アベノミックスの海外評価
誰の目にも日本経済は怪しくなってきた。順調だと明言しているのは、日銀総裁と安倍政権ぐらいなので、いよいよ大丈夫なのかと不安が増幅する。企業に設備投資しろと押し付けているようだが、何を作ればいいかというところが定まらないのだろう。政府が率先して、夢のある日本の方角を示すことが重要だ。私なら自然エネルギーの技術開発全力で向かおうというところだ。リーマンショックでも中国経済の減速でも、予測されたことが起きただけのことだ。ただいつ来るかということがわからない。株価は毎日上げ下げしている。その都度報道はもっともらしい理由をつけて説明しているが、すべて後付けの理屈である。日本経済が世界の経済の中にあるということだけは、はっきりとしている。昔ながらの経済成長を追い求める一億総活躍社会では、人間の生き方はいよいよ難しくなる。
アメリカの格付け会社が日本の国債格付けについて、「AAマイナス」から「Aプラス」へと1段階引き下げたと発表した。デフレ脱却や経済成長をめざした政府が、国債の信用力の低下傾向を今後2~3年で好転させる可能性は低いとした。国内総生産に対する政府債務残高の伸びは年5%以上に達すると予測し、「日本の財政状況が極めて脆弱(ぜいじゃく)であることは、重大な弱み」と指摘した。経済が今後2~3年で国債の信用力を好転させるまでに改善する可能性は低いと結論づけた。格付け主要3社は1年の間に日本国債を格下げしており、そろって日本国債を「シングルA」格相当にしたことになる。
格付け会社の判断が正しいかどうかはわからないが、世界での日本経済の評価が下がっていることは注目しておかなければならない。格付け会社によれば、日本は中国や、韓国より、一段下だということである。イギリス、ドイツ、カナダ、豪州が最上位である。日本の財政の立て直しができないだろうとみられている。国の借金が膨大になり、年金の資金まで株投資に回して株価の維持を図る。危うい綱渡りを続けているのが、日本の実情である。鬼怒川の氾濫に伴い、この際とばかりに、スーパー堤防の復活を主張する報道が目立つ。日本にはそんな公共事業費はない。やった方が良いこと、やるべきことはそれはいくらでもある。しかし、お金のかかることは出来ない状況なのだ。国の財政となるとやたら難しそうになるが、単純なことだ。個人が借金して耐震補強をするかどうかである。あの水害でも、流された家と、流されなかった家とがある。
日本経済が好転するようなことは当分ない。それは日本という国の置かれた状況を客観的に見れば、当然のことだ。消費税10%だってやらない方が良いに決まっているが、やらざる得ないくらい財政が厳しいのだ。耐えるしかない状況である。法人税を下げるなどもってのほかである。重要なことは今後の経済展望を楽観しないことだ。株価が乱高下しているが、こういうことは日本の実体経済を表現したものではない。それは中国の株価でも同じである。あくまで投機的な目で、一儲けしようという資金がその場その場で動いているだけだ。今後日本経済は、格差を広げてゆく。韓国の後追いを続ける。企業は利益を上げるだろうが、その恩恵が全体に広がることはない。あくまで関連の一部企業にとどまるだろう。賃金の格差はさらに広がる。正規雇用の比率も減少する。にもかかわらず肉体系労働力不足は顕著になる。
日本全体の暮らしの方角を考え直すべきだ。世界との競争に巻き込まれることなく、日本での暮らしを充実させることだ。人口減少もその意味で、良い方向と考えなければならない。ヨーロッパの小国が豊かな暮らしをできていることから学ぶべきだ。