田植えまでの準備過程

   

5時日の出 苗床では苗とりが始まった。

たんぼの田植えまでの準備を整理しておく。種籾は、その田んぼの平均的な所のものを、1反4キロ残しておく。自家採取した種の方が生育の予測が安定して分かるので、上手く行く。先ず春分の日に海水による籾洗い。その後1ヶ月の川での浸種。そして280穴セルトレー3粒蒔き、及びそこ穴の沢山ある苗箱への40から60グラム蒔き。

田んぼには、秋に藁を田んぼに平らに並べ、上からソバカスを撒き散らしておく。出来れば一度裏返す。その場で藁堆肥を作る。苗床田んぼには特にソバカスは3度ほど入れる。さらに苗床を作る1ヶ月前に鶏糞堆肥を撒く。セルトレーには3粒平均に種を蒔く。2本平均に発芽する。

水の入った、7番田んぼ

苗床は出来るだけ平らにトンボで均す。セルトレーは苗床に、密着する様に強く押し付ける様に置く。並べてからコンパネを載せて、上に乗って抑えてやる。セルトレーは前後となりの箱が密着しない様にすき間をあけて置く。上からビニールトンネルを作る。4穴の穴あきビニールで覆う。しっかりと周囲を土で埋める。

苗作りは6週間で、5,5葉期の苗を目指す。田植え日を決めて、6週間を逆算して種まきを行う。水のやり方が重要。最初の2週間は水やり程度。次の2週がヒタヒタ水。最後の2週は苗箱は常に水没させる。ビニールカバーは遅くとも4週目に外す。

代かきの終わった、4番田んぼ

消毒とか、選別とかは一切した事が無いが、25年一度も病気はない。但しこれは、そういう田んぼになり、そういう種籾になっているという事でもある。

田んぼの田植えまでの準備は、まず、田植え1週前から3日前に緑肥や雑草ををハンマーモアーで刈り取る。漉きこむ2週間前と言われるが、直前の方が抑草効果が高くなる。前日に行ったこともあるが、問題はない。

代かきの終わった、11番田んぼ

荒起こしは草が土に良く混ざる程度に、出来るだけ浅く行う。深い方がお米がとれるということも言われるが、それは手で荒起こしをしていた時代の、辛い荒起こしを頑張れの意味が強いと思う。深い土起こしの農法もあれば、浅いおこしの農法もある。私のやり方はすべてに浅い方が向いている。23日一日で終わった。

荒起こしが終われば、周囲側面をぐるりと掘り起こす。畦が低ければその土を畦の上に載せる。そこまで終われば、水入れ。必ずどこからか水は洩るので、足で洩っている所を埋めながら水を溜める。排水溝で高さの調整をする。排水溝周囲は毎年点検が必要で、後で問題が無い様にこの時点でしっかりしたものに直しておく。

欠ノ上田んぼの苗。理想的な成長の様子。

代かきは充分に水溜まっていなければ、良くはできない。代かきもできるだけ浅く。しかし草が表面で邪魔しない程度に行う。草があると線引の時に引きづり邪魔をする。

畦塗り、棚田では、漏水が管理上の重大問題なので、出来る限り丁寧に行う。草や藁は混ぜないなどと言うが、混ぜても全く問題がない。土壁を考えれば、混ざった方が強くなるはずだ。

代かきも浅い方がいいのだが、畦際などは少し深めに丁寧に行う。畦塗りで土を使うので、注意が必要。畦際が深くなったならば、土をトンボで寄せておくこと。また田んぼの中央でも、水漏れが起こるので、ともかく丁寧に行う事が重要。

次は田んぼを出来る限り平らにすることである。入水口と排水口の高さの差が2センチ以内。排水口を開ければすべての水が抜ける様にする。面倒だがトンボでやるのが一番効果的。特に畦際に土を持って行くこと。トラックタ―で土の移動をしていると田んぼが深くなるばかりである。

線引の為に田植えの前日に一度水を抜く。水の抜けにくい田んぼや、雨予想の際は、2日前。土の状態が良くないと、線引が難しくなる。線引は田植えの直前がいい。例えば、6時から線引を始めて、8時から田植えを始める。田植えの速度もあるが、前日から線を引かざる得ない場合もある。線の幅は24センチで縦横を弾く。この幅が転がしを縦横入れるためにちょうど良い。

苗採りも田植え前日の作業になる。セルトレーから抜いて、箱に詰める。各田んぼにちょうど良くなる様に苗を入れた箱を配置する。この時苗が乾かないように気を付ける。田植えでは、苗運搬と田植えの人に投げる係が一人いても良いくらいである。

田植えはわずかに水がある状態で行う。後で苗が浮き上がらないためである。苗の植え方は深からず浅からず。水を入れて浮き上がるようでは困る。しかし、しっかりと思い深く植えすぎるのも、引き抜いてあるかなければならなくなる。指先を延ばして、土に苗とともに入れて、手を抜きながら、周囲の土を寄せる。セルトレー苗ならば、初めての人でも問題なく植えられる。良い苗で、良い田植えをすれば、翌日には根が水を吸い上げ初め、停滞は全くない。

田植えが終われば、直ぐに水入れ、土が見えなくなった状態で、ソバカス撒き。丁寧に全面に広がるようにソバカスを撒く。ソバカスは軽い物なので、風向きが重要になる。

1週間したら、ころがしに入れる。必ず縦横2回の転がしを行う。ここからはまだ先の話だ。

 - 稲作