越冬トマト
前部分は巻き上げ式になっている。
小さなビニールハウスがある。1間の3間だから、6畳ほどという事になる。北側と東側には自然石の擁壁が積まれている。その石垣を利用して作ったハウスである。西側に家があり、箱根からの吹きおろしを遮っている。陽だまりである。上の畑のおばあさんによると、こういう地形を屏風というのだそうだ。作物が良くできる場所として貴重な畑の地形だそうだ。その屏風型のビニールハウスを作った。ハウス内の石垣の石が昼間の熱を蓄熱してくれて、朝までいくらか暖かさが残っている。だからよく猫が中で寝ている。ハウスの中には踏み込み温床もある。踏み込み温床は2酸化炭素も発生するし、堆肥もできるので、冬のハウスには必需品である。12月初めに落ち葉を集めてきた。踏み込み温床の設置である。貯めてあった蕎麦の糠と混ぜて、濡らしながら積み上げてある。
一本のトマトで赤くなった16個のトマト。まだまだ青いトマトがなっている。
この小さなハウスにはいつもトマトがある。越冬トマトである。自然の成り行きなので刈れてしまう年もある。越冬できる年もある。今年は12月でもまだ実が赤らんでくる。品種は桃太郎である。いつもはミニトマトを越冬トマトとして1本残すのだが、今年は間違って、切ってしまったので、桃太郎が残っているのだ。トマトができるというのは、10段まで取れることだと、織座農園の窪川さんから言われたことがある。10段採れたことは過去1回しかない。その1回は窪川さんから頂いた苗を育てた時のことだ。野外で育ててのことだから、品種と苗の違いがいかに大きいかと痛感する。それでも今年の桃太郎は何とか、6段か7段まで採れて、そのあと放任にした。その方が寒くなってから強いような気がする。ぼつぼつ実が赤くなる。実を食べるというより、冬を乗り切れないかの方を楽しみにしている。青いままのトマトはかなりなるので、これでトマトスープを作る。
屋根はアクリルの塩ビ版で張ってある。結局この方が長持ちする。
ハウスには、青物がまかれている。小松菜は冬の間もそれなりに成長するので、毎年お雑煮に入れることにしている。後はニラである。これはハウスを作って以来根付いて頑張ってくれている。自給にはビニールハウスがあるとずいぶん便利なのだ。春になれば、ここで苗を作る。積んである堆肥を積みなおしながら、90センチ角の踏み込み温床をつくる。その上に苗箱を並べて管理をする。夏野菜の苗がそれなりにできる。
こんな感じで、赤いトマトが実っている。今年の暖冬が影響していると思うが、トマトは加温なしでも越冬することは何度かある。翌年上手くゆけばこの枝を差し芽して、株を増やすこともできる。そうすれば苗作りなしの越冬トマトである。自給農業では、小さいビニールハウスがあると実に多様性が確保される。ビニールは使わない、というこだわりのある人には許しがたいことだろうが、ビニールを大切に使えば問題はないと考えている。一枚のビニールを5年は使わなければだめだ。今日は大みそかである。あちこちの片づけをしよう。