地価の動きと未来予想図
2025/04/24

地価公示価格が公表された。2025年の公示価格では、地価上昇は東京23区内が11.8%と前年の7.0%から拡大した 。大阪市も11.6%で前年の9.4%を上回った。 この値上がり率はまるでバブルがまた起きているかのようだ。1992年のバブル崩壊後最大の上げ幅になったと言うことだ。
地価上昇は91年に全用途の全国平均が11.3%の上昇を記録して以来の上昇幅である。今回の不思議な地価上昇は、海外からの投資が原因であることは間違いない。特に中国で不動産投資が行き詰まり、行き場のなくなったお金が、日本に入ってきているように見える。つまり外国の投資家には日本がまだ有望な国に見えるらしい。
投資物件という意味では土地は実需の表れが強い。土地を寝かせておくというのもあるのだろうが、一般に土地は利用価値である。中国では金や宝石と同じものとしてマンションを購入していたために、暮らす人がいないマンションが建てられた。株式投資は投機的意味合いが強すぎて、経済の実態とは違う動きをする。土地価格はその時代を一番表しているものだと思う。
世界はコンピュター革命の時代である。社会が大きく様変わりしている。日本の都会の土地は利用価値があると、内外の金持ちがの人が見ていると言うことになる。投機であり、思惑であるから外れることもあるが、中国人の場合海外脱出や子供の教育用地として購入しているのかもしれない。
土地価格は実態を表している。例えば、6年前石垣島の土地価格はどう動くのかということを判断して、石垣島の未来を予測した。そして引っ越して来ることにした。石垣島はしばらくは、多分私が生きている間は、地価の上昇が続き、活力のある地域であると予測している。6年間は予測通りの動きである。
石垣島の最新公示地価は平均8万2880円/m2、坪単価では平均27万3983円/坪で、全国順位は249位。前年からの変動率は+9.21%で、変動率の全国順位は22位。最新基準地価は全国順位は313位で、前年からの変動率は+5.46%。変動率の全国順位は109位。お隣の宮古島市は全国第4位の上昇である。
この数字は、離島の地価としては上昇が大きい方だと思う。しかも台湾侵攻が言われているにもかかわらずである。自衛隊ミサイル基地が出来たにもかかわらずである。土地を買う人は台湾侵攻はないと判断していると言うことを意味している。中国、台湾、韓国、香港が近いという観光需要が背景にある。
台湾侵攻はないと判断して石垣島に引っ越した。判断の基本は60年間政府の言うこととは逆張りなのだ。防衛族が今年にも台湾侵攻があると騒いでいた。つまり台湾侵攻などないと言うことだ。アメリカに言わされているとみていた。中国は軍事侵攻から入るようなことはしない。まず情報戦であり、経済戦争である。
40年前に政府が食糧自給率上昇と言い始めた。政府が言うこととは反対に、自給率は下がると予測して、自給農業を始めたが、私の予測通りに農業者は減少し自給率は下がり、耕作放棄地は広がった。政府が口先で奨励するようなことはやり手がないからに違いないのだ。
人口減少が進んでも、円安や低金利で安い日本市場に海外からの投資マネーが集まっているのだろう。24年の国内の商業用不動産投資額は計5.5兆円で前年から6割も増えたとある。24年の不動産投資額のうち海外の投資家分はおよそ1兆円で、前年から7割ほど増加したと書かれている。
この数字も驚くべき数字である。日本は製造業や生産性で見れば停滞国なのだ。にもかかわらず、土地については他の国よりはましとみられているのだ。コンピュータ-革命について行けるとみられているのだろうか。あるいはバリ島やプーケット島のように、サービス業で見られているのだろうか。
危機にある世界の中では、日本はまだ安定している国なのかもしれない。行き場のないお金が世界でさまよい歩き、日本に流れ着く。未来に敏感な中国の富裕層が日本に土地を買い、安全な避難先を作る。日本が安全とみられていると言うことは、生きている間ぐらいは日本は何とかなっているのだろう。
24年の土地投資額を国別に見ると、日本は米国、英国に次いで3位だった。都市別では東京がニューヨークに次ぐ2位となった。今回の地価上昇はバブル期とは異なり実需を伴っている。一番注目しておかなければならないのが、東京都心のオフィス空室率である。2月に3.94%とほぼ満室状態なのだ。需給均衡の目安となる5%を下回っている。
この空室率というものは、社会をよく表している。三鬼商事というところがデーターを出している。オフィス建設は進んでいるにもかかわらず、空室率が下がると言うことは、日本の企業だけでなく、海外の企業が東京に事務所を置くことが広がっていると言うことだろう。
景気が減速すれば、日本に向かう投資マネーが減り、上昇が続いている地価が下がり始める。訪日客向けホテル建設。市街地の再開発事業。半導体工場の建設などが地価を押し上げており、地方圏も上昇地点が半数に達している。
金利の先高観やマンション価格の高止まりしている。普通の暮らしのものには住宅取得の困難さは増しているが、東京の最高級マンションはどれほど高くとも即売り切れるとある。海外からの投資マネーが来ているのだろう。中国からの富裕層の避難民と言うこともある。
地方の回復傾向を商業地でみると、山形、富山、長野、香川、宮崎の5県が上昇に転じ、県庁所在地の下落は鳥取市だけ、総理大臣は確か鳥取ではなかったか。地方でも都市集中が進んでいることが見て取れる。各地で県都と周辺の二極化が進む。中山間地の自治体消滅が見えてくる。
以上のような地価の上昇は人口減少が進んでも、都市集中はさらに進むと言うことを予測させている。これは50年前に予測した通りの結果である。地方への都市機能の分散と言うことが言われていた。那須遷都などと政府が発言したのが中曽根内閣だったか。そういうことを言う以上、東京一極集中はさらに続くと考えればいい。
おおよそが予測通りに展開した。生きて行く上で重要なことは、未来予報である。予報が当たれば、生きやすい。今一番の注目は消滅して行くとされる中山間地である。政府は地方活性化というが無理だろう。つまり地方はさらに衰退すると言うことと考えて良い。
若い頃であれば、好機到来と好きな中山間地を探し歩いたことだろう。離島も可能性がある。人がいなくなるという逆張り。何か思いきってやれそうに思える。これから中山間地の新しい暮らし方。一番面白いことになるに違いない。自由・冒険・人生がそこにはありそうだ。
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