石綿薫さんの農場
素敵な畑のすてきな石綿ご夫妻。キャベツ畑の前で。
松本の石綿薫さんの農場を見せて頂いた。やはりすごい農場だった。石綿さんは農業分野の天才の一人である。以前自然農法国際開発センターにおられた。その頃指導を受け農業の考え方の様なものを教えられた。あれから農業技術への興味が開花されたともいえる。今は「Happy Village Farm」を松本市の波田町でやっている。トマトを中心にして、5,6種類の野菜を作られている。6反の広さだそうだ。トマトのハウスが1,7畝位ある。無加温で作られている。9月20日のトマトがみずみずしく若木のようにできていた。その栽培の全容は私のレベルでは想像すらできないので、もうヒントになるというようなことすらあまりなかった。作っているトマトは自分が作出した品種という事。石綿薫さんはそもそも種苗会社におられて、トマトの作出の専門家だったそうだ。そこを止められて、自然農法国際開発センターに移った。そこでトマトの自然農法で可能な品種の作出をされていた。トマトの作出では著名な方である。夫人も農工大の頃からの同級生で、先に就農されたのだそうだ。
トマトはセルトレーに種まきをして、2度植え替えて9センチで仕上げて、定植すると言われていた。そこには秘密にしたいほどのノウハウがあるらしい。どうも八上げた時の土の量が重要らしい。私にはわからない。トマトの種まきの時に何とトマト葉ネギの種1粒とトマトの種を1粒蒔くのだそうだ。そしてその両者はそのまま、最後まで共に暮らして両者が収穫されている。まさにコンパニオンプランツの完成版である。この時期ですでに10段を取り終わって、次の収穫を迎えているとのことだ。私は1度だけ10段採ったことがある。それはオリザ農園から頂いた苗で作った時だ。やはり苗が重要なようだ。味覚を重視されているそうだ。夫人がトマトは嫌いだそうで、その口に合うものを合格とする。来年はタマネギの種とトマトを同時播種して、タマネギの方はセットタマネギにしてみようかと言われていた。植物を土に返してゆくだけで、特に肥料に当たるものは入れないという事だ。そうするとカリだけは減少してゆく。そこで来年は藁が入れられるようになると言われていた。藁さえ肥料が増えるので入れないのかという驚きがあった。土壌の循環の世界が深い。トマトの水やりは11時と明確に言われていた。人間の都合ではなく、トマトの都合があるのだろう。意味が有るのだろうが、私にはわからない。
その後、自然農法国際開発センターに行った。キャベツ等の展示圃場である。全く虫に食べられないキャベツである。モンシロチョウ他虫はいっぱいいる。しかし虫はキャベツの結球部分は食べない。以前モンシロチョウが白い煙のように見えるほどいたが、結球部分はきれいだった。YR優緑という品種だそうだ。しかしこれは他所の種苗会社の品種だそうだ。食べさせてもらったのだが、少し硬いが味も悪くない。来年はぜひこれを作りたいと思った。品種の重要性というものを思い知らされる。その土地その土地に合う、自然農法に適合する品種。そういうものがあるのだろう。自然農法国際開発センターでは様々な種子を作り、販売もしている。
そして驚いたのがこの大豆。100サヤ以上ついている。品種は中千成だそうだ。これは長野ではよく作られていると言われていた。5畝位あっただろうか。これぐらい量を作れると説得力がある。是非ともほかの作物でもこういう作り方を見せてもらいたい。有機農業は慣行農法よりも優れた農法であるから、収量も多いい。という事にならなければ、手間がかかる訳だけで普及など出来るわけがない。この後田んぼの方にいった。田んぼでは波田ろくたんという作出品種とコシヒカリを作っているそうだ。草はない。しかし収量はもう一つ。幡多6反は多収品種で味的にはいまいちと言われている品種。それでこの収量では私は納得がいかない。無肥料圃場というのもあるのだが、ここは6俵ぐらいに見えた。分げつもほとんどとれていない。4本植えて4本のままという株すらある。その圃場を理想の方向の圃場だと言われていた。これには違和感を感じた。やはり宗教的なのか。たぶん米の生命力が強いとか、腐敗をしないなどと言われるのだろう。すべての前提になる収量が普及のための展示圃場で低いのでは、これはダメだと思うのが普通ではないだろうか。稲刈りが終わった時に土壌に全く肥料のなくなる田んぼが良いと言われていた。しかしそんなことに何の意味が有るのだろう。昔は田んぼでは裏作をやるものだ。肥料を取り尽くす田んぼでは困るではないか。田んぼは参考にはならなかったというか、だから有機農業は普及できないのだろうという、参考になった。