原発再稼働の条件

   

桐の木 中盤全紙 紅葉した木というものは実に面白い。木は時々描きたくなるのだが、いよいよ落ち葉になるというときは、木が身構えているように見える。

鹿児島の川内原発が再稼働の方向になった。政府、規制委員会、地元自治体、この3者が再稼働を決めた。情けないことだが、安倍内閣であれば仕方がないことだ。もし政府が経済だけでなく、日本の未来を本当に考えるのであれば、再稼働するためには3つの条件がある。1、核廃棄物の処理方法の決定。2、核施設、核廃棄物の処理を含めた、原発コストの提示。3、将来のエネルギー計画。この3つが再稼働の条件である。原発について、感情論は避けるべきだと思う。出来うる限り科学的に判断しなくてはならない。例えば、安倍総理大臣は福島原発はコントロールされていて、海には放射能は出て行っていない。と断言した。断言するのは恰好つけには良いが、その後もそれを科学的に説明した事はない。科学的真実は今の所分からないという所だろう。原子力規制委員会にも、東京電力にも、正確な実態はつかめていないというのが実情だ。安倍発言は国民を安心させたいと考え、あるいは海外の人達に安心してもらうための、政治的発言にすぎない。

川内原発から5,5キロしか離れていない所に住んでいる人が、地元扱いされていないのが現実。もし自分だったらと思うと、さすがにこれはおかしいだろう。小さな事故が起こるにしても、最初に避難する人間が何故、地元地域ではないのか。原発避難は原発からの距離で行われる。市町村単位ではない。当然、地元地域とは影響を受ける当事者を距離で決めなければならない。避難計画もそうだ。距離、風向きで、どう動けばいいのか、大きな違いが出てくる。科学的予想に基づいて、策定されるべきだ。市町村単位では上手く行かない事は、福島の時に身にしみた事ではないか。原発再稼働を急ぐあまり、肝心なことが抜け落ちている。

この核廃棄物の処理費用が原発電力コストに含まれていない。そんな尻抜けの計算で、原子力発電を安い発電方法と主張するのは、国民を欺いているにすぎない。その結果将来の世代に廃棄物処理の付けを回すことになる。核廃棄物の処理方法が定まらない。発電をしている原発の上部に使用済み核燃料プールを作り、プールが一杯になっても、他に運ぶ事が出来ない。この状態では、安全な原発とは言えない。使用済み核廃棄物を将来どのようにするか。再処理はもう展望が無くなっている。こんな状態での再稼働は、あくまで暫定的なものとしか言えないのではないか。今回、再稼働を決めた、鹿児島県及び、川内市は核廃棄物の保管場所も同時に受け入れてもらいたい。今回の判断の重さを認識すべきだ。地域で出るごみを受け入れないというのであれば、その事業自体を認める事はできない。ごみ処理の地域内処理という事は、当たり前のことだ。原発の地元経済の効果を考えるなら、そこまで含めて決めなければ成らないだろう。

そして最も重要な事は、将来の日本のエネルギー計画を立てる事だ。確か、40年で原発は廃止する予定のはずだ。これを延期しようと既に計画を立て始めた、原子力発電所がある。原子力からの自然エネルギーへの転換も30年と決めたのではなかったのか。安倍政権は消費税の再値上げを凍結するだけで、なんと総選挙が必要と国会を解散した。エネルギー計画を変更は、なし崩しでかまわないという事か。再生可能エネルギーに転換して行くという事も言われていた。所が、既に多くの電力会社が買い取りを拒否している。目先の経済がすべてというアベノミクスでは、将来展望などいつでも看板を降ろしてしまう。今苦しくとも、将来に向けて頑張るという事が無ければ、日本列島に1億人を超える人間が豊かに暮らす等という事はできない。現状苦しくとも、再生エネルギーへの転換を、その技術革新を第3の矢にすべきだ。そうすれば、円安になって、石油輸入で苦しむ事はない。

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