2015年の政治予測

   

安倍政権のこれからを考えてみたい。安倍政権は何処かの知恵者によって、選挙は経済だけでやれという指示のもと、予想通り大勝した。3分の1の自民党支持者によって、与党で3分の2を越える議席を確保したのだ。自民党の票数は減少している。最初には消費税延期選挙だったはずだが、朝令暮改でアベノミックス選挙と看板を掛け替えた。どうせ看板は看板で、政策選挙にしないという一心の方針である。政策が問われれば、原発再稼働、地方創成の人口対策、第3の矢:成長戦略問題、TPPの妥協、食料自給放棄、集団的自衛権の解釈変更、秘密保護法。上げれば数限りなくある争点の選挙になる。そういう事はさて置いて選挙を行う。国民の関心事である経済に意識を集中させようという選挙戦略であった。当然の方針であって国民の意識は、ほぼ経済に集中している。国民が望む事に、的確に向かう市場動向の把握。これこそが安倍式の政治手法とみている。真綿で包む、見えない形で人間を心理操作する、巧みな政治手法ではないか。

安倍政権が本当にやりたいと考えている事は、選挙が終わり、これから順次出てくる。自民党保守派の長年懸案とする所である。1、教育改革 2、侵略戦争見直し 3、軍隊のある自立国家 4、憲法改正。経済はこうした方向に政治を転換するための、大きな要素には違いない。アベノミックスはこれからも、分かりやすく書けば韓国方式で進められるだろう。強い産業に力を集め、国際競争力を高めるという方向である。確かにこれが勝ちやすい経済戦略であろう。そして、能力主義を先鋭化させる。既に先行している先端の開発能力を高めようとするだろう。高い能力の者を優遇する。当然大企業優遇を行う。給与格差は今の倍には近いうちに広がるはずだ。全人的な能力主義ではなく、企業競争に適合する能力主義と言う事になる。こういう流れであれば、国は農業を経済の合理性から放棄すべきと進むと考えて置いた方がいい。

教育を変える動きは既に始まっている。教育の方向も、国際競争に役立つ人間づくりである。英語を初等教育にまで広げる。教育に競争心理の導入し、企業にとって役立つ人材を作る。日本のここ70年間の教育は、平等主義的で、弱者をどう救いあげるかに主眼があった。能力競争を克服しなければならない物と見ていた、理想主義的な所がある。その成果なのだろう、日本人はずいぶん優しい人間が増えた。人を蹴落としても頑張るというような、激しい競争意識を失ったと政府は見ている。穏やかな日本人を成果とは考えない自民党は、明治の出世主義の再現を願って、国に都合のよい道徳教育を始めた。次に徐々に始まっているのが、軍隊のある自立国家構想ではないか。集団的自衛権の解釈見直しは、近隣諸国との関係悪化を引き金としている。常に軍国主義化する前提として、邪悪な国家が登場する。正義が持ち出され、富国強兵と言う事になる。アメリカに従属して、任せて置いて大丈夫なのか。こういう論調が始まる日も遠くない。

多分、その次あたりに始まるのが、侵略戦争の見直論の登場である。既に、ネットでは侵略戦争など無かったという人が、いくらでもいる。論理がパターン化されている所からも、そういう流れを作り出そうとしている、論理集団が意図的に動き出している。いわば洗脳的な真綿戦略が行われていると思われる。一人ひとりは自分の考えだと思い込んでいるが、刷り込まれた侵略戦争見直し論。これを本気にしてしまう人が増える可能性がある。そして最後に出てくるのが、憲法改定論である。これが最終目標で、今後着々と進められる気がする。しかし、現実には、ここまでの事を安倍政権はできないだろう。経済が悪化するからである。どう考えても、経済の好循環は無理だ。経済は日本の問題ではなく、世界全体の事だ。いま石油価格が暴落して、日本は助かっている。石油が下げられているのは、アメリカ等のシェールガスを押しつぶすために、産油国が勝負に出ているからだ。これは引き金で、次々と世界経済は厳しくなると考えて置いた方がいい。

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