中国の影響力の見方

   

中国の影響が世界を変えている。英国政府が、中国の創設した国際開発金融機関である「アジアインフラ投資銀行」(AIIB)への参加を表明した。日本政府は無視していたにもかかわらず、菅官房長官のコメントは混乱していて、対応が取れないように見えた。 英独仏や豪州は、AIIBに加盟することで、今後ますます増えそうな中国によるアジア向けのインフラ投資に参加でき、自国の金融界や産業界に利益が生じる。と考えているらしい。日本政府が対応に泡を食う訳だ。入りたいのだが、アメリカが入らない以上、隷属国としては独自行動が取れないのが日本。韓国も同様に、難しい状況にある。経済的には中国依存であるが、軍事的にはアメリカ依存である。結局のところ、韓国は経済優先だから中国を選択するだろう。という事は、日本はアメリカとの軍事同盟を強めると言う事になるのだろうか。このアメリカ隷属政策は経済で見れば、韓国よりむしろ先の見通しは暗いと言わざる得ない。

いよいよ経済でも軍事でも、アジアの中心国は中国になるという事は計算に入れなければならない。あれだけの人口があり、アメリカに迫る経済規模である。しかもこ経済成長を続けている。中国を軽んじたがる評論家は多いいのだが、私は侮る事はできないと考えている。中国の軍事的な拡張主義も、目立っている。日本も中国変化に対応せざる得ない状況が迫っている。しかし、日本はまだましな方である。アジア各国は中国の内需の拡大で輸出を伸ばし、リーマンショック以降経済の落ち込みを回復してきた。その為に極端な輸出依存の構造を産む出した。中国輸出の落ち込みがそのまま、経済の落ち込みにつながっている国が続出している。この傾向はここしばらく続くと思われる。日本経済が落ち込んだ一つの要因は、中国の低廉の製品との競争にさらされたからだと思うが、幸い日本の中国への輸出依存は比較的低い。その一方で、日本がドルと運命に共にする経済政策である以上、アメリカの衰退に伴い日本の、経済崩壊も遠くない時期に起こり、中国に乗り換えた国の勝利になる可能性も高くなっている。

日系の中国進出の企業も、中国からの撤退を考え始めているらしい。人件費の高騰、不正の横行、労務管理の難しさ、反日感情暴動のリスク。その結果中国に工場を持っているメリットが無くなってきているという事だろう。韓国の中国進出なども、沿岸部ではなく、内陸部に変わってきているようだ。中国に進出したこと自体が、利益の為であるから、利益が出にくくなれば撤退したいという気持ちが起きてくるのは当然である。スリランカの新しい政権は中国離れを宣言した。そしてインドとの関係を強化しようとしている。アジア各国とも、複雑な対中政策を展開し始めている。

グローバル企業に対して、八紘一宇の精神でやってほしいと、三原議員は国会で質問をした。その事が間違えとは思わないが、この財政再建の行き詰まっている中でも、法人税を下げて企業の活動を優遇しようと言うのが、自民党の経済政策である。企業の景気が良くなり、そのうち末端まで景気の恩恵が及んでくるので、もう少し時間をかければ好循環が起こると主張している。人類みな兄弟であるなら、この危機的状況でなぜ法人税を下げるのであろうか。大企業だけが恩恵をこうむり、給与も上がっているという状況が起きている。この事によって格差社会がより深刻になるとしか見えない。兄弟の間で、格差を産むのが人類愛であろうか。むしろ中国に八紘一宇を求めると言う事が本筋という事になるが、到底無理な事は誰にでもわかる。つまり、観念論では経済は動かないという事である。

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