中国外交はどうなの。

   

中国政府の日本への「希望と要求」というものが出てきた。この頑なさは、全く中国らしくない。本来の中国を失いつつある習近平政府の、偏りとゆがみを表している。外務省は会談の際になかった話だと主張しているが。しかし、現状ではこれは予測されたことである。なぜ岸田氏はサミット前に中国に行ったのだろうか。明らかな失敗である。失敗と見せかけた仕掛けなのか。想像では、首脳会談を岸田外務大臣は設定しようとした。たぶん、そのことは了解したのだろう。だからこそ、日本のこれからの態度に釘を刺した。さてサミットで中国の海洋進出をどのように共同声明に載せるかが、極めて困難になった。中国のあがきとみるか、中国の罠とみるか。それとも、アベ政権の国民の誘導なのか。

中国の外相の発言である。

「この数年の間に、日中関係は絶えず波乱がありました。その原因については日本側が一番よくおわかりでしょう。近年、日本はたびたび関係改善を希望しています。もしあなたが誠心誠意で来たのであれば、私たちは歓迎します。中国には“その言葉を聞き、その行動を見る”という言葉があります。今日はあなたがどのように日中関係を改善するか意見を伺いたい。それと同時に、日本側が本当に行動に移すかということも見なければなりません。日中は隣国。私たちは当然日本と健全で安定した友好関係を発展させることを希望しています。同時に、この関係は必ず、歴史を正視するという基礎、約束を守るという基礎、協力であり対抗ではないという基礎の上に築かれなければなりません。あなたの今回の訪中が、日中関係の実質的な改善に作用することを期待しています」

中国から出されたとされる?日本に対する4つの要求である。

(1)歴史を直視して反省し、「一つの中国」の原則を守る

(2)中国脅威論や中国経済衰退論をまき散らさない

(3)経済面では中国を対等に扱い協力を推進

(4)国際協力で中国への対抗心を捨てる

一体何を考えて、岸田氏は中国に行ったのだろう。良い感触が得られるとでも考えたのだろうか。サミットでの共同声明に対する、圧力がかけられるだけであることは、分かっていたことだろう。今回の外相会談は両国の関係の悪さを際立たせるだけのものだ。日本の外交感覚は甘すぎる。確かに中国の態度は非礼極まりない。世界の外交でもこれだけあからさまに相手国を批判をすることは、めったにあることではない。両国は戦闘状態にある訳ではないのだ。しかし、現状の中国の状況から考えてみれば、予測しておかなければならない発言である。日本政府は中国がこのような態度をとることを想定していたとしたら、怖ろしいことだ。両国の関係をさらに悪化するために、仮想敵国としての中国を、日本国民に印象付けるための中国訪問という事も考えられないわけではない。アベ氏はロシアのプーチンと首脳会談をする。これも良くない結果が予想される。アメリカは会うなと主張している。アベ外交はただ会えばいいと言う怖さがある。

特に注目されるのは、中国経済が悪いというような宣伝をしないでほしいという指摘である。そんなことを外相会談で発言すると自体が、経済の行き詰まりを感じさせるだろう。一方日本側の中国に対する態度のそこにあるものは、「爆買い」である。こんな言葉を流行語大賞で取り上げるような、外国人に対する感性の喪失である。「爆買い」という言葉の裏にある潜在意識は、中国人に対する蔑視感情であろう。買い物をしてくれている中国人に対して、失礼極まりない物言いではないか。中国は政府の発言に問題があり、日本側はマスコミの無神経である。トランプの人種差別意識を支持するアメリカ人。世界は徐々におかしな方向に流れ始めている。相手を攻撃するより、自ら襟を正すところからだろう。中国の何が悪いとかあげつらったところで、問題は悪くなるばかりである。黙って中国の動きをよく見て置くことだ。世界は中国を注視している。日本に対する今回の発言も見逃しはしないだろう。日本が中国を蔑むようなことだけは止して置くことだ。爆買いを流行語大賞にし立て上げた愚かさを、今に日本人はわからざる得ないときが来るはずだ。

 - Peace Cafe