韓国の和解

   

韓国と日本が従軍慰安婦問題で、政府レベルでの和解を果たした。国民こぞって和解に進むように対応しなければならない。決断した安倍政権を評価したい。安倍政権ができて以来、日本は軍国主義化の道を進み、絶望的な気分に陥ることが多かった。今回の従軍慰安婦問題の政府の対応は正しく、勇気ある判断だ。安倍氏が個人的な思いを乗り越え、日本という国の正しい方向を選択できたことを、心より喜び評価したい。歴史の方角というものは、一政権の思惑では代えがたいという事を意味しているようだ。隣国である韓国と良い関係を作り上げるという事は、政府の外交政策の根幹となってほしい。これから、世界はさらに厳しい冬の時代を迎えると考えておく必要がある。隣国と良い関係を作ることは、吹きすさぶ暴風に耐え上で重要なことになる。それは中国を仮想敵国とする日本政府の間違った方角を修正してゆく上で、重要な要素になるはずである。

日本政府が、河野談話を引き継ぎ、軍の関与を認めたことは重要である。そして、政府として反省に基づき、10億円の基金を提供することを決めたことも一歩前進である。隣国との関係が好転すれば、互いの利益はそれどころではない。日本政府は、従軍慰安婦問題における反省を基盤として、揺るがない姿勢で約束を貫かねばならない。ドイツにおける100万人の難民受け入れのNPOの代表の方が、ナチスのユダヤ人虐殺の歴史を踏まえれば、ドイツ人として当然のことだと発言していた。そこには負の歴史に正面から向き合う姿勢が感じられた。日本がアジアで行った侵略戦争に対して、弁解じみた解釈をする人がいることは、実に残念である。今回も、つまらない発言をして、問題の解決を邪魔しないことを願う。靖国神社に固執して、戦没者国立墓苑を作ることすらできないでいる政府はここでも政策の転換を図ることだ。そうした、歴史のゆがんだ解釈では世界に通用しないという事が現実なのだ。

中国に対して、侵略戦争を行った事実をゆがめた解釈でごまかそうという姿勢も、結局は歴史の前には、ごまかしは効かない。。南京の大虐殺の人数が違うというようなことをいくら主張しても、戦争において市民に対する殺戮があったという事実の前には、空しいことなのだ。歴史にはさまざまな解釈があるだろう。しかし、未来志向から歴史を見るとすれば、反省し、弁解をしない姿勢こそ、負の歴史に向かい合う姿勢である。世界に暴風が吹き荒れる原因は、資本主義経済の限界からくる。行き過ぎた競争の原理が世界のゆがみを深刻なものにしている。今後世界全体の格差は、さらに深刻化するに違いない。豊かな国であるアメリカにおいてすら、貧困の問題が深刻に存在する。豊かになるためには、競争が必要で、競争の結果弱者が踏みにじられても、それは弱者の自己責任とされる資本主義の正義。能力がなければ貧困に陥ることはやむ得ないという、自己責任の価値観では乗り越えられないものがある。

韓国には反日感情が強く存在するだろう。今回も、きっと反政府的な動きも表面化する。それに挑発されてはならない。韓国政府が日本以上に国民の反発を買うであろう選択をした原因は中国の経済的環境の変化だ。韓国は中国との接近で経済の進展を目指した。しかし、中国の経済は危うさを見せ始めた。韓国にしても中国一辺倒の危険を強く感じ始めたはずだ。アメリカの韓国への中国政策転換の圧力も強まった。北朝鮮の中国に対する態度も不穏な動向が見られる。中国がこれからアジアの不安定要素になる。韓国の経済展望が政策転換のきっかけである。今後の世界経済の変化には多様性がなければ乗り越えられないという事になる。安倍政権には対中国政策の転換が求められる。アメリカの軍事同盟をいくら頼りにしたところで、アメリカが頭越しに中国との関係を変えるに違いない。後ろ盾の方が変化したとき、日本がどうなるかを考えておく必要がある。

 - Peace Cafe