自民党総裁選にみる金太郎飴
自民党総裁選は無投票になった。野田聖子議員が立候補しようとしたが、20人の推薦人を集めることが出来なかった。以前なら、総裁選は必要だから、私でよければ名前を貸しましょうという話だ。自民党安倍総理大臣に対して、対抗出来る人材がいないということなのだろう。自民党議員のすべてが、安倍氏に忠誠を誓うという不気味な事態が起きている。国会議員になろうというようなタイプの人間に野心が失われてきていることが、良いことなのか、ダメなことなのか。職業人政治家の群れ。社員政治家は社長の顔色ばかり見ているのだろう。野田氏が立候補しようとした志は、立派なことだし、意思を貫いた政治家に見える。郵政民営化反対で、確か自民党を辞めさせられたのではなかった。自分の意見を強く主張できるのは女性議員というのも、なんとなく今の時代の世相を感ずる。靖国神社参拝も女性3議員だった。女性以外が自己主張できないという、自民党を支配する空気が茶色に染まってきているのだろう。もうあの犬は黒いと首相が言えば、灰色の犬くらいは黒になっている。
本来であれば日本の政治を担おうというのだから、それぞれに思想があり、展望があるはずだ。ところが、押しなべて自民党社員のようなおとなしい人たちである。圧倒的な独裁者であるはずの安倍氏ですら、カリスマ性のようなものはほとんど感じられない。腹話術人形のようであり、文楽の口パク総理のように見えてしょうがない。どうしても後ろにいる鵺の感触がぬぐえない。その鵺が怖くて、等しくおとなしくなっているのだろうか。それならまだいいが、議員の職に満足している、我が身大切人間のように見える。小選挙区制の自民党議員に選ばれる優等生なのだろう。ご立派なお坊ちゃんお嬢さんで、乳母日傘でお育ちになっている方が多くなる。明治の政治家のような大物的な人が良いという意味ではない。せめて自分の意見のある人が国会議員になるべきだろう。まあ、間違った意見がしっかりとあった武藤議員はあっさり離党しなければならなかったが。
今になって、前回の総裁選で安倍氏としのぎを削った、藪睨みの地方創生大臣は総裁選が終わって、遅ればせながら派閥を作るらしい。これが石破氏の筋の通し方のようだが、完全に牙を抜かれた。地方創生大臣が最も重要だと持ち上げられて、結局何か目立つような成果を上げることが出来たんだろうか。国家戦略特区法改正案が成立して、何か地方創生で具体的な成果を上げているのだろうか。私には今の今も地方が消滅してゆく現実に対して、成果のある結果を残せていないように思う。特区になった地域のその後を観察している。なるほどというような参考になる地域は見いだせない。石破氏の地元の鳥取県の方向で目覚ましいものがあるのかと思うが、まずない。オーストリアに視察に行ったことをブログに書いているが、原発禁止をしたこの豊かな中立国をどう考えるかすら示すことができない。視察の結果がすぐ書けないぐらいなら、視察などいっても仕方がない。
小田原の自民党議員にはブログによると、この間も地元回りが最初に並んでいる。いったい安全保障法案に対する意見を明確にする必要を感じないのだろうか。どこにも何も書かれていない。雪害対策に特別交付税確保。湘南海岸の国直轄事業化決定。新東名高速道路、スマートインターチェンジ、246バイパス着手。小田原城デジタル掛け軸予算確保。未病を治す拠点づくり。危機管理のための富士山の防災研究会発足。鳥獣被害対策(わな猟資格取得)これが地域のために出来たことと書かれている。実に残念である。この人は、アメリカのオバマ大統領について書いたものがあった。「政治が歌になる」という本である。読んだことはないが、自分の政治は歌になっているのだろうか。小選挙区制によって、全国の自民党議員が地元回りに明け暮れる、状況なのだろう。金太郎飴になるわけである。