる隙を与えないことが日本の一番の安全保障である。そして日本はアジアの小国連合を推進することだ。韓国、台湾、フィリピン、ベトナム。中国に接する周辺の小国で同盟関係を結ぶことだ。そして共に進出する中国の拡張主義に対して、世界公正な判断が下されるように進めることだろう。

 軍事力よりも、友好関係である。ウクライナもNATO加盟よりも、EU加盟を推進した方が良かった。互いの関係が経済的利益に繋がれば、戦争は回避できる。いまウクライナで、戦後最悪な戦争が行われている中、国際紛争を軍事力では無い解決を目指して、日本は行動しなければならない。

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