田んぼ観察会

   




 例年、田んぼ観察会を行っている。覚えやすいように、苗床播種10週目。田植え5週目が基本的な観察日だ。それぞれの田んぼを比較しながら、今年の出来具合を把握する。イネはあと5週が15枚目の最後の止葉の出る時期になる。ここからイネは性質を変える。

 イネ作りは、5週ずつに生育を分けて考えると考えやすくなる。この後の5週は穂を作る5週である。一本植の株の幼穂形成期はばらついている。これから出てくる分げつにも穂が付いてもらわなければならない。10週目で10分げつ以上あり、この後20分げつに向って分げつを増やしてもらわなければならない。



 観察する要件は
 1、株の背丈 ーーーサトジマンで60㎝が基準。葉の幅は12ミリ。 
 2、分げつの数 ーーー1本植で10本以上、20本あっても悪くない。 
 3、株の堅さ ーーー株全体が手に一杯になる量あり、弾力が強いほど良い。
 4、土壌の深さーーー 田んぼに入り歩きにくいほど深くない方がいい。深い場合は、間断灌水で土を固めてゆく。 
 5、葉色ーーー濃すぎないこと。黄ばんでいないこと。周囲の雑草と同じくらいなら心配ない。田んぼ全体に色ムラがない方がいい。この後どんどん色を増してゆくが、どす黒い色でなければ心配ない。色が濃すぎる場合は、穂肥を控える。
 6、トロトロ層の厚さーーー 土を触って表面のふわふわなところがトロトロ層。これは微生物が作り出している。これが厚い方が良い。トロトロ層より下の深い層の土を取り、匂いを嗅ぎ確認。腐敗臭がしなければいい。 
 7、入水口と水尻の違いーーーこの時期に入水口が遅れているのはそれほど心配はない。生育の違いでその年の水管理の状態の良し悪し、水温などがわかる。
 8、泥のわきの具合ーーー 歩いて泡の出具合と泡の匂いを確認。
 9、コナギの状態ーーー 草があればとる。この時期より遅れると、草取りが大変になる。
 10、虫や病気の有無ーーー ツトムシ、ずい虫、幽霊病、イモチ、たいていの場合はそのままでも収まることが多い。その年の様子を記憶して、どの程度に広がるかがで、対策の有無が判断できる。

 欠ノ上田んぼでは7月6日に行った。おおむね成育は良好であった。悪いところが数か所あったが、水の例年湧いてくる場所である。毎年同じ個所が悪くなる。水口の生育の遅れはそれほどではなかった。今年の水はそれほど冷たくはないのかもしれない。

 今年の成果は、何といっても吉宮田んぼの出来が素晴らしかったことだ。田植えが2週早く。稲葉式でやっている。3回代掻きである。草が全く出ていない。そして、30分げつである。この後これが過繁茂ではなく、良い穂が付けば12俵まで行きそうな状態である。どうなるだろうか。


 私と東さんの担当の、5,6,7番田んぼ。東さんが頑張ってくれて、草はない。生育も例年より良いようだ。10葉期水がそろそろ見えなくなるぐらい葉が出ていればよい。

 





R2.7.6
欠の上田んぼの評価






田んぼの番号 草丈の平均 分けつの平均 その他の状況 コメント 評価
1 60cm 12本 全体的に順調 例年他の田んぼより遅れていたが、今年は極めて順調な生育
10点
2 60cm 12本 ・北側に湧きがあり、生育が遅れている部分がある。(藁が分解されていない。)沸きはそれでも昨年よりは、改善された。
 ・葉色が薄い部分がある。
穂肥を増加する必要がある。ふたみを1袋播いた方がいい。 9点
3 65cm 12本 ・北側中央部に湧きがあり、生育が遅れている部分がある。
 ・全体的に、土が深い
・苗床であったため、もともと肥料が多く入っており、草丈も65cmなので穂肥はなくてもいい。
 ・湧きが少しひどいので1回干した方がいいかもしれない。水位を下げた。
7点
4 67-68cm 11本 ・土が深く、少し湧いている部分ある。 成育は昨年よりムラが減っている。北側部分に草の密集が毎年できる。これは苗床にあったコナギが流れ出て定着したのではないか。苗床の排水にネットが必要。
8点
5 60cm 12本 全体的に順調 一本植で種取り田んぼ。代掻きのない田んぼの良さが出ている。
道具でやる田んぼとして残したい。
10点
6 60cm 12本 葉色が少し薄い かつてない出来の良さである。入水が良くできているためと思われる。
9点
7 61cm 11本 北側に湧きがあるところがある。 何故か北側の悪い場所は昨年から目立ってきている。
9点
8 70cm 13本 葉の幅は12mm ・かなり生育が進んでおり、穂肥は抑えた方がいい。 10点
9 60cm 12本 北側にすこし湧きがあるところがあるが、問題なし。 例年1本植で収量も多く、見本的な田んぼになっている。
10点
10 60cm 9本 北側に生育のむらがある。 もともと、湧き水がたまるところであり、土の状況も悪いので、一回水を抜いた方がいいかもしれない。分げつも少し足りない。 7点
11 60cm 8本 すでに下葉が枯れている箇所がある。 ・もともと土壌が悪く、湧く田んぼなので何回か入ってガスを抜く必要がある。
・この状況では、穂肥はやらない方がいい。
 ・冬に土を乾燥させる必要がある。
6点
12 65cm 12本 北側に少し生育の悪い所がある。とろとろ層が少なく、茎が少し柔らかい。 3本植のため、分げつが確かに多いい。一部に昨年も悪い部分が出来たが、これは下に埋められた、配水管が割れて洩れているという事はないだろうか。
9点
13 65cm 12本 全体的に順調 1株、赤枯れ病と思われる株があるので注意が必要。色が他と比べると少し浅い。 10点
14 65cm 10本 やや生育が遅れているところがある。 マンゲツモチであるから、この程度で十分なのかもしれない。
9点
15 68cm 11本 少し茎が柔らかい。 満月糯のベストの状態
柔らかいのはマンゲツモチの特徴かもしれない。
10点
 

 

 - 「ちいさな田んぼのイネづくり」