EU離脱国民投票

   

イギリスではEU離脱が国民投票で決まった。これを自民党ではポピュラリズムと呼んでいる。国民の判断は、流されるもので正しい判断にならないというコメントがついてくる。そうは思わない。民主主義というものは、どれほどおかしな結果だと政府が思うものであれ、より直接民主主義に近づけるべきだ。現在の選挙制度は国民が政治に関心を失う結果になっている。投票率の低下に表れている。50%を下回った地域は選挙を無効にして、議員を出せないようにすべきだ。このままでは民主主義が死んで、国が衰えてゆく。国民投票という直接民主主義が悪いのではない。EU離脱に至る論議が不十分にしかできなかった政治の在り方がおかしいのだ。政権党のEU加盟の意義の説明の仕方がいかにも不十分であった。同時に離脱のキャンペーンの反移民のあおり方や、拠出金の意味を誤解している幼稚さに原因がある。つまり、国民投票が悪いのではなく、政治における議論の能力が劣化しているのだ。それは日本も同様である。ヘイトスピーチは出来ても、議論は出来ない。

EU離脱の判断が経済だけである。EUへの拠出金がなければ、財政がもう少し楽になるのではないだろうか。移民労働者が労働市場に流入するから、自分たちの仕事が阻害されているのではないか。このように考える人はいるだろう。世界経済を動かしがたい競争とすれば、自国主義が台頭してくるのは当然である。世界企業が国を超えて活動をしている。利益に貪欲で、活動地点に税を払わないで、税の安いタックスヘブンというようなことまでしている。原因は世界企業とEUの問題と考えるべきだ。だから、イギリスがEUから抜けたところでイギリスにとっては何の解決にもならない。イギリス政府が大英帝国のプライドを捨てられず、世界企業と連携して経済運営の再生を考えてきたのではないか。世界企業はすでに国というものを超えた価値観で活動をしている。日本政府の怒りは日本の企業にマイナスだからだ。

石垣島では、自衛隊の配備について緊張が高まっていた。住民投票で是非を決めれば、反対が多数である。もし自衛隊配備が決まる前に、市長選挙が行われるなら、現中山市長は落選する。反自衛隊基地市長が選ばれることだろう。現中山知事は自衛隊誘致すらしていると目されている。つまり、そこまで地元の意思を無視して、ポピュラリズムなどと訳の分からない言葉でごまかして、住民の意思を問わない方が良いといえるのだろうか。国防は国の専権事項であるから、住民の意思など聞く必要はないというのであれば、何のために国防があるのかという事になる。日本国民の為ではないとすれば何を守るのだろうか。石垣島が観光で地域の活性化を見出だそうとしている中で、自衛隊の基地は大きなマイナス要素がある。仮想敵国に向うミサイル基地を準備している場所に、果たして中国人観光客は抵抗ないだろうか。それでも住民に意見を聞けば、国防が出来ないと考えていいのだろうか。

直接民主主義は極めて重要である。もしそれが、利己的な間違った判断をするとしても行うべきものだ。大切なことは、間違わない国民が育つ民主主義を成長させることだ。その為には報道である。正しい方向性を持った。批判精神にあふれた報道機関が無くなれば民主主義は衰退する。政府の出先機関のような、あるいは大企業の顔を伺う報道機関ばかりであれば、民主主義は劣化する。イギリスは劣化したのだ。日本も憲法改定に関して、3分の2の議員が賛成という状態に進んでいる。選挙制度の問題点は大きい。こんな選挙制度の結果、議員の方の劣化は明らかに進んでいる。政治資金規正法が全くのざる法でも、議員が変えようとしない。議員は身を切る経費削減を、議員定数の削減に転嫁している。住民投票を避けている自民党政権はイギリスやアメリカ以上の劣化かもしれない。

 - Peace Cafe